(5月29日号)
先日、複合機のセールスが3社、立て続けに来訪した。いずれもコピーやプリント料金のコスト削減を訴え、リース体系はそれぞれ異なるが1枚あたりの印刷価格がとうとう1円を切ったキャンペーンを提示され、昨今の競争激化を目の当たりにした▼小社は新聞紙こそ輪転機で多枚数を刷るが、ビジネス文書は一般企業に及ばない小枚数ユーザー。そんな使用者に対してもプロフェッショナルユーザー並みの低単価が設定されるようになった▼業務にかかる経費はコピー・プリント代の他にも色々あり、各セールスはICT化を促すソリューションメニューを豊富に揃えている▼こうしたコスト削減提案のプロたちに市場動向を聞くと、固定観念に縛られ従来のしがらみから抜けられない経営者は安くて便利だと分かっていてもなかなか変われないという▼いまやどの企業も変革を迫られ、売上アップとコスト削減を同時に実行しないと存続が危ぶまれる厳しい時代。新たな事業にトライしても売上増を果たすのには時間がかかり、失敗に終わるケースもある。一方、従来のコストを見直して支出を抑える行動は短期間で効果をあげやすい。経営難にあえぐ企業がまず手をつけるべきは経費カット▼そうした提案を他人事のように思っているユーザーを根本から救済できるのは、対面によるコミュニケーションしかない。

  

(5月15日号)
日本経営協会が発表した「組織のストレスマネジメント実態調査」では、メンタルヘルスの不調によって長期間休職する人や退職する人が減っていない実態が指摘された▼昨年から義務化されたストレスチェック制度について、『効果があった』と答えた企業は3割程度だった▼「不調者」が生まれる「要因」として1位にあがったのは「職場の人間関係」、2位「本人の性格」、3位「上司との相性」。これらはコミュニケーションの問題▼昨年、京都のウエダ本社が働き方変革をテーマにした催しで、社員どうしで称賛や感謝の言葉を伝えあう仕組みを社内で実践していたのを思い出す▼「実態調査」で合点がいかないのは、「不調者を生まないために行なっている取り組み」の1位が「残業時間の削減」だったこと。これは「要因」の上位でなく6位▼日本の長時間労働は先進国のなかで今も最悪の水準。日本語の「お疲れさま」に相当する外国語は無いらしい。英米では「Good job」という表現がある。これを日本語に直訳すると「良くやったね」になるが、仲間の労苦をねぎらうのはこの国特有の文化習慣といえそう。こうした美徳が土壌にあるから残業がなかなか減らないのかもしれない▼「お疲れさま」でも「Good job」でも、気軽に声を掛け合えられる環境が一番のストレス解消になるのでは。


(5月1日号)
事務機業界の展示会でもドローン(自律型無人航空機)を見かける機会が増えた。数年前まではラジコンの一種かと思っていたが、いまやビジネスで活躍する存在に浮上≠オている▼OA機器のレンタルやメンテナンスを行なう広友イノテックスは3月に幕張で開かれた「ジャパン・ドローン2017」に出展し、ドローンのレンタルサービスをPRした▼貸し出すだけではユーザーは安全に上手く空撮できないので専門のオペレーター派遣、使用する際の法的な申請手続きや機器のメンテナンス、さらに損害保険までサポートしている▼同社が長年関わっている建築・土木の業界では、現場でICTを活用する「アイ・コンストラクション」施策が国土交通省により進められ、生産性の向上を目指している▼昨年の「ジャパン・ドローン2016」では、リコーが飛躍的な技術を披露していたことを最近知った。複写機・複合機で培った、センサーやレンズ、画像処理などの技術を駆使して、この飛行物体に両眼≠移植≠オたという▼開発した「超広角ステレオカメラ」は人間で言えば三半規管の役割を果たすもので、周囲の環境を立体的に把握する▼ドローンによる空撮サービスは建設業界のほか、イベント開催、観光プロモーション、地方PR、農業、スポーツ、エンターテインメントなど利用の拡大が期待される。 

 

(4月24日号)
日本環境協会主催のエコマークアワード2016で「プロダクト・オブ・ザ・イヤー」を受賞した理想科学工業の高速カラープリンタ「オルフィスFW」はVOC(揮発性有機化合物)放散の基準値をクリアするなどの取り組みが高く評価された▼生活や仕事の場面で、もともと自然界にないモノを多用するようになったのは20世紀の後半からと言われる。人類の歴史からみれば、つい最近のこと▼日本環境学会の磯部作委員によると「石油化学製品であるプラスチックの世界生産量の伸びは1950年はゼロで、60年もわずかだったが今は3億トンを超える」という▼そのうちゴミとなるのは1億3千万トン。毎年1千万トン増え、10年先は2億5千万トンになると環境保護団体は推計している。これは海にいる魚の総重量の3倍だとか▼磯部委員はさらなる問題を指摘する。「プラスチックは陽に当たると劣化してボロボロになるが、分解はしない。5o以下のマイクロプラスチックが海に漂えば、回収は不可能。プランクトンにも混ざってしまう」▼事務機も素材の殆どはプラスチック。その成分は微量だが揮発する。鼻から吸って臭いを感じたら身体に悪い影響も。しかし我々は慣れてしまっているのでは▼回収、処理、発生源抑制等、課題は深刻化している。来月は業界各社の環境対策を取り上げたい。


(4月10日号)
「人のものを盗んではいけない」。当たり前ともいえる、ルールというかマナーを私達はいつ頃から身につけるのだろうか。おそらく幼少期に親に叱られたりして学ぶのだろうが、そういう記憶がないくらい「所有権」という概念は分かりやすい。一方、分かりづらいのが著作権▼JRRC(公益社団法人日本複製権センター)が出版社や新聞社から複写等に係る権利を直接受託する「個別受託制度」を開始して一年が経過した。受託者は増え、複写利用の許諾契約を結ぶ企業も大手を中心に増加しているという▼とはいえ中小企業ユーザーの意識はまだまだかも。つい先日、購読者から「当社の取り組みが地方の新聞に載った」と記事紙面をスキャンした画像がメールで送られてきた▼自分の会社が主語として書かれている記事を見ると「自分のもの」だと思い込みがち。購読していても、これは所有権ではなく、著作権の問題。勝手に複写して他者に渡すのはルール違反▼いま現在JRRCが許諾している範囲は、紙から紙へ複写する行為で、スキャナで読み取ったデータの扱いはまだ。いまデジタル情報の許諾に向けて検討している▼紙のコピーも電子文書も自在に操作できる複合機に関わる我々はユーザーに対して、知的財産権法のなかでも難法≠ニされる著作権法について啓蒙できる素養を早く身につけないと。 



(4月3日号)
世田谷の樫尾俊雄発明記念館で今、『学びと遊びの電卓・電子辞書展』が開催されている。カシオ計算機の創立六〇周年記念企画として、また「電卓の日」(3月20日)に因んで▼電卓の日は昭和49年に日本の電卓生産台数が年間1千万台に達して世界一になったことを記念して日本事務機械工業会(現JBMIA)が制定した▼工業会の出荷統計によると、昭和52年に複写機が出荷高のトップに躍り出るまでは電卓が事務機の花形だった▼電子辞書も今の入学シーズンに需要が高まる商品。高校では必携のツールで、合格発表の日に推薦商品≠ニして新入生たちに提示される。記者が高校生だった頃は国語辞典や漢和、古語、英和など、重い鞄で通学したものだ▼展示会では馴染みの薄い♀ヨ数電卓も紹介されている。馴染みが薄いのは文科系の記者だけでなく、日本は関数電卓のユーザーがごく僅か。海外では百か国以上で愛用されているという▼報道向けの見学会では「数学の目的は物事を解明することで、手計算は副次的な作業。テクノロジーを用いることで、レベルの高い学習へと進むことができる」との指摘があった。日本人は数学が苦手なのだろうか?▼高度成長期に来日した革命家ゲバラは「日本人は数学的な正確さで働く」と感動したという。日本の数学教育の現状は知らなかったと思うが。



(3月27日号)
プロジェクターの用途が広がっている。これまではオフィス内での会議用ツールとして使われるのが主で、今も市場の大半を占めるが、性能の向上と相俟ってプレゼン用途としての活用が多彩になった▼デジタルサイネージが注目され、かつてプロジェクターの事業を休止していたメーカーが再参入▼今月開かれたリテールテック展でシャープは店舗の演出力を高める数々の映像機器を展示したが、そのなかで50pの投影距離から100インチの大画面を映し出す超短焦点プロジェクターを参考出品した。7年ぶりにこの機器に取り組むという▼エプソンは「ビジュアルイノベーション」と銘打って、サイネージやライティングなど新たな市場を創り出す高光束プロジェクターに参入▼「新しいニーズが育っている」と語るのはキヤノンMJ。「デザインや医療、プロジェクションマッピングのようなアミューズメント用途、パイロットやレーシングドライバーを養成するシミュレータなど領域が広がる」▼OKIはプロジェクションマッピングを自社の工場内での組み立て作業に活用。映像で作業の手順をナビゲートすることで、作業ミスを無くすだけでなく、未習熟者も効率よく働ける職場改革を実践▼小紙がプロジェクター特集を発行していたのは10年以上前になるが、久しぶりにいろんな現場を取材したくなった。

  

(3月13日号)
最近の印刷の展示会を見ると、機械よりもプリントされた成果物のほうが目立つ。なかには機器を出展せず、カタログを置くだけだったり壁に写真を貼ってあるだけというブースもあった▼成果物はますます多彩になっている。その素材も。あらゆるものへプリントできるプリントtoエブリシング≠ニいう語がキーワードになりつつある▼いまや紙以外にも印刷が行なえる時代。とはいえ、その前に我々は紙のことをどれだけ知っているのだろうか?▼特殊紙も含めて紙の種類は千を超えるという。どの機器がどのような紙を出力できるのか。コピアメーカーが手掛けるデジタル印刷機は年々進化し、用紙対応力が増している▼以前は専門的な機械に見えたが、だんだん身近な存在になってきた。企業で内製化もすすむ。販促物を創り出すのは、もう印刷屋のプロだけでなく、一般の企業ユーザーでも行なえるように。誰でもプロ並みに印刷できるプリントbyエブリワン=i?)の時代に▼メーカーは、ユーザーが印刷の作業工程を体験できるCEC(カスタマーエクスペリエンスセンター)を続々と開設。ユーザーは自分のデータや紙を持ち込んで実際の印刷のワークフローを体得する▼機械の使い方よりも、何を創り、何を表現したいかが重要。いろんな種類の紙をもって行ったほうが表現力は豊かになる。

 

(3月6日号)
「一歩先のシステムをお届け」。今年も盛大に開かれた大塚商会の実践ソリューションフェアでは、約3百種類ものシステムが展示され、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、VR(バーチャルリアリティ)をはじめ様々のIT技術が会場を埋め尽くした▼ITを採り入れることは、経費も削減でき、ビジネスに攻勢をかけることができることをこのフェアは提示した▼小社もそうだが、中小零細企業が旧来のままのシステムで今後もずっと仕事をし続けたらどうなるのか▼東京オリンピックが開かれる三年後、日本のインフラは変貌すると言われている。1964年の五輪の時は高度経済成長の波に乗れない組織や人は時代の変化についていけなかったらしい▼2020年に向かって企業のビジネス環境は日々進化していく。ハードウェア機器も、ネットワーク構築も、セキュリティ対策も。情報伝達はさらにスピーディーに▼フェア会場のテーマステージでは、「IT技術の一つひとつは単なる技術にすぎない」と前置きし、「それらを、自分の仕事の目的に合わせて組み合わせる」ことが重要で素晴らしいと訴えていた▼景気の上向き感をもてない中小零細ユーザーにとって、働き方も働く中身も一気に変えるのは難しい。OAディーラーはそうしたユーザーには「半歩先」でも提案してほしい。

 

(2月27日号)

「現場で起こっていることが全て。あらゆる課題解決の糸口は全て現場にある」。この業界ではこうした考え方が鉄則とされる▼では現場へ行って何をすればいいのか。人と会って話すことは勿論大事だが、普段その地域の風景に馴染んでいることが誰かのために役に立つ▼デュプロが数年前から手掛ける、QRコードを活用した自動認識システムによる提案は毎年目を見張るものがある。今年の展示会では新聞販売店が日々の配達業務のなかで蓄積した情報を地域のスーパーマーケットに提供するコラボレーション企画が紹介されていた▼地域住民の状況を把握したスーパーは次々と新たな販売施策を打ち出し、売上を伸ばす。新聞販売店も情報提供により収益を得るので、本業以外に稼ぐ術をもつことになる▼インターネットが普及すればするほど現場の価値は高まる。今の時代、同じ現場を行き来する仕事は新聞配達だけかもしれない▼毎日出向かないと風景の変化に気づかないし、気づくことが価値に繋がる発想もこれまでなかった▼こうした行動は最近、セルフネグレクト(自己放棄)を防止する手段として注目されるようになった。新聞配達員が孤独死を防いだというケースもあるという▼地域社会による見守りなどの取り組み。地域全体を活性化するコラボレーション企画への期待がますます高まる。



(2月13日号)

複合機メーカーの決算発表を拝見していると、主力事業の苦境が伝わってくる。「マーケットが成熟化し、ハード製品は需要があるものの、今後の成長は難しい」と▼そんななか、「成熟市場と言われるが、本当の競争はこれからだ」と心強い言葉が鳴り響いた。声の主はヤチヨコアシステムの前田正夫社長。コピー機を、ほぼハード売りだけで八棟目のビルを建てた(1月23日号に記事)▼「真の競争とは競合他社を気にするのではなく、『顧客に選ばれること』、この一点に尽きる」「成熟市場の競争では、1強他弱≠フ状況になるかもしれないが、当社はその1強になりたい」▼「複合機ビジネスほど確実で底堅い事業はない」という信念。多くの事務機販売店が複合機のほかに第二、第三の商材に手を伸ばすのが理解できないという▼同社の社員は複合機が大好き≠ナ、常にこの製品を徹底的に研究している。「それぞれの製品は、機能差は大差なくとも、性能差がある」。その違いを把握し、様々な顧客のニーズに対応することで、顧客に高い価値を提供できるのだそうだ▼「この機械を活用すれば多くのメリットが得られる」と得心した顧客ユーザーは、複合機をコスト≠ナはなく投資≠ニ捉えるようになる▼なんというプレミアムな商品。造る側のメーカーのほうがこの価値に気づいていないのでは?

   

(2月6日号)
「日本の社長さんをカッコよくしたい」。関西リコー会の新春講演会で話し方教室「キース」の副社長、会田幸恵講師は教室を発足した動機をこう語った▼かつてこの講座を受けたリコージャパンの畠中元社長が見事なスピーチプレゼンターに変貌していく映像が映し出され、聴講者(販売店経営者)は惹き込まれていった▼聞き手に強い印象を与える話し方とは…音階の「ソ」のトーンで、口を縦横に開け、無駄な語(「えー」とか「あのー」)を飲み込み、よい姿勢とジェスチャー、一人の聞き手に話しかけるように…など、堂々としたパフォーマンスを行なうためのコツが次々と提示された▼日本人はプレゼンが下手だとよく言われる。欧米では子供の頃からディベートやディスカッションなどアウトプットする教育を重視し、一方、日本では読み書きを重んじるインプット型の授業が行なわれているのが原因だという。「日本のビジネスマンは話し方よりも、内容(資料)にこだわるから」だと▼『伝える極意』の著者で東京五輪の招致スピーチを通訳した長井鞠子氏は「日本人が欧米人に比べてコミュニケーション能力が低いというイメージを一気にひっくり返した」と高評価している▼カッコよくなってほしいのは社長さんだけでなく、営業やサービスの方々も。現場での活動をさらに充実させていただきたい。




(1月30日号)

年初の互礼会や催しでのスピーチを拝聴していて、今年ほど話題が一つに集中し、それでいて見解が分かれる状況はこれまで無かったのでないかという印象を受けた▼スピーチで皆が取り上げたのは米大統領トランプ氏。「想定していたことと逆のことが起こった」と話題にあげずにはいられない▼新大統領の発言に、「時代がへんな方向に行くのでは」「彼は商売人なので経済成長を期待する」と▼一方で、「前大統領とは政策が180度異なるが、どちらも間違っていない。今の時代、正解はない」という声も▼今後の行く末を案じるときは原点に立ちかえることが大切。リコーの賀詞交歓会では、創業者・市村清氏の言葉「不平・不満(お客様の困りごと)の発見が事業のカンどころ」が引用された。ユーザーニーズを捉えることはイノベーションの種だと▼一方で、終戦直後の苦しい時代を体験された先達は「今は豊かな時代。豊かであればあるほど不平不満が多くなっているのでは?『足るを知る(者は富む)』という諺があるのに」と▼昨年は「多様性」という概念が肯定的に迎えられた。ただし、これは言葉の上だけのことだったのかもしれない。現実に価値観の多様化がすすむと混乱が起こる▼人間は自分と違うものを拒絶する本姓をもつ。この一年、どんなキーワードが現れて落ち着かせてくれるのか。

  

(1月23日)
財界の要人らが出席した新年会では「今年は円安や株高、米大統領の言動による追い風を受けて改革に取り組むチャンス」ととらえ、賃上げや投資など積極姿勢を表明していた。本紙恒例の全国ディーラーアンケート(集計結果は1月2日号に掲載)でも、景況予想は昨年に比べると若干楽天的な回答が増えた▼こうした、比較的好ましい環境のなかで「日本経済の実力≠底上げするための構造改革を進めるべき」との気運が今年は盛り上がっているような雰囲気▼とはいえ、景気や相場に左右されるようでは、本当の実力≠ニはいえないのではと思える会見が昨秋あった▼上半期決算発表会で連結業績が減少に転じた立花エレテック・渡邊社長は「本体が危機意識をもって努力した成果がみられ、当社の営業力は決して減じていない。今期は下方修正せず増配し、心意気を示したい」と語った(11月28日号に記事)▼実力とは環境や競合他社との比べ合いよりも、携わるヒトの気概や気迫から湧き出るもの。この業界でいえば、地域に根ざしたディーラーとしての気質や誇りを失わないことだろう▼ディーラーアンケートでは売上増を果たした要因に「人を増やしたから」と回答した企業が少なくなかった。一方、「業績が上がらないから人を増やせない」と苦悶する会社は小紙だけではないと思われるが。

 

(1月2日号)
暦が改まって2017年のカレンダーにかわった。カレンダーをつくる業界では2018年のカレンダーはもう出来上がっていて、その翌年の2019年の商品づくりに取りかかっているという▼デジタル化が急進する昨今、次々と新たな技術が開発され、情報通信の業界は、「昔なら百年、十年毎に起こっていた情報革命が、今はひと月、いや週単位と言っても過言ではない」という猛スピード▼新しいビジネスモデルもすぐに古くなりかねない。カレンダー業界の人たちは2019年の世の中をどんなふうに想いながら作っているのだろうか▼昨秋開かれた沖電気工業のプレミアムフェアでは、様々な機器を製造する各部門が、それらを使う現場の数年先を想定して参考出品していた▼複合機の部門からはオフィスの環境情報(温度・湿度・電力など)や機器情報を収集し、データ分析レポートを印刷。また、ATMの部門は、数年先の金融機関の店舗の風景が様変わりした予想図を見せてくれた。タブレット型勘定端末を用いて、店舗の事務をセルフオペレーション化し、行員は外回りに専念する▼「数年先」とは、2〜3年先だという。東京オリンピック出場を目指すアスリートは3年後を見据えて日々練習に励むが、我々もそうでありたい。今年は、読者に明確な目標が持てるような情報を次々と報じていきたい。


2017年↑

2016年↓


(12月26号)

工場で生産される製品だけでなく、工場内での作業工程そのものにも価値がある▼社内実践による価値提供を展開しているリコーが平和島に新たに開設した「CECーTOKYO」は、それらの真骨頂のようにみえた▼印刷の受注から編集、印刷、後加工、梱包、配送といったワークフローのなかで、効率の良い導線や在庫品のデータ管理、ポカミス≠フ防止など、これまで培ってきたノウハウを披露している。「CEC」のEは「エクスペリエンス(経験)」▼もし、「うちはそういう経験を積み重ねていないので、価値を提供できない」と嘆く会社があるとすれば、どうすればいいか▼ここ数年で売上が半減した印刷会社がV字回復させた事例を先日テレビで見た▼主な顧客はクリーニング店。クリーニング用タグを専門に印刷してきたが、昨今はこの業界自体が低迷しているために当然自社の業績に響いていた▼解決策は「お客様を儲けさせる」こと▼この考え方はソリューション時代の経営者なら誰でも思いつくが、この印刷会社の社長がとった行動は、「自分もクリーニング店をやってみる」ことだった▼プロだからこそ気づきにくい盲点に気づいて、新企画を打ち出していく▼ソリューション提案するには「お客を知る」のが大事だと言われてきたが、これからは「お客になりきる」ことが重要になるのでは。

   

(12月12日号)
メーカー販社が自社のCEや販売パートナー個人の技能を審査・表彰するコンテストが公開されている▼競技の様子を窺っていると、製品の保守・メンテナンスの技術力だけでなく、接客力を問う傾向が高まった感がある▼壊れた機械を黙々と修理する、そういう精魂の込め方よりも、明るく笑顔で振舞うのが好ましい時代になった▼「モノからコトへ」と価値観が変わり、事務機を売る≠フではなく、とくに昨今は働き方を売る£案が必要になった。顧客の課題をどれだけ認識できるかが決め手▼「セールス部門」の審査風景。メーカー販社の営業担当者二人が顧客を演じる。セールスマンが部屋のドアをノックする場面から審査は始まっているという。柔和なイメージだと加点されるのか▼商談の場面では公平を期すために顧客側から質問する内容は同一。しかし、実際のビジネスの現場では多様だと思う▼価格を話題にするようでは評価は最低だと。しかし、値切られた要求を覆したら、それが最高に優れているのでは?▼そもそも、地域で長年の関係を築く販売店と顧客とのやり取りを客観的に評価できる基準など存在するのか?など、いくつか疑問を抱いた▼価値提供に繋がるトークとは。顧客から質問される前に、郷里で呉服店を営む両親の話しを切り出したセールスマンが印象に残った。 

  

(12月5号)
「マルチメディア」という語を小紙が盛んに書きたてたのは90年代の中頃だった。文字や映像、動画、音声など、それまで別々に扱われてきたメディアがデジタル化され、データの処理や加工、発信の仕方が進展、やりとりする情報量は増大した▼その頃からこの語を自社ブランド名に採り入れているセキセイが先月、手のひらサイズで超軽量の多機能ツールを発売した(11月7日号に記事)▼高音質を発するワイヤレススピーカーになったり、また自撮りリモートシャッター、さらにハンズフリー通話など、スマートフォンと連動した機能を多彩に盛り込んでいる▼いまやあらゆるものがスマホにつながり、ビジネスもライフスタイルも変化しつつある。関連商材が広がるスマホは現代のマルチメディアツールといえる▼先日、一般紙でこのような投書を見た。「スマホは人と人を繋ぐようにみえて、実際は切り離すものだ」(25歳会社員)、「いろんな機能がついているが、友達づくりには必要ない」(中学2年生)▼また、「スマホを持たないほうが人とのコミュニケーションが活発になる」と言う55歳の会社員は、「何か調べたいときは、周囲にスマホをもっている人が必ずいるから、その人に聞く」と▼「これ一台で何でも出来」てしまえば、人間は孤立化する一方。マルチメディアの新たな課題かもしれない。

 

 
(11月28号)

「複写業と訣別!」。近畿の奥座敷ともいわれる有馬温泉で、このような胸迫る宣言が響きわたった。日本複写産業協同組合連合会(複写連)が日本ドキュメントサービス協同組合連合会(DS連)と名称を変えた(前号に有馬全国大会の記事)▼過去の『青写真』業界から、『複写』、そして『ドキュメント』へと、新たな第3ステージが幕開いた▼『ドキュメント』という言葉は小紙ではこれまで使い慣れた語ではあったが、あらためてその由来をこの大会で知った。楠本副会長の説明によると語源はラテン語の「Docare(ドケーレ)」で、意味は「教えること」だという▼「コミュニケーションの道具であるドキュメントの情報によって人が動き、価値を生じる。それが端緒となって社会の発展に寄与してきた」「過去、私たちの業界から発した青写真を描く≠ニいう言葉は価値創造への夢を絶妙に表現していた」▼いまや「ドキュメント」は映像や音声、さらに香りや触感まで含まれるメディアだという意見もある。DS連では「まずは紙に中心をおいて、そこからスタートしたい」としている▼デジタルデータの入出力を軸にドキュメントの企画・制作から流通・保管までトータルにサポートし、新たな顧客を開拓していく▼「原点は、一枚のコピー。けっして複写の魂≠棄てたわけではありません」。 



(11月14号)
半年ほど前に紹介したビジネス小説『ザ・マネジメント』には「大村事務機」という地域の事務機販売会社が登場する。社員どうしでビジョンを共有し、情報を活用して、営業のやり方を立て直し、業績を向上していく物語だった▼この大村事務機は架空の会社だと思っていたが、実際のモデルがあることを知った。長崎県大村市の九州教具(船橋修一社長)▼同社は、文具から事務機、オフィスICTソリューションと事業領域の幅を拡げてきた。さらにホテル事業も展開し、『九州で最も宿泊したいホテル』ナンバー1にランキングされている▼先日のウォーターネット事業説明会で船橋社長は、CSV(共通価値の創造)経営によって企業活動と地域活性化に取り組んできた実践の様子を紹介した▼「人口の少ないこの地を日本一のICT田舎≠ノする」「当社の役員は立候補制で決める」など取り組みはユニーク▼そして、「1990年前半のバブル崩壊とともに、拡大路線で突き進んできた『経済の時代』は終わった。その後は多様な価値観の『文化の時代』へとパラダイムシフトが起きた」と説明した▼20年以上も経つのに、『時代』が変わってことに気づかないから多くの企業は苦しみが続くのか▼船橋社長は「『文化の時代』では、他社を真似しても通用しない」と忠告の言葉を付け加えている。


(11月7号)
ノーベル賞を受賞したオートファジー理論のニュースを見ていて、理解できないながらも、高校に入学したとき生物の参考書に「一様性と多様性の両方を考えることが研究を進めるうえで大切」という序文があったのを思い出した▼それとは何の関係もないが、先月二つの展示会を取材して、それぞれの主催者が考えるコンセプトに一様性と多様性を感じた▼ムラテック販売が全国十か所で開催したフェアは、「情報セキュリティ、ワークスタイル変革」の統一テーマを掲げ、同社の方向性を示した。昨年までのフェアでは拠点ごとにやり方が異なったが、複合機に次ぐ第二の柱を育てるには各拠点とも共通の認識・意志が必要だと判断▼その逆のやり方が目をひいたのは、大塚商会が今月まで全国十六か所で開催している「ビジネスソリューションフェア」。従来は会場設営の形が全国統一だったが、今回は各拠点の営業責任者の要望に応じてレイアウト変更するなど、それぞれの会場が個性を放った▼ひとつにまとまったほうがいいか、それともバラバラのほうがいいか、戦略の立て方は企業それぞれだであるし、試行錯誤しながら進展していくのだと思う▼オートファジーに取り組む大隅教授も観察や実験を繰り返し、「この研究はまだまだ発展途上」だと。ただ、ビジネスでは何十年も年月をかけていられないが。


(10月24号)

「環境負荷低減への取り組みや社会貢献、そういうことができるのは大企業だけだ。うちには関係ない」。小規模店主の読者と話していて、そんな言葉が当たり前かのように飛び出した。社会的規範や企業倫理について多少は意識していても、人手も予算も充分にかけられない企業はこの読者の他にも多いと思われる▼業界では、大手のメーカーや販社がこれらを支援するサービス提供に乗り出している。これまで自社内で実践し蓄積してきたノウハウを事例としてまとめ、取引先や顧客に提供する▼これによって小さな会社は低コストで習得、活動することができるようになる。環境対応やコンプライアンス経営に反する行為はいまや社会問題となるので、小企業にとっても業績を左右しかねない重要な要件▼このところ粉飾決算や業法違反は近年増えているという統計があるが、実際のところ企業の倫理感は昔に比べて低下しているのだろうか?それとも、法令が厳しくなってきたからか▼かつては全国各地で結成されていた業界団体の活動が希薄になってきている。昔は会員どうし横の関係が密で、互いに社是や社訓、社風を認めあうことでモラルが保たれていたように思う▼いま共有しているのは販売成功事例だけかもしれない。文章情報を扱う業界なら、経営ノウハウを整理して活用する能力が備わっているはず。


(10月10号)
ITが進展し、データを事務処理するシステムの便利さは目をみはるばかりだが、データの元となる情報が紙に手書きしたものだと、それをデジタル化する必要がある▼「手打ち入力は人間の手作業。ホワイトカラーの非効率な業務は今も厳然として残っている」とAIインサイドマーケティングの永田純一郎社長は指摘する(前々号に記事)▼「製造業では、産業革命の初期の頃は人が機械を動かしていたが、今はロボットが工程の中間を担う。人間の労働は一段と軽減され、生産性はますます高まっている」▼申請書や申込書、伝票、業務日報、アンケート調査の回答など、手書きの定型書類は数多く、これらを手打ちで入力すると時間や人件費がかかる。AIインサイドが提供するOCR活用サービスは独自の人工知能技術で99・89%という高い精度で手書き文字を認識でき、導入したある企業では繁忙時の残業時間が50時間減少し、入力スタッフも10名から5名に減るなど事務効率が上がったという▼…この乱筆の文字は数字の『1』なのか?それともカタカナの『イ』なのか?…人工知能は前後の文脈などから判断する▼最近、若い人たちのペンの握り方が気になった。記者が小学校の時に習った持ち方と違って書きにくそう。やはり字も読みづらい。人も読めない字を人工知能は読み解いてくれる。



(10月3号)
今年の日経ニューオフィス賞の受賞社は製造業が目立った。ニューオフィス推進協議会の三栖会長は「新しい技術や製品を造り出していくための環境づくりに精力的に取り組まれる姿勢に目をみはる思いがした」と述べた(前号に記事)▼近畿ブロックの表彰式に行って、以前事務機ディーラー団体の事務局を長年務められた青山さんにお会いした。ご高齢になられたが、お元気で今の業界の情報にも通じておられる▼歓談していて、シャープの創業者、早川徳次氏との思い出話を聞いた。何かの打ち合わせで昼食を共にしたとき、割り箸の袋を捨てず、紙片も大切にする方だった、と▼早川氏や松下幸之助氏ら明治生まれの先駆者と直接言葉を交わしたエピソードが聴ける業界人は希少になった感がある▼先月、シャープの新社長に就いた戴正呉氏から社員へおくられたメッセージ文を読んだ。「早川創業者の経営理念や信条など、創業の精神は引き続き根幹となるべきもの」と記し、銅像へ献花したという▼オフィス向けの事業では「ワーカーの生産性を向上し、経営者がより的確に判断できるように、人にフォーカスし、快適で創造的な新しいオフィスの形を作っていく」とニューオフィス賞の方針と重なる▼今後は「ブランドを私たち自身で磨き上げ、グローバルで輝かせたい」▼製造業が再び輝く姿を切に望む。



(9月26号)
新商品の開発や新たな営業戦略の考案など、これらアイディアを生み出せるかどうかは社内コミュニケーションにかかっている、との考え方が昨今広がっている。そのための職場環境づくりが重視されるようになった▼オフィス内に喫茶コーナーを設けたり、机の配置を斜めにして社員どうしが接触する機会を増やし、何気ない会話から斬新な発想が生まれることを期待する▼部署や世代を越えて気軽に話し合えば、場の雰囲気は明るくなる。だが、単に雑談するだけで本当に革新的なアイディアが生まれるのだろうか?▼作家の森博嗣氏は著書『孤独の価値』のなかで「最近、コミュニケートすることばかりが強調されているように思えてならない。現代人はあまりにも他者とつながりたがっている」と述べている▼そして、「物事を発想し、創作するという作業は個人的な活動であって、それには孤独≠ェ絶対に必要だ」と訴えている▼たしかに、芸術作品を手掛ける創作者だけでなく、組織で計画を進めるときも最初に起案するのは一人であることが常だと思われる▼小紙の読者や取材先の担当者は組織の長や責任者である方が多い。以前、インタビュー中に「自分は孤独だ」と漏らす経営者がいた▼勿論、独りよがりでは折角の名案も頓挫しかねない。雑談の前後に黙考できる環境作りも必要かもしれない。

 

(9月12日号)

電通パブリックリレーションズが先ごろ「企業広報力調査」を実施した。様々な業種533社が回答したデータを「8つの広報力」という視点で分析している▼「8つ」とは、「情報収集力」「情報分析力」「戦略構築力」「情報創造力」「情報発信力」「関係構築力」「危機管理力」「広報組織力」▼業種別でトップだったのは「電力・ガス」、2位「運輸・倉庫」、3位「食料品」「金融・証券・保険」、そのほか「情報・通信」「繊維・化学・医療」「機械」「電気機器」」「サービス」「卸・小売」「建設」「不動産」などが続いた▼上位企業が高いポイントを獲得したのは、「情報発信力」と「情報収集力」。この二つは近年レベルアップしているという▼「今後強化したい」のは「戦略構築力」「情報創造力」「危機管理力」。それらに紐づく回答として「中・長期的な広報戦略・計画を作成している」「競合企業の戦略を分析し、対策をとっている」「ステークホルダー別に、獲得したい評価や、戦略を設定している」があがった▼これら回答していたのは大企業ばかり。先日、小企業を対象に攻めの広報≠訴求するPRエージェントに会った。社会性と成長力を兼ね備えた未上場会社を発掘するのが理念だという▼事務機販売の現場も昨今は顧客の事業成長を支援することが重要になってきている。小企業ならでは広報戦術を会得したい。

  

(9月5日号)
製品を「見て、触って、使って、」。先月開かれた文紙メッセで主催者が発信していたコンセプト。数々の体験コーナーが設けられ、来場者が会場に滞留していた時間は例年よりも長かったらしい▼当方、新製品の情報をメーカーから送られてくるプレスリリースで日ごろ目にはしているが、実際に実物に触れてみると、機能が進化しデザインも斬新であることが実感でき、どの商品も欲しくなった▼企画イベントのトークセッションでは商品開発コンサルタントが自動車業界や化粧品業界の例をあげて文具業界にさらなる奮起を促したという。「車も化粧品も、一人のお客に対して、年齢に応じて品揃えしている」▼そういえば、「子どもの頃に文具に馴染んでもらい、大人になっても親しんでほしい」という納品店主の信条を思い出した▼オフィス向けの事務機販売店には気の長そうな話しに聞こえるかもしれないが、地域の顧客と関係を築きあげるには、年月がかかり、法人ユーザーの成長を見つめてきたと思う▼好業績をあげている販売店は顧客のニーズを聞き込み、様々な機器やシステム、サプライ品にいたるまで重ね売り≠実行しているという▼同一顧客へ重ね売りすることを「クロスセル」と言うらしい。従来のストック型ビジネスに加えてクロスセルを展開することで、企業体質の強化が期待される。

 

(8月29日号)
今年の京都流議定書イベント(前号に記事)の鼎談では、「バリアバリュー」という理念を掲げるミライロ代表・垣内俊哉氏の発言が印象に残った。「(一般的に日本人は)社会的弱者に対して、『無関心』か『過剰』か、どちらか両極端の態度をとる」▼なぜ二極化するのだろうか?考えていたら、その三日後に相模原の障がい者施設で凄惨な事件が起こった。犯人は「弱者」を支援する立場にいた▼骨形成不全症の垣内氏は子どもの頃「歩けるようになりたい」と願い続けたが、叶わず、高校生のとき三度自殺を図った。その後「歩けないままでいい」と考え方を切りかえて会社を設立した▼相模原の事件の犯人は「弱者」を介護する現場を経験するなかで、どのようにして寄り添う≠アとをやめ、この世から抹殺≠キる思想に切りかわったのか▼「非効率なものは排除する」という優生思想? もし、私たちも「意思疎通が困難だと、社会で不利益を被る」という価値観だけで普段仕事をしているとしたら、この事件は我々にとって無関係な問題ではなくなると思う▼業界としては、防犯カメラを増設したのに未然に防げなかったことよりも、地域のなかにダイバーシティ(多様性)が根づかないのは何故なのか考えるほうが先なのでは▼意識の二極化を防げば、多文化が共生できる社会が実現するのではないかと思う。
 


(8月15日号)

先月亡くなった作詞家の永六輔さんは終戦後、ラジオに興味を持ち、焼け跡の金属を換金して秋葉原で部品を買って鉱石ラジオを組み立てるグループを作った。その後ラジオやテレビ放送の語り手として長年活躍した▼民俗学者・宮本常一氏からの助言を実行したという。「ラジオは電波だ。電波はどこにでも飛んでいく。だからきみもどこへでも飛んで行って、スタジオでなく、電波が届いた先がどうなっているのかを見聞きしなさい」▼現場≠大切にする人だったことがうかがえる。事務機販売の要諦も同様。各販社が注力する業種展開も、その狙いはユーザーの現場を知ることにある▼従来のターゲットは「オフィス」だったが、オフィスでの事務作業は関節業務。その企業の売上や利益の拡大に直接関わる「現場」でユーザーの仕事に貢献するサービスを提供することが重視されるようになった▼「オフィス」の領域よりも、オフィスの外の現場のほうが、投資意欲も高まり、マーケットは広がる、と▼現場主義に徹した永さんは日本の各地で生活する人々の心情を細やかに伝え、昭和の伝道師と呼ばれた▼事務機販社で営業やサービスを担う人たちも業界の語り部として、現場で儲けられる<\リューションの伝達が期待される▼コミュニケーションの手段は、電波よりもフェースtoフェースがいい。



(8月1日号)

各社の拡販戦略で近年力点が置かれているのはユーザーの業種に特化すること。なかでもヘルスケアの業種は巨大な市場だと「国際モダンホスピタルショウ」を取材して改めて思った▼最近はモダホス≠ニ呼ばれ定着している。多くの事務機メーカーがブースを構え、かつてのビジネスシヨウを彷彿とさせる。各社では、医療や保健、福祉の市場をより深く知るための組織やチームを結成しているところが少なくない▼日本は病院の数が世界的に多く、メディプラザ統括マネージャー大西大輔氏(医療コンサルタント)によると規模の小さいクリニック(診療所)は全国に十万軒存在するという。これはコンビニの約2倍▼モダホスに出展したブラザー販売のブースを見ると、クリニックの受付や診察室、検査室、また、往診先や調剤薬局などあらゆる現場でプリンティングの利用があることが分かる▼ICT化がなかなか進んでいないのがクリニック業界の課題。メディプラザでは業務効率化を促進するショールームを開設している。個人経営ゆえに運営面で悩むクリニックは少なくないという▼先日、近所にある整骨院が近々閉店すると聞いた。以前ひざを怪我したとき総合病院の診断に納得いかなかったところ懇切丁寧に対応してくれたので経営改善のソリューションを提供する価値があるユーザーだと思う。

 

(7月25日号)

沖縄のある新聞配達店から電話がかかってきた。「デジタル商業印刷機についてお聞きしたい。導入した企業はどんな使い方をしているのか?また、おすすめの製品はありますか?」▼同店は地元の「沖縄タイムス」や「琉球新報」の専売店ではなく、全国紙など本土≠フ新聞社が発行したものを扱っているという。それらは東京や大阪から輸送され、購読者に配達している▼小紙も以前は国際エクスプレスサービスを通じて注文を頂いていた。距離の遠さからか海外諸国へ送るのと同じ感覚でいたかもしれない▼輸送のために費用や時間がかかる。デジタル印刷システムを導入すれば、コンテンツデータを各新聞社から受信して、自社で出力して新聞を容易に入手することができる▼また、「これまではチラシの無い新聞を配達していたが、今後はチラシも折り込みたいので、広告丁合機や中入れ機 紙揃え作業機などについても教えてほしい」。▼さらに、新聞配達以外の新たなビジネスも考えているらしい。沖縄の観光ホテルに、パンフレットや宿泊客向けのミニコミ紙などを提供する事業を計画しているという▼その夢のある構想にしばし聴き入った。「まだ仮称だが、『沖縄デジタル印刷センター』が完成したら、取材に来てください!」▼オンデマンド印刷は様々な可能性を拡げる。業種・業態も一気に変革しそう。



(7月11日号)

小・中・高・大の学校教職員が来場する「NEWエデュケーションEXPO」は今年も盛況で、「教育の情報化」や「学校の環境づくり」、「校務支援システム」など多彩に提示された▼この業界で最近ホットなキーワードとして注目されているのが、アクティブ・ラーニング。「能動的学習」と訳され、最初は大学で実施されたが、文部科学省は小・中・高でも推進する方向性を打ち出した▼教師の話しを一方的に聴くだけの受け身な学習の仕方では、「主体的に考え、学ぶ力を持った人材が育たない」という判断▼展示会場内に設営された「フューチャークラスルーム(未来の教室)」では、一人一台のタブレット端末や巨大な電子黒板を使って双方向のコミュニケーションが活発に行なわれた。遠くから見ていると、ワークスタイル変革を促すビジネス向けのプレゼンテーションのようにも見えた▼展示会の数日後、佐賀県立高校の生徒の成績情報が流出する事件が起こった。同校は全国の公立校のなかでも電子黒板の設置率やパソコンの整備率が格段に高いICT化の先進校なだけに、導入していた校務支援システムのネットワーク管理が杜撰だったと文部科学省はショックを受けている▼犯人≠ヘ17歳の生徒。何に対して「能動的」に行動すべきなのか、OA販社は機器提供の他にも支援・提案することがあるのでは。


(7月4日号)
日本には約570万の小売店舗があるらしい。これは海外諸国に比べて多いほうだとか。そのうち、販売時に取引を記録する機械、レジスターを使用している店舗はいくつあるのだろうか▼現在、国内でレジスターを使っている店舗と、今後レジスターを導入する可能性のある店舗を合わせると約300万あると聞いた▼リクルートライフスタイル社がビックカメラ店のOA機器売り場に「Airレジ」のサービスカウンターを開設した(6月13日号に記事)▼これはレジ業務がスマートフォンやタブレットで行なえるクラウドのアプリで、商品登録や会計入力、売上集計、レシート印刷、キャッシャー連携などの機能がネットワーク環境で利用できるモバイルPOSレジシステム▼お金を入れるキャッシュドロアに電卓とレシート印刷機能が付いたガチャレジ≠ヘ従来の「機械」のイメージがあるが、これとは異なるため、店舗経営者は興味を示す人もいれば、全く関心のない人など反応は様々▼中小規模の店舗や個人事業者にこの目新しいアプリをどう説明するか。ビジネスユーザーに初めて向き合うリクルートL社は「対面しかない」と判断しサービスカウンターを設けた。ビックカメラは「これまでOA機器を買いに来てくれていたお客様が誰なのか把握できていなかった」と▼ともに顧客関係強化に乗り出す。


(6月27日号)

J・D・パワー社がコールセンターの満足度調査結果を発表した。調査を実施した対象は金融や保険、通信事業、自動車メーカーなどで、事務機は見あたらないが、「オペレーター対応や運用改善に取り組む企業が業界を問わず増加した」と評している▼高評価を得た上位企業にはいくつかの共通点があり、その一つが「オペレーターへの電話の繋がりやすさ」。自動音声で案内したあとオペレーターが応答するまでの待ち時間が全体平均では4・4分だったのが、上位5社の平均は2・1分▼電話をかけて一回で繋がった割合も全体平均が74%であるのに対して上位企業は88%と高かった▼業界別の評価で昨年より大幅に上昇したのは自動車メーカー。過去2回の調査ではリコール問題で満足度が低かったが、「少しでも顧客のストレスを軽減するために受付の方法や対応の内容についての改善が行なわれた」としている▼企業に問い合せを行うとき、ウェブや対面などいくつかチャネルはあるが「なぜコールセンターを選んだのか」という問いには、「迅速に解決できるから」と四割が回答した。「すぐにオペレーターと話せる」はユーザーの率直な期待▼事務機のメンテナンス対応も速いに越したことはないだろうが、「普段顔をあわすサービスマンなら待ち時間は気にならない」という声を聞いたことがある。

 

(6月13日号)
OAに対してPAという語がかつて存在した。パーソナル・オートメーション。シャープが社内で用いていたという▼先月、パーソナライズ機能≠備えた複合機の新製品が続々と発表された▼キヤノンの新しい「イメージランナー・アドバンス」は、操作を始めるときの初期画面や表示言語、アドレス帳などの設定を一人ひとりのユーザーに合わせて最適化。さらに、その個々人の設定を同一ネットワーク内の他の複合機に同期させることもできる▼東芝テックの「e-STUDIO」も、スマートフォンやタブレットを操作するような感覚で使用できる画面を採用。その人がよく使う機能を先頭のページに配置したりアイコンを大きくするなどユーザーの利用環境に合わせて好みの操作画面にカスタマイズできる▼昨今モバイル機器が急速に普及したことで、OAから再び新たなPA時代を迎えたのか、オフィスで皆が共に使う複合機にもパーソナライズ化の波が押し寄せた感がある▼ユーザーが普段パソコンやモバイルを使う頻度や時間は相当なものだと思うが、複合機はどのくらいだろうか▼「イメージランナー・アドバンス」は百十五の新しい機能を搭載し、そのうち七十五はユーザーの声を反映させたという。多くのユーザーが頻繁に使えるよう促せば、地味な&。合機の存在感は高まるにちがいない。



(6月6日号)
顧客の潜在的なニーズを掘りおこし、きめ細かに対応する。そうした高度な接客術を企業のアルバイト員が実践している話を聴いた▼東芝テック中核ビジネスパートナー会総会で講演した齊藤泉さんは新幹線の車内で手押し車に飲食物や土産品をのせて客席間を売り歩くワゴンサービスの販売員。20年以上時間給で働いている▼他の販売員の売上げが1回の乗車で平均7〜8万円のところ、斎藤さんはその三倍を売り上げるという。この講演を聴く前は、誰がやっても同じではないのかと疑問に思ったが、聴き終えて、三倍の実績を上げるのは当然だと納得した▼仕事に取り組む五つの心掛けがあるという。@今日出遭うお客はどんなニーズがあるか予測を立てるAその準備をするB予測が当たったか確認するC修正するD一日を振りかえる▼@で予測を立てるとき、朝起きたら天気予報やニュースを見る前に自分の五感を意識すると「昨日とは違った一日が始まる」「同じ日は存在しない」と新鮮な気分になり、いろんなアイディアが湧いてくるという▼Bではお客をよく見ることで自分が何をすべきか手掛かりをつかみ、チャンスを広げる▼Cでお客に響くアプローチの仕方が磨かれ、Dでその日を反省し、考える力をつける▼今度新幹線に乗って車内の通路を歩くとき乗客をそれとなしに観察してみようと思う。


(5月30日号)
先月紹介した、元リコージャパン・販売力強化センター長の杉山大二郎氏による新刊ビジネス小説『ザ・マネジメント』は、大手メーカー販社の営業部長を務める主人公が業績低迷する小規模の事務機販売店に出向し営業を立て直す物語▼読んでいて、今年の1月に取材した業界の賀詞交歓会を思い出した。「組織を活性化させるのは幹部の役目だ」という発言が印象に残っていた。この集会に出席していたのは各組織で指揮をとる人たち▼『ザ・マネジメント』はフィクションとはいえ、販売店の窮状が生々しく描写されていて、どれも実際にあった話ではないかと想像してしまう▼「業績が悪化するのは商品の売上構成比に問題がある」「部署が違うと温度差も時間の流れ方も異なる」「創業者が院政を敷くため次の世代が育たない」「担当がかわっても顧客と関係が継続できる仕組みを作っているか」「大手販社が採算度外視の安売り攻勢をかけてきた」…▼主人公は、ビジョンを共有し、情報を活用することで社員一人ひとりの意識を変えていく▼先日他紙が「昇進を嫌がる若者が増えている」と報じていた。「部下の世話でストレスをためたくない」などの理由らしい▼著者は「リーダーは楽しくてやりがいのある仕事」だと訴える。過酷な現場が描かれる小説だが、人の生き方に共感することの喜びが伝わってくる。


(5月16日号)
外出先や自宅で仕事をする多様な働き方≠ェ増えるようになると、社員どうしが打ち合わせをしたり話し合いをするミーティングや会議の仕方も変わってくる▼それぞれの社員が同じ時間に一ヶ所に集まることが難しくなり、会議室に集合しなくてもコミュニケーションがとれる仕組みとして注目されているのが、テレビ会議や遠隔会議システム▼互いに情報を伝え合うのは電話やメールでもできるが、それでもテレビ会議が調法されるのは、やはりコミュニケーションはお互いに顔を見て行なうのが一番だと多くのワーカーが自覚しているからだろう▼テレビ会議は参加者それぞれの熱意や細かいニュアンスが伝わってきてコミュニケーションが円滑になる。移動時間の無駄がなくなって交通費や宿泊費も削減できる。移動による時間や疲れ、ストレスも減って、別の業務に集中できるのもメリット。さらに最近は低価格のWeb会議も品質が向上している▼ただ、「この便利なシステムを営業の現場で用いるときは注意を要する」との意見を聞いた。「テレビ会議はたしかにコスト削減を実現してくれる。けれども、顧客に対してコストを削ったら逆効果を招く。なぜなら、手間暇をかければかけるほど深まるのがコミュニケーションだから」と▼今後は、臨場感に加えて、共感力を高める機能が付加価値になるかも。



(5月2日号)

紙を沢山使う業界の一つに不動産業界がある。住宅物件の売買価格や相場が記載された不動産取引情報はインターネットで引き出せるが、これを基に作る物件情報は紙で作成されるのが主流でこれをベースに消費者向けにチラシとして大量に印刷される▼この物件情報には「帯(おび)」と呼ばれる、不動産店舗名や営業担当者名などが記されている箇所がある。仲介業者は「帯」の内容を自店舗の情報に張り替えて顧客に提示するが、手作業で行なうため時間を費やし負担となっている▼OKIデータが発売した「どんな帯でも自動認識張替えソリューション」は複合機のタッチパネル操作で張り替えることができ、30分かかっていたのを5分に短縮▼同社社員が賃貸マンションを探している時に思いつき、不動産屋を何軒もまわって足で開発した<Aプリケーション▼日本国内には約28万店の不動産店舗があり、海外でもこの業界は小規模事業者が多いという▼先日、近所の不動産屋さんと話す機会があった。チラシは自分で手作業で作って、地域の住宅や団地に半日で千枚以上を配布、それが仕事の基本だという▼世間ではやや強引で出来高制など荒っぽく見られがちな業界だが、今後はホテルのコンシエルジュのように上品な顧客対応を目指していく風潮があるという。事務機屋もそんなふうに変わってきているのかも。

  

(4月25日号)
監視カメラの市場が拡がり、二年後には世界市場規模が4千3百万台を超えると予測されている▼日本国内をみても、銀行やコンビニにとどまらず会社の受付、公共機関、学校、店舗、マンションなど様々な所で見かけるようになった▼今後ますます需要が見込める情報機器といえる。これらが設置される目的は「犯行の未然防止」「証拠映像の記録」▼行動経済学者によると、たいていの人間はちょっとしたズルやゴマかしをする習性があるという。例えば、自動車が走っていない道路を赤信号で渡ったり、硬貨を入れなくても作動する清涼飲料水の自動販売機でお金を払わなかったり。周囲に誰もいなければ▼そのような現場で、人の目の写真を貼り出したら、ルール違反を犯す人が三割減ったという実験結果があるらしい▼誰かに見られているという意識があると、マナーやモラルの低下が防げるということか。小さなズルやゴマかしがエスカレートして、大きな不正につながることがある。昨今次々と発覚する不祥事は他人事ではない▼前号と今号では各社の入社式での訓示を伝えている。倫理観を強調した言葉が印象に残った▼「まず何をおいても人として正しい倫理観を持つことが大切。倫理観を持たない企業は社会で活動することは許されない。皆さんにはこのことの大切さをあらためて認識し、日々の仕事にあたってもらいたい」。


(4月11日号)

一昨年頃からのキーワード「ワークスタイルの変革」が近頃は様々な業界で叫ばれるようになった。働き方をどう変えるかは色んな観点や手法があるが、OA業界が重視するのはペーパーレス化▼昨年社内保管文書ゼロ化≠フプロジェクトを立ち上げたコニカミノルタはこの夏に達成する見込み。スキャナメーカーのPFUは現在8%まで保管文書を削減している▼PFUは一昨年の秋に川崎市から横浜市へ移転した際に社員1千5百名がそれまで一人あたり17個の紙ファイルを所持していたのを、引越しを切っ掛けに整理・処分し、たった1個分に減らした▼その量を長さで表すと東京スカイツリー3本分に相当する紙ファイルの数が、横浜マリンタワー1本に納まったという▼スリム化を果たした新しいオフィスでは業務のスピード化や社員間のコミュニケーションが高まって働き方は大きく変わったそうだ▼同社によると、削減するのは保管する℃文書であって、業務中にやり取りする文書はやはり紙のほうが便利で正確なことがまだまだ多いという。たしかに小紙の場合でも記事原稿の校正作業は電子画面上ではミスが多くなる▼「紙」の文化が根強い日本のビジネス現場。「紙は使うが、残さない」ようにするためには、「電子化」した後、それらを扱いやすくする情報化≠フ提案が欠かせない。

 

(4月4日号)
4月1日からJRRC(公益社団法人日本複製権センター)が、出版者や新聞社から複写等に係る権利を直接受託する「個別受託制度」を開始した。これは小紙のような業界新聞の記事も著作権を保護するという新たな動き▼例えば小社には時々、購読者から「このあいだおたくの新聞に載った記事をコピーしてうちの社員に配ってもいい?」という電話がかかってくる。今後JRRCと管理受託契約を結べば、「もういちいち電話しなくてもいいですよ」ということになる▼出版物などの記事を著作権者の許可を得ないでコピーやスキャンをして誰かに渡したりすると、それは違法となるが、そういうことに無頓着な人がわりと多い。許諾を得ようと電話してくる人はそういう意識をもっているが、何も知らずに平気で複製している人は少なくなさそう▼仕事で法務や知的財産権に関わる人でないと著作権法について考えたこともないというのが現状だとか。業界新聞も自分が権利者だと自覚していなかったという記者がいた▼全国あらゆる業界のなかでも事務機の業界は複写機やスキャナ機器という違法行為を助長する(?)道具≠日々扱っている集団ともいえる▼小紙など事務機器関連の業界紙と機器提供者は共に、利用者(ユーザー)に向けて著作権のルールと道具の正しい℃gい方を率先して伝える義務がある。



(3月28日号)

コニカミノルタや京セラドキュメントソリューションズなど複合機業界の社員が地域の小学校や中学校に出向いて「コピー機の仕組み」を児童・生徒に伝える『出前授業』が活発に行なわれている▼目的の一つは「理科離れ」をなくすこと。科学が身の回りの製品にどのように応用されているかを知ることで学習意欲を向上させる。さらに、キャリア教育の観点からも出前授業は注目されている▼学校の先生から教わるのではなく、職業として携わる企業人と接することで、学習することと社会で生きていくことの関係を肌で感じる。フリーターやニートが増える昨今、働くことに対する意識や行動に影響を与えることへの期待ともいえる▼白い紙にコピーやプリントで文字や画像を鮮やかに浮かび上がらせるのは今や当たり前の光景。操作が上手くいかなければ電話ひとつで技術者がすぐに解決してくれる、そんな時代だけに、大人でさえ機械の中身に関心をもつことが少なくなっている▼数年前「出前授業」を取材に行ったとき、電気エネルギーが「光」や「熱」、「運動」へと新たなエネルギーに生まれ変わる様子を童心にかえって見つめた▼活き活きと目が輝く子どもたちの表情をカメラに収めたが、肖像権とやらで掲載できなかった。今度はシャッターを切るより、生の感想の声を一人でも多く拾おうと思う。


(3月14日号)

大塚商会のオフィスサプライ通販「たのめーる」のwebサイト画面がリニューアルされ、『検索』の箇所が以前よりも大きな表示に変わったらしい。昨今のユーザーは欲しい商品を探すとき、目次から調べるよりもキーワードを打ち込むようになったため▼サイトに掲載されている商品点数は15万。紙のカタログ冊子は2万5千点。だからといってカタログ誌の発行部数は減っていないという。ペラペラめくりながら探すのもユーザーの楽しみ▼『検索』という言葉はいつ頃から広まったのか。平成10年までの広辞苑ではこの語の意味を「(本の中に記されている事柄を)調べ探すこと」、使用例として「索引で語を検索する」と説明していて、一般には馴染みのない言葉だった▼インターネットが普及し、この語の知名度が上がる。平成20年の広辞苑での説明は「データの中から必要な事項をさがし出すこと」に変わった▼業界各社は次々とwebサイトを立ち上げ、「これまで接点のなかった顧客から注文を受けるようになった」と効果を語る。「何か調べごとがあるときは、まず『検索』してみる。そういう時代になった」と▼先日、88歳の伯母から「『検索』ってどういう意味?」と聞かれた。新聞やテレビでこの語を頻繁に目にするようだ。BtoCに目を向けるなら、まだまだ大きな市場が埋もれているのでは。 

 
(3月7日号)

先月は中華圏の旧正月にあたる春節の連休があった。それに合わせて観光客が押し寄せ、国内の小売や観光業界では爆買い≠ェ昨年以上に沸騰する、と期待が高まった▼だが、「思ったほどの勢いはなかった」とか「去年よりも落ち着いたかんじで、肩すかし」という声が聞かれたという。訪日外国人によるインバウンド需要に陰りが見えはじめたのだろうか?▼先日、海外から戻ってきた知人が「完成品を造る諸外国の技術が日本に追いついてきた。部品産業もアドバンテージが取りにくくなりつつある」と危惧していた▼それでも、日本が自信をもって誇れるものがあるという。それは、おもてなしのサービス精神。「海外では高級ホテルでも接客態度にがっかりさせられることが少なくない」と▼電通が実施した「ジャパンブランド調査」によると、「日本の好きなところ」の上位には「伝統文化」「食」「自然」「技術力」のほかに「日本人の気質」として「勤勉さ」や「親切さ」などホスピタリティーがあがっている▼この国でずっと暮らしていると気づきにくいが、これこそ高付加価値の日本の「ブランド」かもしれない▼日本の企業はそれぞれの顧客あわせて提案できる対応力を磨きあげてきた。とくに「モノからコト」へと体験を通して価値提供する所作を身につけたこの業界は得意とするところにちがいない。

 

(2月22日号)
調査機関などのデータによると、日本人の労働時間は各国と比較するとかなり長く、有給休暇を取ることへの意識も低いという結果が出ていて、そう自覚している日本人は多いという▼「なぜ長時間働くのか?」「熱心で真面目だから?」「経営の仕方方の問題?」…労働政策の専門家もこの要因を未だ解明できていないらしい▼『ドイツ人はなぜ1年に150日休んでも仕事が回るのか』
(熊谷徹著/青春出版社)によると、ドイツ人は日本人よりも高い生産性で仕事をこなしているという。ドイツ社会では休暇を重要視する価値観が昔からあって、今の商習慣にも表れていると説明している▼「ドイツのお客さんは自分の顔なじみの担当者がその日いなくても代わって対応してくれる人がいれば満足する」。企業は「その担当者でなくては仕事がつとまらない」という事態が起こらないように努めている▼そのため、書類や電子ファイルを分かりやすく整理しておくことが徹底されている。書類がアルファベット順や年代順に整然と分類され、誰でもすぐ見つけられるシステムがとられる。「文書をただちに発見できるインフラは常識で不可欠」だと▼情報があふれ、ワークライフバランスが懸念される昨今、ドイツの長所を採り入れて、時間を大切に過ごす術を、この業界なら日本のワーカーに届けられるのでは。

 

(2月8日号)

先月開かれた情報ビジネスリコー会での講演は、POD(プリントオンデマンド)をテーマとした研修ではなく、電子看板ビジネスへの誘いだった。演題は「ビジュアルコミュニケーションによる新たな顧客ニーズへの対応〜急成長するデジタルサイネージ市場への商機」▼3月にジアゾ感光紙の販売が終了し、複写業者の次代の糧としてPODが注目されているが、電子看板は「紙」とは全く別次元のシロモノ。とはいえ、看板は従来、紙や板に手書きで表現されてきた媒体なので、時代による変革の着眼点が活かされる分野▼講演では冒頭の枕≠ゥら惹きつけられた。スクリーンに映し出された動画を指して講師が「この、回転するネコのイラストを見てください」と紹介。このネコは右向きに回り続けているのか?それとも左か?▼聴講していた70人の会員は、約三分の一が「右回り」、約三分の二が「左」、5人が「左右交互に行き来している」と回答した▼正解は「交互」だった。当方も、講師が言った「回転する」を鵜呑みにして錯覚していた。物事を自分の目で素直に見つめることの難しさを痛感▼講演後、「正しく見るにはどんな訓練をしたらいいんですか?」と尋ねたら、「歳がいくほど難しい」と▼先入観をいかに取り払うか。青焼きの全盛期を体験した人ほど発想の切り換えが難しいかもしれない。


(2月1日号)
ビッグデータやIoT、人工知能ロボットなど昨今は第4次産業革命と言われているが、最初の革命の頃、日本では明治時代に様々な分野で変革が起こった▼それまで人力車や馬車で移動していたのが蒸気機関で運べるようになったり、力織機が導入されて手織作業を圧倒するなど、この頃の世の中の変わりようは今よりはるかに激動だったのではないかと思う▼今、弊社オフィスのすぐ近く(大阪・肥後橋)にある大同生命大阪本社で、当時の実業家・広岡浅子が活躍した資料の展示イベントが開催されている▼現在放送中のNHKテレビの連続ドラマ「あさが来た」のヒロインのモデル▼広岡浅子は大同生命の前身である大阪の豪商加島屋に嫁いだ後、炭鉱事業や銀行、保険業を手がけ、女子教育にも心血を注いで日本女子大学校の創立にも関わったという人物。いま注目されている「女性が輝く社会」に貢献した先駆者ともいえる▼七転び八起きを超える「九転十起(きゅうてんじっき)」が座右の銘だったという▼ドラマで主人公は幼い娘にこう話しかける。「お母ちゃんな、商いが好きなんどす。みんなで力あわせて、山があったら乗り越えて、ようよう考えて、ええほうにええほうに向こうていくのが、好きで好きたまらへんのだす」▼この台詞に深く共感された本紙読者は多いのではないかと思う。

 
(1月25日号)
本紙恒例の全国ディーラーアンケートが30回目を数えた(集計結果は1月4日号に掲載)。この調査を開始した昭和の終わり頃はOAブームに沸いていた時代だったので、さぞ満足度の高い回答が多かったのではと当時の紙面を開いてみたら、案外そうでもなかった▼「販売競争の激化による値引きで利益率が低下、機器単価も低下する二重苦で厳しい局面に立たされ…」という記述があり、七割近くの販売業者が「厳しい」現状を訴えていた▼当時の調査ではその年の業績についての問いを設けていなかったためか、回答に応じてくれる企業が多かった▼近年は毎回のように業績を聞いている。今回の集計で際立った項目は、その業績だった。「増収」が25%、「減収」44%、「変わらない」が18%となった。昨年も増収企業が減って減収企業が増える傾向にあったが、絶対数で増収企業が減収企業を上回っていた。だが、今回は減収企業が増収企業を上回るという事態となった▼さらに懸念されるのは、例年回答を送ってくれていた企業が減収減益のためか回答を拒否されるケースがみられ、減収企業のウェートは相当数にのぼるかもしれない▼長年競う合うことで互いに励みとなり、この業界は鍛え上げられてきたのだと思う。ただ、30年前の記事の見出しにも競争の上に「過当」の文字が乗っていた。


(1月18日号)
じかに聞くと、改めて考え込んでしまった。「ここ10年、複合機の業界はイノベーションが起こっていない」。先月、京セラドキュメントソリューションズが実施した「アイデアソン」の開会挨拶で語られた言葉▼グループに分かれ長時間にわたってアイデアを出し合い、それらを皆の前で発表する、このようなイベントを開催した趣旨▼実際のところ、各メーカーから発売される複合機は、その性能や機能はいつも進化している。とはいえ、進化しても価格が上がらない。上げられない。ユーザーから当然のように値下げを要求される▼販売の現場でこのような事態が10年も続くと、新製品の開発・設計・製造に携わっている人たちの無念さはいかばかりか。MFPという洗練された呼び方をするようになったのに、その価値がユーザーに伝わっていない▼「業界各社は新たな変革を待ち望んでいる」と挨拶は続いた。「アイデアソン」では業界外からの参加者も募り、各自が自由に発想したことをホワイトボードに描き出したり付箋を貼り付けたりと活発な話し合いが繰り広げられた▼司会進行役はITシステムのコンサルタント。話しかけると、「例えばクラウドでプリントする作法を考え出したのは紙を出力する業界ではない」とコメントをくれた▼現状から脱する手立ては。異業種との共創で革新を期待。 


(1月4日号)
「クラウドソーシング」「コンシューマライゼーション」「スマートデバイス」「ビッグデータ」「IoT」…。この業界は昔から外来語が多いが、昨今は溢れ気味のように思える。ユーザーはこれらIT関連用語をどれくらい認識しているのだろか▼ノークリサーチ社が年商5百億円未満の中堅・中小企業に聞いた調査によると、売上改善や経費削減を果たした企業ほど、これらの用語の意味を理解していて、一方、「知らない。聞いたことはあるが、意味が分からない」と回答した企業ほど目標を達成できていないという結果が出た▼日頃からIT関連の情報収集を行なっていない企業は仕事の効率も業績も上がらない傾向がある▼以前、キヤノンMJの村瀬会長が社長だったころ、社内外で外来語をあまり使わないようすすめていたことがある。やはり日本人にしっかり伝わるのは日本語、大和言葉なのか▼冒頭に列記した最近のカタカナ語は和訳するのが非常に困難。もはやこれら自体が日本語化していて、理解できないユーザーは置き去りにされかねない▼明治時代、「経済」や「科学」「時間」など和製語に翻訳した先人の創造力はその後の日本の経済発展の支えになったと言われる▼これまで中小企業のOA化を逞しく推し進めてきた事務機販売業者なら、難語を解きほぐして根気よく伝える底力があると思う。

2016年 ↑

2015年 ↓

(12月28日号)
2015年は、二人の巨星の訃報を伝えた。近畿複写産業協同組合発展の礎を築いた六藤正治氏と富士ゼロックス発展の礎を築いた小林陽太郎氏。お二人とも教育に熱心な経営者だった▼六藤氏は組合員の育成や組織の強化、事業の拡大を図り、理事長に昭和58年から平成16年まで22期にわたって就いた。また、全国組織である日本複写産業協同組合連合会(複写連)の設立にも尽力した▼樺島弘文氏が著した伝記『小林陽太郎‐「性善説」の経営者』では、「人は育つ、育てられるーそれが会社にとって、ひいては社会にとって、大きな成長の原動力になる。小林は富士ゼロックス入社当時の経験を通して、こう確信した」と記されている▼おそらく、お二人とも現役を引退してからも後輩同士のコミュニケーションや新しい発想での活動、技術開発などを見守っていたのだと思う▼いま業界は大きな節目を迎えている。来年3月は感光紙の供給が完全にストップし、「青写真焼付複写サービス」が終了する。複写連ではポストジアゾ時代のサービスを学び、語り合っている最中。一方、富士ゼロックスも既に複写機卒業≠掲げ、ソリューションサービスを加速している▼こうした、事業の構造や組織の体質を変革していこうとする現役の気力や体力は、やはり先人が築いてくれたた土台があってこそだと思う。


(12月14日号)
毎年、京都・清水寺で縦1・5b、横1・3bの和紙に墨で力強く書き上げられる「今年の漢字」。この新聞がお手もとに届く頃には発表されていると思うが、記者は「偽」が今年一年の世相を表わす1字ではないかと予想した▼2015年、企業や団体が不祥事を起こした報道は多かったように思う。旭化成建材の傾きマンション、東京五輪エンブレム、フォルクスワーゲンの排ガス不正、東芝の会計問題、日本年金機構の情報流出、東洋ゴム工業の免震ゴム偽装、タカタのエアバッグ異常破裂、化血研の製造記録偽造、…▼文書情報を大切に扱うこの業界としては残念なニュースが多発したが、「偽」は2007年も選ばれていて、物事を隠蔽する体質はなかなか抜けそうにない▼先々月、京セラドキュメントソリューションズがガートナーシンポジウムで提示した経営哲学「京セラフィロソフィー」は、「約束を守る」「嘘をつかない」「騙さない」「人間として正しい生き方を示す」ために、「全員参加」「ガラス張り」「ベクトルを合わせる」、これらを日々行なっていると説明した▼そして、「京セラは当たり前のことを実行する企業である」と訴えた▼当たり前のことをするのは案外難しいことなのかもしれないと思うのと同時に、当たり前のことを真面目に頑張ってやり続ける人が報われる世の中であってほしいと願う。



(12月7日号)
今から120年前、動く写真(映画)が開発され、劇場で上映されたとき、画面の向こうから駅に近づいてくる列車を見た観客は座席を立って逃げ出したという。モノクロで音声も無く、ドラマ仕立てでもない映像に当時の人々はその臨場感に慌てふためいた▼先月開かれたキヤノンEXPOでは次世代の画像や映像が繰り広げる超臨場感≠堪能した▼参考出品されたインクジェットプリンタや8Kカメラ、ディスプレイなど最新の技術が連携し、例えば高層ビルの屋上から下を見おろしているような、また、実際に美術館や公園に行ったような気分になった▼リードエグジビションジャパンが先月開催したライブ&イベント産業展でも、五感を刺激することが今後のキーワードだと提示していた▼西洋史学者の故・木村尚三郎氏は30年ほど前、こんな指摘をしていた。「高度成長の時代は人間の身体を刺激する新製品が溢れていた。例えば冷蔵庫や電子レンジは清涼感や味覚を刺激したし、自動車を運転して全身で楽しめた。が、今のコンピュータは目から上しか刺激しない」と▼しかし、イメージング技術がここまで進化してくるとデジタルが五感に訴えるツールに成りえる可能性が出てきた▼人の感性を刺激し、それにストーリー性を加味すれば、日々の営業活動にも大きな効果をもたらすのではないだろうか。



(11月23日号)

メンタルヘルス対策のためのストレスチェック実施を義務付ける法案が来月から施行される。従業員は厚生労働省が定める「職業性ストレス調査票」に記された数十の項目に回答しなければならない▼例えば「あなたの仕事について伺います。最もあてはまるものを選択してください」…「時間内に処理しきれない」「自分で仕事の順番・やり方を決めることができる」「職場の方針に自分の意見を反映できる」…▼これらの質問に対して「そうだ/まあそうだ/ややちがう/ちがう」のどれかを選ぶ▼これらを自動で分析してくれるのが昨今業界各社から提供されている労務環境改善システム▼ただ、この分析結果だけで健康に影響が生じるかどうかは個人によって異なるので専門医との面談が必要▼先日、「会社が合併を繰り返して社員数が増え、社内の情報ネットワーク共有は進んだものの、社員どうしの顔が見えにくくなった」と不安がる声を聞いた▼働き方や価値観の多様化によるコミュニケーション不足がなによりも心に異常をきたす原因ではないのか▼先月、京セラドキュメントソリューションズの大運動会を取材した。単なる社員どうしの交流やレクリエーションのレベルではなく、勝利に向かって一致団結する姿は新鮮で感動的。大声で声をかけあい真剣に取り組むのが一番のストレス解消法といえそう。



(11月9日号)

スマホなど携帯電話を利用する情報通信費の家計負担が増え、総務省が値下げを検討するよう業者に指示を出した。仕事でモバイル機器を用いるのは様々な有用性があるが、余暇でそれほど必要なものなのか?と以前から疑問を感じている記者などはやっぱりアナログ人間か▼ハガキなどに付着している紙粉やパウダーを取り除く装置を発売するなど、各種事務機を集めてこの夏フェアを開催した紙製品の総合メーカー、平和堂が英国のシステム手帳「ファイロファックス」を発売した▼システム手帳は仕事のスケジュール管理をシステマチックに運用できると日本では30年ほど前から売れ始めた。その代名詞でもあるファイロファックスはビジネス手帳の元祖で、ルーズリーフ式の用紙を革製のバインダーで綴じた商品は1921年に生まれたという▼欧米では「オーガナイザー」と呼ばれるが、日本では「システム手帳」の名で人気を博した▼かつての輸入事務機はドイツ製や米国製が多かったが、英国からは文化が運び込まれるのか。「電子の手帳よりも、紙の手帳のほうが好き」と愛着をもつユーザーは少なくない▼先日、ある業界団体の理事と話していると「20年間ファイロファックスを愛用していたが、二年前にスマホに換えた」と。複数の団体役員を兼任するようになってワークスタイルが変わったらしい。



(11月2日号)

先月は日本人二人のノーベル賞受賞が相次ぎ、日本中が沸いた。医学・生理学賞と物理学賞。日本人の手による科学研究の成果が明るい未来を照らし出す▼ニュートリノを検出するための観測装置スーパーカミオカンデの模型が展示されている東京・お台場の日本科学未来館ではノーベル賞が発表される直前まで受賞者を予想する活動を行ない、発表後は受賞した研究や科学のトレンドを紹介している▼リコーが8月に全天球カメラ「シータ」のアプリケーション開発コンテストの表彰式を開催した場所はこの日本科学未来館だった。360度の映像が撮影できるシータを使うとどんな新しい世界が見えるのか、メーカーもユーザーも知恵を絞ってこれまでにない映像表現の創造を目指す▼日本科学未来館の館長は初の日本人宇宙飛行士、毛利衛さん。「21世紀の科学技術は技術者と一般市民がアイディアを出し合って一緒に創り上げていくものだと思う。これはシータのコンセプトと同じ。ともに共創していきたい」と挨拶した▼メーカーと販売店も共創して新たな市場を創り出していく時代を迎えているのではないかと思う▼ある販売店の社長はこう呟く。「日ごろ研究開発に勤しむメーカーさんには、私たちが暗闇でも安心して前に進めるよう、一歩先の近未来のビジョンを示して足元を明るく照らしてほしい」。

 

 
(10月26日号)
「サイン、コサイン、タンジェントを女の子に教えて何になる?」と鹿児島県知事が発言したことで三角関数が話題になったとか。高校の終わり頃から無縁で過ごしてきた記者は数学と社会生活との関係性を問われたら辛いけれど、実際はとても有用なものらしい▼理想科学工業の広報誌『理想の詩』(秋号)の巻頭インタビューで数学者の新井紀子教授は「私にとって数学を語ることはコミュニケーションについて語ること」と述べている▼小中学生の頃はクラス全員が賛成しても自分一人だけ反対する協調性のない子どもだったという。自分の考えていることを皆にうまく伝えられず、もどかしい思いをした。大学で数学に出あい、「みんなが納得できる方法」を知る▼さらに「自分の見ている物事が他の人にも見えているとは限らない」ことに気づき、「たとえ論理が正しくても、話しの前提を相手が知らないと伝わらない」ことを痛感。「コミュニケーションも、論理を組み立てるお作法と、常に相手を思いやる気持ちが大切」▼新井氏は『ロボットは東大に入れるか』プロジェクトのリーダーを務める。人工知能が進化し続けたとき社会への影響を考察する▼今後オフィスの事務作業がコンピュータにどんどん代替されていくのは必至。人とコンピュータがどうやって共存できるか、皆が利益を享受できる成果に期待。




(10月12日号)

今年の日経ニューオフィス賞に応募した企業の数は昨年より二割も増えたらしい。従来は製造業が多かったが、近年はIT関連、金融機関、官公庁など様々な業種に拡がっている▼審査講評によると、新築やリフォームなどの投資は活発で、「オフィスづくりが企業のブランド価値を高める手段として認識されるようになった」と今年の傾向を説明している▼また、受賞企業の声を聞くと、「オフィスが変われば働き方も変わって、目標に邁進できる」というコメントがあった▼「働き方が変わる」…事務機の業界で今大きなテーマとなっている「ワークスタイル変革」がこの分野でも強く意識されるようになってきたのか▼「ワークスタイル変革」は「どこでも仕事ができる」というコンセプトで、社外でも自宅でも、つまり職場にいなくても働ける時代になったという話しだから、オフィス構築とは無縁とも思えるが、実際にどのようなニューオフィスが生まれているのか▼受賞社をいくつか見ると、フリーアドレスを採用したり、モバイルツールを使いやすくしたり、社員同士のコミュニケーションを活発にする仕掛けが工夫され、これらは「変革」を促進する空間といえる▼ひとつ懸念されるのは、応募企業の大半が大都市に所在する本社であること。来年はそれぞれの地域の特性を活かしたクリエイティブな職場が見たい。

 


(10月5日号)

今年の5月に御年百歳を迎えられた元シャープ副社長の佐々木正さんは電卓や太陽電池の開発など電子立国の父≠ニ呼ばれ、事務機ディーラー団体の会長も務められたこともあり、この業界とは縁の深い方▼この春まではNPO法人・新共創産業技術支援機構(略称ITAC)の理事長として活躍。ここでの講演会では、産官学が連携する共創の心≠唱えてきた▼ITACのミッションは「企業が事業を展開し成長していくにあたって妨げとなる課題を解決するために仲人となること」▼近年、「共に働く」「協力する」を意味する『コラボ(レーション)』という語を頻繁に見聞きするが、実際、技術者どうしが従来の人間関係の枠を越えて新たな繋がりを求め開発や事業を進めるのは難しいのが実情だという▼6月に新理事長に就いた松本紘氏は「異なった価値観や個性をぶっつけ合う共創の場≠ェ必要」だと改めて訴えている▼また、「今の日本のモノゴトづくり≠大変心配している」という松本新理事長は、「現在の不況の一つの原因は、技術が迷って共創道を見失っているから」だと指摘。「異なった価値観を持つ者同士が確かな信頼関係の上で共鳴しあわない限り、新しい物・事を生み出すことは出来ない」と▼佐々木博士のように一人だけの才能で大きな成果を出せた時代は遠い過去かもしれない。




(9月28日号)

今年もコンシューマー向けのインクジェットプリンタ商戦が始まった。キヤノン、エプソン、ブラザーが鎬をけずりあう季節▼今年の各社の新製品発表会をみていると、年賀状作成のPRがやや薄れた感がある。「プリンタは、年末だけでなく年中使ってほしい」▼標語は写真をキレイに印刷=Bインクの品質や印刷機能が向上し、プロのラボ業者の手を借りなくても自前で高画質の写真を出力できる時代になった▼けれども、撮った写真を日ごろ紙に出力しているユーザーはどれくらいいるのか。スマホやタブレットが普及したことで撮影する機会は格段に増えたが、鑑賞するのは液晶の画面でだけ、という人が多いのが現状▼エプソンの発表会でプレゼンを行なった鉄道写真家の中井精也氏は「写真がスマホやタブレットに閉じ込められている。紙に印刷することで解放してあげよう」とプリントすることの楽しさを訴えた▼「光沢紙だけが写真じゃない。マット紙を用いれば紙の風合いや手ざわり感を味わえ、作品の素が見えてくる」「家では真四角や横長のサイズにして家具や備品を飾っている」…「紙の種類やサイズを選べるのは、プリンタ所有者の特権だ」と▼「アマチュアでも想像力と工夫ア次第でプリントはいくらでも楽しめる」。この助言はプロダクション機を使った社内印刷業務にも通じるのでは。

 


(9月14日号)
文部科学省が小中学生を対象に実施した「全国学力調査」では理科の成績が以前よりも上がったようで、科学に興味をもつ子供たちが増えたのは喜ばしい▼先月リコーが海老名市にオープンした商業施設の名は「フューチャー・ハウス」。フューチャー(未来)の担い手である地元の子どもたちが大勢訪れ、科学技術を体験できるフロアが賑わっていた▼そのオープン記念式典には神奈川県さがみロボット産業特区推進センターから認定された『未来のハカセ』たちが招待された。彼らは「こんなロボットをつくりたい」とアイディアを考案した小中学生▼リコーの近藤会長は「いまや商品づくりはもう川上ではなく川下にきている。お客様のそばでイノベーションを創り出す時代」▼先月は学校が夏休みということもあって文具メーカーの団体が主催した「文紙メッセ」の会場にも多くの子どもたちが押し寄せ、各ブースで工作や描画などに取り組んでいた▼本来は卸や小売業者が商談を繰り広げる場。一般市民に開放していていいのかと、来場していた納品業の方に聞くと「子どものときに体験した思い出を大人になっても持ち続けてもらうことを願って当社も地元で毎年フェアを開催している」と将来を見据えた考え方をうかがうことができた▼短期間での成績ばかりが評価されがちな昨今、長期的な視野が大切。




(9月7日号)
日本経営協会がビジネス現場でのコミュニケーションの実態を調査し、その結果を白書としてまとめた。企業や団体が内外でどのように情報や意見を交換しあい、どんなツールを使っているのかを詳細に尋ねていて興味深い▼通信技術が発達したことで情報を伝達するツールやメディアは多種多様になった。5年前の調査に比べるとICT技術のスキルが一段と高まったことで伝達スピードが速まり、社員同士での情報共有も簡便になり、業務は効率化している▼その一方で、直接会話することが減ってきている。「日常の会話」や「相手を理解しようとする意識」など、話し方や聞き方の「スキル(能力)」が低下してきた、と問題視している▼自分と年齢が離れた世代や立場の異なる人とコミュニケーションを行なう際、「悩む」という回答があり、「現代人は発信の仕方が一方的になっている」と指摘▼先日、某社のインタビュー取材で「事務機の商売は対面販売が基本。昔も今も変わることはない」と断言している人がいた。「提案するには相手と直接会うことが鉄則」だと▼電子メールやSNSは「対面」の補助剤にしかすぎないのか。白書では非対面コミュニケーションの弱点をICTが克服することに期待を寄せている▼かくいう小紙もメディアながら文字を一方的に流しているだけかも。読者との双方向を考える。



(8月24日号)
数値は操作できるもの、と経営トップは思い込んでいたらしい。東芝の不適切会計事件。春に「業績の公表が遅れている」と聞いた時はそこまでは想像しなかった▼商売は数字が全て。けれども「目に見える結果だけが全てではない。もっと大事なものがある」と今年の「京都流°c定書」イベントは訴えていた(前号に記事掲載)▼基調講演で田坂広志シンクタンク・ソフィアバンク代表は「精神が成熟すれば目に見えない価値が見えてくる」とマネタリー経済からボランタリー経済への方向性を説いた▼「資本主義はそろそろ限界に来た。新たな考え方として、資本というのは、数値で表わせる『金融資本』だけでなく、数値化しにくい『知識資本』や『関係資本(人間同士の関係)』『共感資本』などがある」と▼そうした観点で企業経営のあり方を改めて考えてみると、制度疲労を起こしている組織は最近多いかも▼目に見えにくい価値とは、社員一人ひとりの工夫や努力、知恵、倫理観、人柄、人脈、等。これらの積み重ねが最終的に数値となって表れる▼これは新しい発想というよりも、永く顧客に信頼され続けてきた老舗企業ならどこも踏まえていること▼安易な「安売り」も数値を操作することで自らを欺く行為とはいえないか。提供する商品に自信があれば、それに値する収益が得られるはず。


(8月10日号)

戦後七十年目の夏を迎えた。一九四五年の終戦まで十五年戦争と呼ばれた期間を数えると、日本が先の戦争に関わり始めたのはおよそ八十五年前になる▼遠い昔の出来事であるし、もう二度とありえないと信じきっていたが、安保関連法案が強行に推し進められるなど最近の政情をみていると俄かに現実味を帯びてきた▼この国が何故、どのようにして戦争に突き進んでいったのか、また、どんな戦い方をしたのか、いま真剣に考える時期といえる▼太平洋戦争で大敗した原因は二つの技術が欠落していたとNHKのドキュメンタリー番組「エレクトロニクスが戦(いくさ)を制す」で知った。情報技術と防御技術に大きな差があった▼日本の戦闘機の動きを逸早くキャッチしたのは米国が開発したレーダー。一方、日本軍は兵士が双眼鏡で見張りをしていた▼米軍の戦闘機は操縦席に防弾鋼板を厳重に装備してパイロットの命を守ることを重視したが、零戦はこれを軽視し、機体を軽くして飛行距離と速度を優先する設計だった▼技術以前に意識が違った。大和魂で突貫、玉砕と特攻の精神。このような戦い方から今の私たちは何を学べばよいのか▼終戦直後、各地の在郷軍人会で関係書類の多くが焼却された。戦時下でどんな判断をし、どんな文書が作成されていたのか、当時の資料を保管しておいてほしかった。




(8月3日号)
「顧客満足」。仕事に携わる誰もが胸に抱く目標だと思う。コニカミノルタビジネスソリューションズは感動をお届けする≠目指して、様々なソリューション事業を強化するなか「保管文書ゼロ化」のプロジェクトを立ち上げた▼ペーパーレス化が叫ばれて久しいもののオフィスの紙文書はなかなか減らない。それに、紙出力機器を販売する企業がこのような宣言をするのは矛盾ともいえそうな戦略▼いずれにしても、保管文書が無くなるサービスが実現すれば、オフィスユーザーは満足を超えて感動するにちがいない▼6月にJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)が大阪で開催したセミナーは終日大雨でも会場は満席。製薬会社の情報管理担当者が電子化に取り組む現場の苦労を切々と伝えた▼「うちはIT屋ではないので上手に電子化できるか不安」「トラック8台分の紙文書をどうにかしたい」「電子化しても20〜30年すればフォーマットが変わって読めなくなるのでは?」…社内でこのような声があがって及び腰になり、「助けてほしい」と▼コニカミノルタは「ゼロ化」プロジェクトを、自社で実践して新事業に育てるという▼先日、出力機器のメーカー団体、JBMIAのオフィスは「過去の文書が多くて倉庫を借りて保存している」と聞いた。「ゼロ化」は業界をあげて実践してみてはどうか。




(7月27日号)
複合機ビジネスから、複合ビジネスへ=B広友イノテックス社の野村専務はコピー機業界にこんな一言を投げかけた(前号に記事掲載)▼小紙が毎年実施している「全国ディーラーアンケート」では、「業界外の商品を取り扱っていますか?」という質問を6年間続けている。取り扱っていると回答する企業とそうでない企業が近年はほぼ半数ずつの割合になってきた▼かつては「コピー機一本」で充足できたこの業界も複合ビジネスに取り組む必要に迫られて久しい。LED電球やプロジェクター、テレビ会議システム、モバイル、内装工事、クラウド、さらにミネラルウォーターと多岐にわたる▼コピー機業界に長年携わった経験のある野村氏が勧めるのは、中小オフィスユーザーのファイルデータを守るサーバ運用サービス。「複合機の保守メンテナンスを日々行なっているサービス担当者が適役。これによって、事務機販社の収益力は回復する」と▼カウンター料金が徐々に減少し、収益性が低下し続ける複合機ビジネス。野村氏の試算では「現在の複合機のMIF(稼働台数)顧客の1割にこの新サービスを提供すれば、日々の収益の目減り分を補完できる」▼コピー機業界はいまやドキュメントソリューション業界。文書情報を蓄積・運用するサーバは、取り扱いにくい業界外≠フ商品とはいえない。


 

  (7月13日号)
キソ化成産業がレーザープリンタで印字できる和紙のラベルを発売した。図柄に金色などを漉き込んで和風のイメージを取り入れている。用途は、例えば地元の特産品である和菓子やお茶の容器、陶器など置物を入れる箱などに利用できる▼開発者に投入した背景について聞くと、「和紙がユネスコの世界無形文化遺産となったことやクールジャパン、東京オリンピック、また、海外からの観光客が増加するインバウンド効果など、和風のブランドが好まれ、付加価値が向上する傾向にある」と指摘する。同社では既に糊無しの和紙も販売量が昨年から前年比2割増加しているという▼日本を訪れる外国人客は1千3百万人を超え過去最高、消費金額も2兆円とこれも過去最高の勢い。和ものブームで沸騰するこのインバウンド市場に各業界は期待感を高める▼向き合い方の要諦はおもてなし≠フ精神。来訪者を歓迎する様々なサービスが繰り広げられ、この国の自然や郷土料理、文化、技術などに好感や憧れを抱く外国人が増える▼その半面、労働者として既に入国している人たちの状況は過酷だと訴える報道が後を絶たない。働く場だけでなく、生活面でも外国人の家族が快適に暮らせる国とは言い難い▼旅行者には温かいが外国籍住民には冷たい日本社会。これを改善しないとリピーターは増えないと思う。

 


(7月6日号)
JIIMA(日本文書情報マネジメント協会)が開催した講演・セミナー、懇親会に参加した(記事は前号)。クラウドやビッグデータの時代といわれる今、文書情報が紙から電子へと急速に進む数々の動向が紹介され、デジタル社会への大きなうねりを感じた▼懇親会には国会議員や国会図書館館長、国土交通省・経済産業省の担当部署からも責任者が出席してスピーチが続いた。ドキュメントの業界が提供する技術やサービスへの期待が大きいことを確認。一方、これまで行政に対して旺盛に働きかけをしてきたJIIMAも逞しい▼e‐文書法の規制緩和や会社法、個人情報保護法の改正、不正競争防止法など、次々と繰り出す役人の明晰な頭脳に感心する▼とはいえ、日本年金機構がサイバー攻撃を受けて個人情報を大量に流出した事件をはじめその他のネット犯罪があとを絶たない情況を見ていると、いくら優秀でも、仕組みづくりだけが先行しているようで、どうも現場での運用は心もとない。「紙の書類に戻してくれ」という声が出て当然▼来年1月から施行されるマイナンバー制度は大丈夫なのか? ドキュメント各社はこの制度への対策ソリューションを続々と提供し始めた。企業が社員の情報を安全に保管するためのサービス▼「ユーザーに安心を提供する」。この業界は紙の時代からそれを使命としている。 

 


(6月22日号)

全国各地のビジネスパートナー販社が日ごろ営業活動に勤しみ、メーカー主催のコンテストでしのぎを削る。一年間の努力を称える表彰式はいつ見ても晴れがましい。インセンティブの賞金や海外研修旅行への招待など褒章制度はどの競技会でも用意されていると聞く▼表彰式の壇上にはパートナー各社のトップが立つが、ふと、彼らを支える多くの従業員はどんな人たちなのだろうと想像させる講演を聴いた▼先月、東芝テックが開催したパートナー表彰式での講演会で、元はとバス社長の宮端清次氏はES(従業員満足)の重要性を訴えた。「部下を末端だと思っている経営は破綻する。自分の代わりに頑張ってくれているという気持ちをもつことが大事だ」と▼かつて高度経済成長の時代、池田勇人内閣が掲げた所得倍増計画は、働く人の給料を2倍にしようという政策目標。当時の企業は設備投資も旺盛だったが、「人」を最優先した。今振り返れば、経営者も頑張って≠サういう判断をしたのだと思う▼消費者は買いたいものがいくつもあったから頑張った。結果、モノが売れて景気が良くなり、国民1人当たりの消費支出は10年で目標通り2倍以上に拡大した▼それから半世紀。いま買いたいモノは何なのか。顧客の満足を考える前に従業員が求めるモノ(コト)を考えるのが経営改革の早道かもしれない。

 

(6月8日号)
先月、「環境/CSR」特集を組むと業界の数社に提案したところ、「商品をPRする企画ではないので…。」と消極的な返答をした企業があった▼たしかに、造った製品を売ることが差し迫った課題であるから、商品についてふれない特集は関心が低い傾向にある▼しかし、売り切りのビジネスでなく、顧客との強い信頼によって長年繋がりを保つのがこの業界の特質であるから、他の業界よりも永続性を大切に考える企業は少なくない▼最近よく耳にする「サステナビリティ」という言葉は、口にするとき舌をかみそうなので、まだまだ定着しているとはいえないが、環境問題やCSR(企業の社会的責任)を考える上では重要なキーワードだということがリコーの取り組みを取材して分かった▼同社は「気候変動による災害の増加や、経済成長やグローバル化の負の側面ともいえる格差・貧困の拡大、人権問題、環境汚染など、これらの問題を解決し、社会の持続性、すなわちサステナビリティをいかに向上させるかは人類にとっての喫緊の課題」と捉え、「環境事業開発センター」を来年から本格稼動する▼今が良ければいいのではなく、将来に渡って好ましい状況を保ち続けることを目指した取り組み▼「経済を発展させることと地球環境を守ることは両立できるのか?」。この問いに答える企業が生き残るのだと思う。


(6月1日号)
新聞紙もバリアブル印刷する時代が来たのかと驚嘆した。「事務機」の隣にある「印刷」の業界紙▼先月インテックス大阪で開かれた「JP展」に行くと、初日の朝に行なわれた開会式の記事が載った新聞が数時間後に会場入り口で配布されていた。驚いたのはその速報性だけでなく、1面の片にあるスタンプラリー企画の紹介内容が一部一部違う▼来場者は一人ひとり、異なる訪問先情報を見て、各ブースのスタンプを集めに回るという新たなイベント体験を楽しんでいた▼近隣の業界とはいえ、この画期的な紙面を刷っているのは、「事務機」のメーカー各社によって年々進化しているプリントオンデマンド技術。このデジタルによる可変情報印刷とオフセット輪転機のスピード性を融合させた▼さらに、紙媒体とインターネットをつなぐ♀驩謔ニしてAR(拡張現実)を利用し、ポスターにスマホをかざすと動画が現れ景品が当たるサービスもあった▼印刷業界は今、受注産業から創注産業≠ヨの転換を図っている。ただ、主催者に聞くと、依然来場者の殆どは印刷業者だという▼会場ではかつての複写機では出来なかったような成果物が数多展示されていた。オンデマンド市場は印刷業界だけのものではない。一般企業の社内印刷ニーズを喚起するのは複写機販売で培った事務機屋の顧客対応力がものをいうはず。


(5月25日号)
「スマホだけで仕事が出来る時代になった」。そんな声をよく聞く。通勤電車でスマートフォンやタブレット端末を操作する人を見ない日はない▼情報機器が生活の一部となる一方で、その「依存症」が問題となっている。ある調査によると、スマホが手もとにないと不安になって学業や仕事に支障が出るケースがあるという結果が出ている▼先月、信州大学の入学式で「スマホやめるか、大学やめるか」と学長が新入生に迫った。「独創力がなくなる」と▼2千年以上前の中国の書物「荘子」に「機(からくり)心」についての逸話がある。「機械というからくりに従事していると、やがては心が乱れて道を踏み外す」▼相手と手紙でやり取りしていた頃は返事が来るのに十日は待てたが、FAXだと2日、今はケータイでメールを送って半日以内に返信が来ないとイライラしてしまう。人はどんどん短気になり、「メンタルヘルス対策」が施行されることに▼速く物事を処理する目的は、それによってゆっくり考える時間をつくり出すことにあるはずが、その時間さえも効率化を競ってしまう。情報機器を扱う業界は最終的に何を目指すのか▼記事を書くのに20年ほど前からキーボードを使っているが、つい先日、他の新聞社の記者が原稿用紙に鉛筆で書いている姿を見た。自分はもう戻れない、と「機心」について思った。 

 


(5月18日号)
スキャナ製品の出荷台数が前年比二ケタ減と大幅に減少した(IDCジャパン調べ)。その要因は「自炊ブームが終わったため」だという▼自炊(じすい)とは、ユーザーが所有する書籍や雑誌を、スキャナを使ってデジタルデータに変換する作業。電子化するとき、データを自ら吸い込む≠アとからそう呼ばれた▼また、読み込む器材を持たないユーザーがデータ化作業を業者に委託する「スキャン代行サービス」も一時流行った▼いまペーパーレス化がどれくらい進んでいるのか不明だが、紙の原稿が数多存在してこそ「スキャナ専用機」の存在価値がある▼日本経営協会が長年実施してきた「電子化ファイリング検定」試験は一昨年「電子ファイリング検定」へと名称を変えた。かつて文書は紙を読み取って電子化したものが多かったが、近年は元本自体がデジタルで作成されていることから「化」は不要だと▼とはいえ、プリンタメーカーによると紙出力量は減っていないというから紙文書は多数存在する▼スキャナ製品はシートフェッドとフラットベッドの二つのタイプがあり、いずれも前年比を割り込んだが、どちらのタイプにも属さないPFUの非接触型のユニークな製品などは好調▼また今年はe‐文書法の要件緩和やマイナンバー制度など法改正が予定され、スキャナ市場にプラスの効果が期待される。




(5月4日号)

百円ショップに立ち寄った。日用品や文房具など多数。なかには百円以上の値打ちがしそうな品物も並んでいるが、想定の範囲を大きく逸脱するような商品は見あたらない▼事務機の業界で超安値落札があったという話しを聞いた。百円どころか1円で公共機関に納入したもよう。当事者によると「本体価格に消耗品、さらに設置費用も含めた総額で数十万円まで思い切って下げて挑んだが、まさか今どき1円で応札してくるとは」▼公正取引委員会では「正当な理由なしに商品または役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給し、他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがある行為等を不当廉売として禁止する」としていて、違反した事業者に対して「排除措置命令」や「警告」「注意」を行なう▼とはいえ、調査して明確な事実が判明しないかぎり、違反≠ニ単なる安売り≠ニの違いを見出すのは難しいという▼同委員会のホームページを見ると、2年前に通信機器業者が林野庁に1円で落札した事例を掲載しているが、このときは警告でも注意でもなく、「指摘」に留まった理由を説明している▼買う側の心理も気がかり。事務機器を使って業務を行なうことに価値を見出さないのか▼ユーザーに価値を提供することがこの業界の役割であるなら、我々の訴求活動はまだ不充分だということか。

 


(4月27日号)
先月他界した落語家の桂米朝師は人情味あふれる語り口で観客を魅了し続けた。話芸について、「言葉は意味を伝えるだけでなく、心情を届けるもの」というメッセージを残していたという▼情報を伝達するための機器を扱うこの業界もコミュニケーションの充実は肝要といえる▼「言語(バーバル)コミュニケーション」の要素は一般的に「音声、語彙、文法、文字・表記」があり、さらに五感によって感じとる非言語(ノンバーバル)コミュニケーションがある▼非言語メディア(媒体)には、動作や目、沈黙、対人空間など様々な要素がある。人がコミュニケーションを行なうときに用いる媒体として、「バーバル」は35%、「ノンバーバル」は65%だという説がある▼この比率がどの場面にも当てはまるのか知らないが、情報機器を提案する現場では、表現のニュアンスや、物腰、感情の表出など「非言語」は多用されていると思われる▼商談を成功させ顧客と長期にわたる信頼関係を築くには、質の高いコミュニケーションが必要なのでは▼米朝師は著書にこんなメッセージも残していた。「喋ると瞬時に消えてしまう話し言葉は、一期一会(いちごいちえ)」▼これはこの業界でフェースtoフェース営業の大切さを語るときによく引用されるヤン・カールソン氏の「真実の瞬間」にも通じる肝要°蛯セと思う。 

 

(4月13日号)
花見の宴を今年は職場で開く会社が多いらしい。新入社員も新たな仲間として迎えられ職場内の団結心が高まっているとか▼満開の桜のもとで行楽に興じる人は多いが、この風習がいつの時代からどのように広がって日本文化を象徴する春の風物詩となったのか、そんなことを考える人は少ないかもしれない▼業界各社から入社式の模様が届いた(3面に掲載)。新入社員に贈る各社トップからの激励のメッセージを読むと、「イノベーション」(革新、変革)という言葉が目をひく▼取り組みがイノベーティブであるかどうかを判断するポイントとして、「独創性があるか」「夢(将来性、発展性)があるか」「有益性(実用性)があるか」が問われることになるが、入社したての人たちは未来をどう描けばいいのか▼20世紀、技術立国として発展してきた日本の産業界だが、2000年代に入ってからは足踏みしていると言わざるをえない。ある人が「この国の歴史や文化を振りかえって堀りさげることが日本の産業の復活につながる」と指摘している▼「日本人の好みや仕事の仕方に合ったものをかつては造り提供していたが、21世紀はそれが出来ていない」と▼若い人たちの活躍の場はグローバルに広がっているのはたしか。けれども真のイノベーターに成長するには自国の良さを見つめて豊かな感性を養うことが大事なのでは。
 


(4月6日号)
TBSテレビの経済バラエティ番組「がっちりマンデー」からまた声がかかった。今度は「一般には知られていないが、その業界では有名な業界スター≠紹介してほしい」という企画だった▼事務機の業界にそういう人が最近は見当らないように思った。昔なら、画期的な新製品を開発した技術者や、凄腕の販売力で勢力を拡げ、怪物伝≠フように名の通った人の話しを聞いたことがあったが▼勿論、今この業界で実力を発揮している人はいる。そういう人を探して番組制作担当者に推薦したが、採用されなかった▼オンエアされた放送を見ると、書店、パン屋、林業、クリーニングの業界には誰もが知る有名人がいることを知った▼従来のやり方に慣れてしまうとなかなか思いつかない新案を考えて実行。お客を満足させるだけでなく、売上増で社員の給料をアップ。さらに、これから就職活動を行なおうとしている若い人たちがその仕事に憧れるようになった、と報じられていた▼事務機は一般のオフィスで使われる商品だから特殊な業界ではない。それだけに、多くの人々が心躍らせるような話題に乏しいというのは寂しい▼そんなことを考えていると先週、関西テレビから問い合わせがあった。最近面白い商品はないのか、と。この業界も目覚しいニュースが色々あるのだと、公共の電波を通じて紹介したい。



(3月23日号)
東日本大震災から4年。復興へ向けて懸命な作業が続く被災地では、自治体職員の疲労が深刻化している。心身ともに疲れ、うつ病を発症する人も。被災者だけでなく公務に携わる人たちの心のケアも必要、と課題が浮上している▼先日展示会で某事務機メーカーのブースに立ち寄り、「お薦めは何ですか?」と尋ねると、自社製品よりも真っ先にストレスを診断するコーナーへ案内された▼メンタルヘルス対策の充実を目的として、従業員数50人以上の全ての事業場にストレスチェックの実施を義務付ける「労働安全衛生法の一部を改正する法案」が昨年6月に国会で可決し、今年の12月に施行される▼メンタルヘルスとは「心の健康」。パワーハラスメントや長時間労働が原因で健康を害し休職する人が年々増えている▼労働者が体調不良になると、企業はコスト面でも生産性においても大きなマイナスとなる。メンタルヘルス不調を未然に防いで、明るく和やかな職場環境をつくることは企業の収益増加につながる、と改めて実感する経営者は少なくない▼ストレスがたまるのは人間関係に起因することが多いというから、50人未満で人事異動の少ない会社のほうが要注意かもしれない▼過酷な労働を強いて社員が退職してしまったら元も子もない。ブラック企業と呼ばれないためにもメンタルヘルス対策は重要。 



(3月9日号)
大塚商会の実践ソリューションフェアは今年も東・名・阪で大盛況。東京会場の来場者数は昨年より50%増えたという▼来場動員をかけるのは普通、営業担当者だと思うが、同社ではフェアを企画する部署が担い、工夫を凝らして集客に成功した▼営業部門の活動の成果は先月の決算発表をみても羨むばかりの好業績がうかがえる。売上高6千億円超。年商4千億で驚いていたのはそんな昔ではないような気がするが、「増収増益」「過去最高」と毎年記録を塗り替える▼国内のオフィスユーザーを顧客とするこの業界は厳しい経営環境が続いているはずだが、なぜ大塚さんだけが絶好調なのか▼「クラウドサービス」などの専門用語≠用いないと聞いた。「時代が変わっても、社名を変えない、働く部署の名称も変えない。変えるのは、中身」という信念がある▼部署名にしろ商品名にしろサービス名にしろ、カタカナで字数の多い言葉があふれかえる、そんな業界で、誰にでも伝わるシンプルな表現を心掛けることが顧客に寄り添える秘訣か▼フェア会場内に掲示された看板を見渡すと、「文書がつながる」「安全につながる」「よろず相談」など、やさしい言葉が並んでいた▼中央のメーンステージで最も印象に残ったプレゼンテーターの台詞。「オフィスに必要なものは・・・電気、ガス、水道、そして、大塚商会」。

 

(3月2日号)
IDCジャパンが先ごろ発表したプリント/ドキュメント管理の成熟度調査では、国内ユーザー企業の約半数が5段階中下から二つ目のレベル2(限定的導入)という結果だった▼これはオフィス機器やシステムの導入判断に関わる人々を対象に、プリントやドキュメント管理の実態、またMPS(マネージドプリントサービス)やモバイル/クラウドプリントの導入状況について聞き取ったもの▼調査では、意思統一、技術、人員、プロセスと四つの視点で総合的に評価した。レベル1は文書管理の仕方が各部署でバラバラに取り組んでいる状態、レベル2は紙出力量を把握するところまで。3はプリントのワークフローを標準基盤化、4はワークフロー全体を最適化(定量的管理)、レベル5はドキュメント中心のビジネスプロセスへ変革を遂げている状態▼国内で初めて行なわれたこの調査では48%の企業がレベル2と圧倒的に多く、レベル5の企業は僅か0・7%だった。米国では昨年レベル3が多数を占めた▼レベル2は、最新の出力機器や文書管理、セキュリティソフトなど導入は進めたものの、社内の一部だけでしか運用されず、隣の部署ではさっぱり…そういう企業が日本に多いと診断≠ウれた▼ハード機器の販売増は難しいかもしれないが、ソリューション提案の伸びしろは充分あると捉えていい。



(2月23日号)
過激派組織ISに拘束され犠牲となった後藤健二さんは中東やアフリカの紛争地に足を運び、そこで暮らす人々と心を通わせた。現場で体験したことを講演会や学校の授業などで語った。「自らの口で直接伝えること」が信条だったという▼「現場」の大切さは業界諸氏もこれまで度々取り上げている。先月の関西リコー会で中村会長は「経営者の使命感と社員のモチベーションは比例する」と、ヤマト運輸の現場の事例を取り上げた▼小船やリヤカー、徒歩でないと荷物を運べない僻地での様子を映し出し、荷物を届けた人と受け取った人とがふれあう感動のエピソードを後日社員どうしで共有しあう研修を紹介した▼これを受けてリコージャパンの佐藤社長は「お客様のことを知るには現場に行かないと分からない」とその重要性を強調。さらに、「多くの営業拠点を構えて現場へすぐに駆けつけられる24時間365日のサポート体制を備えても、それは単なる差別化でしかない。大切なのはお客様のことを誰よりもよく知っていること」と加えた▼現場の重要性は館林リコー2代目社長の語録にもあるらしい。土の中から取り出した玉ねぎは人から人へ手渡されていくうちに姿形が変わるというたとえ▼現場で起こっている真実をいかに正確に伝えるか。その方法や仕組みを顧客に提供するのはドキュメント業界の役割。

 

(2月9日号)
広いワンフロアのオフィスで大勢の社員が仕事をしている風景をよく見かけるようになった。これは本社を移転する企業の最近のトレンド▼そのメリットはそこで働くワーカー同士のコミュニケーションが活性すること。直接対面で話し合える職場環境が充実し、他の部署の社員とも情報交換できる▼全体の見通しがよく、活気に満ちたオフィスは取材で見学していても羨ましいばかり。ところが、移転して暫らくすると逆のデメリットを感じ始める社員もいるという▼先月プラスファニチャーカンパニーが自社のワンフロアオフィスで催したフェアは、移転1年後に実施した社内アンケートでの検証と改善の取り組みを発表する場でもあった▼間仕切りが少ない開放的な職場に長時間居て気になるのは、響きやすいノイズ(音)。とくに話し声だというから、本来の目的である社員同士の「交流」と個人の「集中」とは表裏一体といえる▼背面が後頭部の位置まで高く伸びたハイバックタイプのチェアやセミクローズタイプのソファに試しに座らせてもらうと、遮音だけでなく周囲の視線をさえぎる効果も体感できた▼ワンフロアオフィスが目指す最大の目標は、それまで分散していた各拠点を集約することで顧客に対して迅速なワンストップサービスを図ること。交流と集中を両立させて成果をあげていただきたい。


(2月2日号)
業界団体や販売店会は様々な活動を行なっているが、なかでも力を入れているのは「教育」だという。市場環境が激変する昨今、新たな技術に対応できるスキルを身につけなければならない▼このような教育研修会の現場を取材する機会は滅多にないが、おそらく専門家が講師となって受講者を指導する、学校でいう授業のような勉強会が繰り広げられているのだと思う▼先日見本市の開会式で今の教育のあり方を考えさせられるスピーチを聞いた▼ある大学講師の話しによると最近の学生はサボってばかりで講義を全く聴こうとしないので途方にくれ、こちらから色々尋ねてみると、インターネットなどあれこれ調べて情報を集め、自ら学習する習慣を身につけ始めたという▼今は上から目線で教え育む℃梠繧ナはないと。価値観が多様化し、何が正しい≠フかが分かりにくい時代。教える≠ニいう発想は上下関係を作ってしまう▼ダイバーシティのマネジメントなどを見ると、支援者が社会的弱者にスキルを伝えるとき教える≠ニいう言葉は「禁句」だという。支援する側もされる側も共に学ぶ学友≠ニ呼びあう▼教育の英訳はエデュケーション。この言葉の語源は「能力を引き出す」という意味だとか。能力が、習得するものでなく元々備わっていると考えれば、互いに尊重しあえる気持ちになれそう。


(1月26日号)
阪神・淡路大震災から20年。この災害を知らない世代がふえつつある。神戸市では被災した人たちの経験一つひとつが神戸の財産、と教訓や知恵を集めて伝えるプロジェクトを実施している。市民団体「阪神大震災を記録しつづける会」では被災者が綴った体験を手記集として出版している▼事務機業界の新年会に行ったら、販売店会や団体が今年は周年事業で節目を迎えるところが多いと聞いた。日本複写産業組合連合会が30周年、関西リコー会が50周年、さらに長い歴史をもつ企業は数多い▼それぞれ設立されたたときの趣意書や会合の記念写真などでこれまでの活動の歴史を振り返ることができるが、昔の先輩方が現場でどんな売り方をしていたのかについては、今ほど情報を収集して記録する時代ではなかったので直接訊かないと分からないことが多い▼最近はモノからコトへ≠ニ言われるが、昔はお客のところへ箱モノを運ぶだけが商売だったのだろうか?▼例えば、「この複写機を社内に置けば、社長さんのメッセージ文書をコピーして社員の皆さん一人ひとりに伝えることができますよ」と薦めた話しを聞いたことがある▼ソリューションという言葉こそ無い時代だが、当時としては訴求力のある提案営業だったと思う。価値ある経験を記録し伝えることが次の世代の繁栄につながっていく。


(1月19日号)
本紙が昨年暮れに実施した「全国ディーラーアンケート」(前号で集計を掲載)では、売上が減少した販社は一昨年よりも多く、政府の経済政策「アベノミクス」を享受した形跡は殆ど見られなかった▼アンケートでは「アベノミクスの効果はありましたか?」という質問を設けたが、「ない」と答えた企業は56%におよんだ(「あった」の回答は8%)。アベノミクスの本丸ともいえる第3の矢「成長戦略」の施策を待てず、解答欄の隅に「早く第4の矢を射ってくれ」と記す悲痛な叫びもあった▼減収の理由を「不況が原因」と答える企業が多かったが、景気が好転するのを受身的に待ち望んでいてもOA業界は活性化しないということをこの「ディーラーアンケート」では何年も前からその兆候を示している▼一方、売上が増加した販社はその理由に「システム化の進展」をあげた。ハード単体売りから脱してソフトやシステムを絡めた営業がソリューション提案につながったかどうかが明暗を分けた▼もう一つ、「不況対策で力を入れたことは?」の中で「人材補強」が目立った。ここ数年これを選ぶ経営者が少なかっただけに注目される。「メーカーとの連携」も上位を占めた▼「OA業界って、どこまでの業種を指すの?」という記述もあったが、他社と連携してサービス力を強化できる人材が今年は期待されている。


(1月5日号)
今年の干支は未。十二支のなかで兎に次いで人気があるという羊は温和で優しいイメージがある。人間に癒しを与える動物▼生命がなくても人の心を癒してくれるペット型ロボットが最近話題になっている。人工知能が発達し、人間の感情を読み取るロボットが今年発売されるとか。人の脳波がセンサーを通して信号となりロボットに伝わる。ロボットと「話したい」「友達になりたい」というニーズが高まっている▼ロボット技術の進展に対する期待は様々な分野で数多い。災害時の救助、介護、工場での作業、家事、道路や橋の点検、農作業、そして、話し相手▼ペット型ロボットは縫いぐるみの電気製品だが、「飼って」いるユーザーにとっては生き物同然の大切なパートナーだという。交換部品が無くなって「老衰」になったパートナーの死を悼み泣き崩れる様子をテレビで見て複雑な気持ちになった▼これほどまでの愛着を機械に対して抱けたら。ある事務機販社では社員全員が「コピー機が大好き」だという。それ故、MFPに進化したこの商品がもつあらゆる機能をオフィスユーザーに少しでも多く活用してもらいたいという想いが沸き立ち、提案活動に熱がこもる▼複写機は機械であり、電子機器でもあり、また、化学反応を起こさせる有機体ともいえる。ペット型ロボットよりも温かみがあるように思うのだけれど。

2015年 ↑

2014年 ↓

(12月22日号)
長年海外で暮らしている友人が先日帰国し、今年1年を振り返る話題になった。いつもインターネットや衛星放送で日本のニュースを見ているが、『今年の新語・流行語大賞』にノミネートされた50の言葉のうち半分は知らないと言う▼国内でずっと生活している記者も、3分の1くらい聞いたことがなかった。情報の仕入れ方や興味・関心が昨今は多様化しているのだろうか▼この業界で今年もっとも流行った言葉はワークスタイル変革≠セったと思われる。小紙の紙面にも何度も登場した。スマホやタブレットが普及し、その利活用が加速、ビジネスシーンやサービス提供の様子が変わってきた。遠隔地との情報伝達もテレビ会議やWeb会議の発達で迅速化した▼「こうした現象が2014年のトレンドでした」と小紙の読者で中小企業の経営者に申し上げたところ、「働き方が変わったところで、一体どうなるの?」と白けた返事が返ってきた。売上や粗利が増加しないかぎり変革とはいえない、と▼モバイル機器を有効活用したい企業の意識はたしかに高まっているが、導入したものの机の中にしまったままという会社も多いとか▼肝心なのは顧客やパートナーとの関係性が深まること。働き方変革はそれを達成するための手段▼来年はコミュニケーションを充実させるための言葉が流行するかもしれない。

(12月8日号)
OA機器やITソリューションの進展は業務を効率化させるが、その効果は人員の削減をもたらしていることが少なくない。人件費を抑えることは一企業にとっては成果ととらえることができるが、社会全体で見れば雇用の機会が減少することになるので手放しでは喜べない▼最近はアナログの見直しというか、人間の労力を重視する取り組みがみられる。先月開かれたOKIプレミアムフェアで一人乗りの小型電気自動車が展示されたブースに黒山の人だかりがあった▼これは金融窓口サービスを備えた小型電気自動車。ATM(現金自動預け払い機)と同様の入出金取引機能を搭載し、窓口業務を担う銀行員が運転して顧客の自宅を訪問する▼これまでトラックを用いた移動式店舗があったが、一人乗りの小型車なら災害時や道路が整備されていない過疎地で移動しやすい▼電気自動車は環境に優しいだけでなく、高齢者にも優しい。銀行まで出向くのが困難な顧客はどの地域でも増えているという▼車内にはタブレット端末やスキャナー、GPS(位置情報システム)も備えているので、デジタル技術が満載。人力あってこそのシステム活用▼デジタルとアナログを融合した好例といえそう。この展示会の開催テーマはよりより未来を実現するために≠セった。現状を見つめることでこの社会の一歩先を想像したい。

(12月1日号)
12月1日は映画の日。テレビが普及し映画産業が斜陽化した昭和30年代の半ば、巨匠と呼ばれた明治生まれの映画監督が「テレビに対抗して開発された70_フィルムはサイズを逸脱している。技術は進歩したのかもしれないが、散漫すぎて芸術性に欠ける」と憤慨した。しかし時代の流れか、その後劇場で上映される作品は横長の大画面が主流になる▼最近、パソコンショップの店頭ではスクエア型(縦横比が4対3や5対4比の画面)が姿を消し、並んでいるのはワイド型(16対9や16対10)ばかり▼世界各国にディスプレイ製品を供給しているメーカーの担当者に聞くと、コンシューマー向けのPCは9割がワイド型。同社の製品カタログを見ると20機種以上あるラインアップのうちスクエア型のモデルは一つだけ▼法人ユースの市場も、欧米だけでなくアジア諸国でもワイド型が圧倒的。そんななか日本のビジネスユーザーだけがスクエア型を求めるらしい▼机上のスペースが狭いのか、縦方向でWebやワープロソフトが見やすいのか、はっきりとした理由は不明だという▼スクエア型の生産中止を考えるメーカーもこの根強いニーズに首をかしげる▼冒頭の映画監督は明治時代の生まれだが、生粋の西洋人だった。日本贔屓だったらしいので日本人の感性や美意識を熟知していたのかもしれない。

 
(11月24日号)
GDP(国内総生産)が予想外のマイナス成長となり、国内市場にショックをもたらしている。「アベノミクスは失敗だった」と野党から批判の声があがっているが、景気の足踏みは政府だけの責任だろうか▼日ごろオフィスビジネスの進展をサポートし続けるこの業界も、ユーザー企業への対応の仕方に甘さがあったのでは?▼国内の様々な市場を調査するS社は「コスト削減を訴求するだけでは、ソリューション提案として不充分」と指摘する▼コストダウンを実現することは企業の収益を改善させ、売上増加と同等の効果ももたらすから、たしかに価値はある。しかし、これだけでは企業は元気にならない▼例えば遠隔会議システムの市場動向をみると、S社が三年前に調査したときは、企業は社内の拠点間での利用に留まっていたが、その後ICT環境が進み、様々の機器やサービスを組み合わせることで、状況に応じて働き方を変えられる柔軟なワークススタイル変革を実現。そうした企業が少しずつ増えてきた、と今年の調査結果にあがったという▼携帯電話からスマホへ、パソコンからタブレット端末へ、単なる置き換えではなく活用の提案が重要だと▼事務機器の業界には顧客企業の、その先の顧客にも満足を与える≠ニいうコンセプトがある。今の日本経済を救えるのはこの業界だけかもしれない。


(11月10日号)
ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の複写機・複合機部会・サービス分科会による「懸賞論文」募集で優秀賞に輝いた方々の体験論文を拝読した。今回のテーマは『私が考える10年後のサービスの姿とは』▼今年はこの懸賞が始まって25年目になる。事務機のサービス・サポート業務に携わっている人たちの環境は大きく変わった。機器はデジタル化し、ビジネス文書は紙だけでなく電子データとしても扱われるようになり、受賞者はいずれも「ICTの知識が必要とされ、そのスキルアップに取り組んできた」と述べている▼この先10年後は「保守・メンテナンスのリモートサービスがさらに進化し、機器のトラブルやエラーの発生はネットワークで自動検知する。機械が自分で故障の箇所を診断し、トナーの発注もカウンター検針も自動」と予想する▼そうなればコールセンターもエンジニア自身も不要になるのでは?と不安になるが、「今以上に求められる存在になる」「お客さま接点力≠ヘ絶対変わってはいけない」と断言している▼優秀論文から伝わってくるのは、商品が「複写機」だった頃のこの業界のビジネスは、「複合機」の時代になって、拡大し、深化しているのだという意識▼いま飽和状態といわれるオフィス向け複合機の国内市場だが、10年後は活況を取り戻した業界の姿を見たい。


(11月3日号)
「福島の復興なくして日本の再生なし」。東日本大震災発生から3年と8ヶ月。政府は復興政策を最重要課題と位置づけているが、その福島で「ものづくり」の国内回帰≠ノ取り組むOKIデータの福島事業所を先日取材した(前号に記事掲載)▼同社はA3モノクロLEDプリンタの生産を中国の工場から福島市の事業所に移管した。製造だけでなく、試作から保守メンテナンス、リサイクル、アフターサービスまでトータルに対応する高付加価値の体制を整えた▼メイド・イン・ふくしま≠フキャッチフレーズを掲げたこの取り組みは、「国内で製造業を発展させる新たな形として全国の注目を集めることになるにちがいない」と期待されている▼それを支えるのは、この地域の人たち。震災で被害を受けたが、工場は約三週間で操業を再開した。その後日々改善活動を実施し、数々の社内認定制度に挑み、高いスキルを身につけた匠(たくみ)≠ェ大勢生まれた。海外での従業員はすぐに転職してしまうので匠は育ちにくい▼歴史を振り返ると、幕末から明治にかけて福島県ほど厳しい状況におかれた地域はなかったと言われる。時代の波にさらされながらも多くの優れた人材が活躍し、近代国家建設に大きく貢献した▼ものづくりは、人をつくり、地域をつくり、そして、国づくりにつながっていくのだと思う。


(10月27日号)
日本経営協会が刊行した「ノマドワーカーの働き方実態調査報告書」では、最近注目されているこの新しい働き方について、ノマドワーカー自身と企業経営者に対してその意識を訊いている▼「ノマド」とは英語で遊牧民のこと。定まった職場を持たず、転々と場所を変えながら仕事をする人たち。長い歴史のなかで農耕・定住・集団で生活を営んできた日本民族とは行動スタイルが異なる▼何故このような働き方を選んだのかという質問にノマドワーカーは「自分の能力やスキルがより活かされると考えたので」と答えており、「自分らしく働ける」とワークライフバランスについては満足し、収入については満足していないケースが多いという▼一方、企業や組織側がノマドワーカーと連携する理由は「外部から高い専門性と知識・情報を調達して事業展開に役立てるため」で、半面、「機密や内部情報が漏えいする」「信用できる相手かどうか分からない」と信頼性への不安も感じている▼それでも、スピード化や創造性が求められる昨今、「今後は連携・活用の機会が増えると考える」の回答が半数以上を占めた▼最近多くの企業が社内で推進する「ワークスタイル変革」も社員のノマド化≠ニいえそう。社内外で既存の概念に囚われない異民族≠ェ活躍することで社会全体でのビジネススキルが向上していくのでは。


(10月13日号)
複合機やプリンターをムダなく使えるようサポートするMPS(マネージド・プリント・サービス)がユーザーに好評だという。IDCジャパン社の調査によると、導入したユーザーの半数以上が満足または非常に満足と回答し、この市場は今後年平均成長率が14%で伸長、4年後は763億円に達すると予測している▼ただ、このアウトソーシングサービスの内容を理解しているユーザーは3割に満たず、認知度は低い。従業員百人未満の企業では2割を切る▼MPSを導入すれば紙出力環境のトータルコストが把握・削減でき、業務の効率化や環境負荷軽減などの効果を得ることができる▼サポートベンダーの担当者に聞くと、「とくに導入当初は効果が大きく、削減した費用でサービス料が支払えるので喜んでもらえる」と。ただし、このオフィスのダイエット≠ヘ、しばらくすると体重≠ェリバウンドすることがあるので、維持・運用の仕方には取り計らいが必要だと▼認知度が低いのは導入企業が大手ばかりが現状だから。だが、5台や10台の小さな組織でも効果は出せるという。まだ僅かだが地域の事務機販売店でMPSに取り組むところもある▼機器の設置台数を減らすという、これまでとは逆の発想ともいえるので戸惑うかもしれないが、基本は顧客に密着すること。事務機屋にはその資質がある。


(10月6日号)
ダイバーシティーに取り組む主に女性達が集まる食事会に参加する機会があった。「そういえば近頃は『平等』という言葉を聞かなくなりましたね」と申し上げると、ジェンダー問題に携わっている方が「そんな表現はもう古い。今は『男女共同参画』というのよ」という返事が返ってきた▼たしかに今風のスマートな言い方だが、これは根本的な問題をオブラートに包んでしまっているのではないかと疑念がわいた▼アベノミクスの新たな金看板と言われる「女性の活躍推進」。女性の活用を今後の成長戦略の柱にすえた「ウーマノミクス」が注目されている。「ウーマン」(女性)と「エコノミクス」(経済)を組み合わせた造語らしい。雇用の男女格差が諸外国に比べて大きいこの日本で女性の力が十分に発揮できる社会は実現するのか▼キヤノンが女性ユーザー向けのインクジェットプリンターの新製品を発表した。同社の女性社員がプロジェクトを組んで新モデルを企画。身の回りの物を手作りし、お洒落にしたいといった女性のプリントニーズを起こす▼事務機の業界はどちらかというと男性の職場のイメージが強いかもしれない。今年、なでしこ銘柄≠ノ選ばれる企業はあるのだろうか▼前述のジェンダー活動家、「結局、女と男は元々違うものなのよ」と。女性の活躍は平等よりも多様性への意識を養ったほうがよさそう。



(9月22日号)
ホーム(家庭)向けのインクジェット(IJ)プリンタ年末商戦が始まった。従来はキヤノンとエプソンの2強の競り合いだったが、去年あたりからブラザーが加わって各社新製品の発表会(前号に記事)をみても三つ巴≠フ戦いとなって市場はさらに活性しそうな状況▼各社それぞれに、たとえば「写真画質が一段と綺麗になった」「スマホやタブレットをかざすだけで簡単にプリント」「さらに小型化」「年賀状機能を強化」など特長をPRしている▼発表会でのプレゼンでは市場動向が提示され、それによると国内のIJプリンタのマーケットは510万台。ホーム向けが多くを占めるが、そのホームの中に、ビジネス用途で使われている機器が42万台存在するという説明があった▼仕事で用いる紙出力機器としてはレーザー方式のプリンター市場がある。これは現在85万台を占めるが、ここ数年は微減傾向。それを補うかのようにビジネスインクジェット(BIJ)≠ニいう新たな勢力が台頭し始め今53万台にまで伸びてきた▼各社が発表する新製品のリリースに「家庭用」とか「ホーム向け」と記されていても、そこにはSOHOなどビジネスユースが潜んでいる▼潜在しているというより、顕在化したのがBIJともいえる。事務機販社としては企業ユーザーの細かなニーズに対応しやすくなったのでは。


(9月8日号)
リードエグジビションジャパンが7月に催した「総務・人事ワールド」は六つの展示会で構成し、開催規模は昨年よりも1・5倍に拡大して盛況だった。なかでも第1回目として開かれた「ワークスタイル変革EXPO」には事務機メーカーの出展も多く、小紙もこのゾーンにブースを構えた▼業界で今一番の流行語はこのワークスタイル変革≠セと思われる。経営環境や経済状況が目まぐるしく変化する昨今、企業が競争優位性を築くためのキーワードとしてこの語が注目を集めている▼5月に開かれたJBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)の定時総会でも、今後取り組む重点項目に「ワークスタイルの変化への対応」があがった。クラウドやモバイルコンピューティング、ビッグデータによる変化を先取りし、製品・サービスを革新し、ビジネス機会を拡大していくと▼クラウドやモバイルによって我々の働き方はどう変わり、これからの社会はどうなるのか▼定時総会のあと懇親会でJBMIAの会員の方々と話す機会があったので聞いてみた。例えば、介護で通勤できなくなった人や、これまで働くことができなかった身障者の人たちが勤務できるようになれば、社会を進歩させることになると▼この業界はこれまで効率性ばかりを追求してきたかもしれない。そんな価値観が変わりつつある。


(9月1日号)
先月、事務機メーカー主催の展示会と文具メーカー団体主催の見本市を取材した。デジタルとアナログが全く別世界だと思いつつ、前者が後者に取って代わるものではないと感じた▼タッチディスプレイとイラスト制作ソフトが連携したソリューションのデモを見て、今の時代の漫画家やイラストレーターは筆や絵の具を使わないのだと知った。最近のデジタイザーペン機能やペイントツールの進化には圧倒される。指の力の強弱で筆圧に対応し、紙やキャンバスに直接描くのと同じ感覚で絵が作成できてしまう▼一方、文具の展示会は夏休みということもあって小学生の児童らが母親と一緒に塗り絵や工作を体験できるコーナーがいくつも設けられ賑わっていた▼主催者であるコクヨの黒田社長は会見で「ビジネスユーザーを来場動員するのが今後の目標」としながらも、「一般のお客様が商品を触って、手を動かして、遊んで、楽しんでもらうのが見本市の本来の役割」と語っていた▼デジタル技術がいくら進化してもITがサポートできるのは手先の作業だけ。クリエーターには絵心が必要。こうした創作意欲を養うには幼少期にこのような体験をすることが大切なのでは▼新聞記者は絵は描かないが記事を書くのに今は筆記具を用いない。キーボード操作に頼りすぎると小学校で習う漢字も書けなくなってしまうかも。


(8月25日号)
8月は日本が不戦・非戦の想いを強くする月。2つの原爆の日と終戦の日が続き、戦後69年経ってもこれら式典は今の問題として執り行われ平和を祈る▼いつの頃からか戦略≠ニいう言葉に違和感を覚えるようになった。「戦」という文字を見ると戦争を想起し、人が傷つくイメージを抱いてしまうからかもしれない▼企業の方針説明会などに行くと必ず新戦略が発表される。企業だけでなく政府も「成長戦略」を進める▼「戦略」や「戦術」を『デザイン』という語で置き換えてみてはどうかと考えさせられる講演を聴いた▼issue+design代表の筧裕介氏は「デザインとは、問題の本質を直感的に捉え、そこに調和と秩序をもたらす行為。多くの人の心に訴え、行動を喚起し、社会に幸せなムーブメントを起こす活動」だと説明していた▼デザインは、狭義では図案や模様など美術的な施しを指すが、広義では「設計」や「計画」も意味し、考え方や発想の仕方など多義的に用いられる▼筧氏はCSRとともに最近注目度を高める「ソーシャルデザイン」を提唱している。課題に直面している人たちの声を聞き、仲間を集め、意見を出し合って進路をつくる▼今、価値を産み出す「デザイン力」とは何か。共感を得るためには誰もがデザイナーの意識をもち、互いに、競争でなく共創しあうことなのでは。


(8月11日号)
京都の夏を彩る祇園祭。今年は49年ぶりに後祭りが復活して話題となったが、山鉾巡行が華やかに行なわれる四条通や河原町通は現代の京都市のメーンストリート。だが平安時代、京の中心は現在の千本通にあたる朱雀大路だったらしい▼京都の事務機販社、ウエダ本社が7年前から毎夏開催しているイベント「京都流議定書」の会場は、今年はこの地域に移った(前号に記事)▼京都駅から北西の方角、梅小路公園や京都中央卸売市場がある所だが、京都市民でも「滅多に行かない場所」と言う地味なエリア。ウエダ本社は卸売市場に隣接する建物(京果会館)をリノベーションし、新たな複合商業施設が生まれた▼イベントを取材しに会場に入る前、建物のそばに鴻臚館(こうろかん)址の碑を見つけた。これは平安時代に設置された外交や海外交易の施設▼当時ここでは渤海国からの使節団を迎賓していた。源氏物語の桐壺の帖にはここに滞在する高麗人を光源氏が訪れるくだりがあると碑に記されている▼昨今、隣国との摩擦やグローバル経済への対応など課題は山積しているが、1千年以上も前から異文化の客をもてなし数々のイノベーションを遂げてきた歴史を誇るのが「京都流」か。こうした流儀は京都だけではないはず。全国各地の事務機販売店によって地域が活性し、新たな価値が生まれることを期待。


(8月4日号)
2020年の東京オリンピックが開催される頃まで、ずっと伸長していく商品は不動産と看板だという話を耳にした。看板といえば、映像や情報を表示するデジタル・サイネージ(電子看板)が巷に増えつつある▼ディスプレイやプロジェクタで動画や静止画を映し出す。デパートやスーパー、銀行、ホテル、病院、 駅、美術館などに設置され、今後は公共施設をはじめ学校やオフィスでデジタル掲示板として活用範囲が拡大していくという▼JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)の中にデータプロジェクタの部会が発足したのは平成11年。機器が小型化し、明るい場所でも投影できる性能を備えたことで、それまで文書画像しか扱っていなかった事務機の業界に、映像情報でビジネスを行なうスタイルが芽生えた▼いまはスマホやタブレットでも手軽に動画を持ち歩けるし、こうしたプレゼンツールは瞬く間に進展。最近はディスプレイが無くても建物や壁、テーブルなど物体あるいは空間に映像を映し出すプロジェクションマ ッピングも知られるようになった▼映像によるコミュニケーション技術はハードおよびソフトの両面で順調に展開している様子▼ただ、東京五輪の閉会式が終わるやいなや急激に低落するのはマンションなどの不動産価格だという。電子看板には同じ運命をたどってほしくない。


(7月28日号)
JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)のヒューマンセンタードデザイン小委員会が「オフィス機器における顧客価値向上のためのうれしい体験パターン活用ガイド」を発表した▼これは、より高い満足度を与える魅力的な製品やサービスを提供できるよう、使い勝手の良さや操作のしやすさなどユーザーの利用状況を多面的にとらえて顧客価値の創造と向上を図るもので、製品開発に携わる様々な部門の人々が活用できることを想定して作成された▼ここでは、ユーザーがMFPなどオフィス機器を長年使い続けるなか色々な場面で感じる満足感に着目し、うれしい体験¥Wとして類型化している▼それらをまとめた8つのパターンは、「楽々感がある」「学ばなくてもすぐできる」「自分に必要なことがすぐできる」「困っても頼れる安心感がある」「自分でできる安心感・達成感」「無駄が出ない」「愛着がわく」「他人から認められる」▼BtoBのオフィス製品がパーソナル製品と大きく異なる点は、使用者が一人だけでなく、多層的に存在すること。購入担当者と実際に機器を使う人が違ったり、また保守管理者が別にいたり、さらに、操作した人が出力した情報を第三者が活用するというケースも珍しくない▼一口に顧客満足≠ニ言っても、その経験価値はあまりにも多様であることを改めて認識する。


(7月14日号)
ドイツ機械工業連盟(VDMA)のRフェステゲ会長が先月来日し、記者会見が催された(前号に記事)▼VDMAは創立122年になる欧州最大の産業ネットワーク団体で、38の工業会を傘下におき、その企業数は約3100社、ドイツ国内で約100万人が従事しているという。売上は約30兆円にのぼり、 ドイツの中小企業を代表する組織≠ニ呼ばれている▼ドイツが日本に機械を輸出する主な38分野のデータが示され、そのなかで「印刷および紙技術機械」に目がとまった▼この分野は2008年までは機械製造に占める割合が8・5%と最大だったが、その後縮小し、今は低落した産業とみなされている▼VDMA は今、『インダストリー4・0』という産業プロジェクトに取り組んでいる。これは、従来の生産方法をコンピュータ化することで機械産業にチャンスを見出そうとするもの。それによって「中小企業の競争力の向上を目指す」という▼これを聞いて、ITは本来、弱い会社が強くなるためのものだったことに気づかされた。けれども、IT化がなかなか進まない企業がますます弱体化しているのが現状なのでは?▼「ソフトメーカーに左右されることがあってはならない。 ITに使われるのではなく、ITを使いこなさなくては」とRフェステゲ会長らVDMAの役員が語っていたのが強く印象に残った。


(7月7日号)
「アーカイブ」は英語で「記録保管所」のこと。NHKテレビが深夜に時々放送している番組名でこの言葉が知られるようになり、一般では過去の番組放送≠ニいうイメージをもつ人が多い▼「しかし、最近は我々の業界で言うところの文書情報の長期保存≠フ意味が世間で通用するようになった」とJIIMA(日本文書情報マネジメント協会)の高橋理事長は先日の講演「交付金対象となった橋梁等インフラ情報再整備事業の動向」で語っていた▼一昨年12月に中央自動車道笹子トンネルで発生した天井板の崩落事故を受けて昨年7月から全ての橋やトンネルで5年に1度の点検が義務化された。これら道路インフラは高度経済成長期に建設が集中したため、今後加速度的に老朽化がすすむと指摘されている。50年以上経過したものは当時の設計図がなく、自治体は点検するのが困難▼JIIMAは、防災・安全交付金に裏付けされた政策提言命と暮らしを守るインフラ情報再整備事業≠すすめている。「官公庁も企業もアーカイブの領域に財布の紐を緩めはじめた」。▼テレビ放送の開始から60年、過去の名番組でもビデオが残っているものは少ない。アナログの時代はきちんとした記録を残そうという考えが乏しかった▼デジタル時代を迎えた今、インフラの安全に向けたメンテナンスが期待される。


(6月23日号)
JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)のホームページに山本忠人副会長が『情報化社会に求められる教養』と題したエッセイを投稿している▼「インターネットの民生利用が始まってから四半世紀。インフラや基本技術が揃い始めた。ICT革命は産業革命以上の変革を社会にもたらすと言われているが、現在の使われ方ではそのポテンシャルを十分に発揮できておらず、実社会でどう利活用するかはこれからの取り組みにかかっている」▼そこで必要なのが教養≠セと指摘。「課題解決(ソリューション)には様々な社会的背景があり、教養は、そうした課題を俯瞰するための視座を与え、多様な価値観や視点を与えてくれるもの」だと▼固定観念に縛られたままICTを使っていては、いつまでたっても革命は起こせないということか▼産業革命がおこったのは18〜19世紀。当時新しい技術として繊維機械や蒸気機関、製鉄業など次々と開発を手掛けた人たちはたしかに教養が高かったと思われるが、技術の発達のほかに、先進国による植民地や労働問題など大きな社会変化が同時におこり長い年月をかけて「革命」は進んでいったとされる▼「産業」の革命ではあっても、その業界だけにとらわれず、社会全般に目を向ける。山本副会長は「人間を理解するための教養が大切」と記している。


(6月9日号)
「最近、時間の経過が加速しているようで、自分は変革できているのか不安になる」と溜息をつく人に、展示会を見に行くようすすめた。業界の「今」を見せてくれるイベント会場へ足を運ぶと、時代が着実に進んでいることを実感できる▼印刷業界の展示会で複写業界の人達と会うのも珍しくなくなった。オンデマンド・プリンティングが本格化し、オフセット印刷との共生が限りなく接近。オフセット機器メーカーのブースの中でデジタルのプロフェッショナルプリンティング(PP)システムがいくつも実演されていた▼PPが拡がることで、プリントの後処理加工機も引き合いが増えて活況に。聞くと今年あたりから日本も欧米並みに色んな種類のカードを使用する文化が進むらしい▼印刷物自体が新しくなるだけではなく、作った印刷物でどのような新しい商売ができるのか、提案の風景も変わってきた▼IT関連の専門展に行くと、複合機メーカーがシステム開発会社と共同で初出展していた。オフィスのデータをユーザーが管理・運用できる製品を参考出品。「我々がこれまで長年扱ってきた情報は静止画だったが、これからは動画の活用を提案する」▼いずれも自社の技術や知恵だけで花開かせるのは難しいようで、「パートナーと連携してモノにしていく」と。各社のコラボレーションが進行している。


(6月2日号)
先ごろ内閣府が実施した『ワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する調査』によると、七割以上の企業が「定められた時間内で仕事を終えて帰宅すること」を人事評価で考慮していないことが分かった。また労働者も「残業=頑張っている」と考える人が多かった▼先月東芝テックのビジネスパートナー会で講演した東レ経営研究所の佐々木常夫氏は「WLBは個人も会社も共に成長できる経営戦略」と語った▼家庭と仕事を両立させた半生。それを綴った著書『ビッグツリー私は仕事も家族も決してあきらめない』は奇跡の家族再生劇として反響を呼んだ▼『部下を定時に帰す仕事術』では、「タイムマネジメントは時間ではなく仕事の管理」だと説く。仕事の全体構想(ストーリー)を描き出し、戦略的に計画を立案。必要工数を明確にすれば業務の優先順位がつけやすくなる。自らデッドライン(締め切り)を決めて追い込んでいく…。「良い習慣のある人は、能力の高い人を抜く」と▼佐々木氏が大きな影響を受けたのは、ハロルド・ ジェニーン著『プロフェッショナルマネージャー』。「こんなリーダーになりたい」と思ったという▼そういえば記者が若い頃、偉大だと思った上司が二人いた。今思えば両者に共通するのは優先順位のつけかた。いま自分が何に熱中すべきかを常に心得ている人は輝いてみえる。


(5月26日号)
先月ヤマイチテクノ(山脇雅則社長)が創立50周年を迎え、それを記念して50年史を編さんした。拝読して、この会社が創業時から脈々と継承してきた遺伝子があったのだと納得した▼一昨年、複合機を活用した電子データ管理ソリューションと、外出先で資料を閲覧できるファイル共有サイトを開発・商品化し、たて続けに小紙へ発表、同業の事務機販売店にPRされたとき、他店とは異なる姿勢を感じた▼社史は五つの章からから成る。約10年ごとに、「創業の時代」「成長の時代」「飛躍の時代」「試練の時代」「挑戦の時代」で構成。これについては、半世紀にわたる歴史を共有する同業他社ならおそらく同じ経験を外部要因としてたどってきたにちがいない▼しかし販売会社でありならメーカーを思わせる同社の旧社名「山一工業」には創業者がオリジナル商品を世に送り出したいという熱い想いが込められていた。商品だけでなく、当時誰も思いつかなかった企業内複写サービスのビジネス戦略も打ち出した▼もう一つ受け継がれているのは、バランス感覚。「試練」の時代、メーカーの援助がなければやっていけず自滅していく販売店が多いなか、ユーザー志向で乗り切った▼「新しい商品は常に取り入れていかねばならない。厳しくなったから新しい商品に手を出すのではない」。山脇社長の言葉を肝に銘じたい。


(5月19日号)
東京国立近代美術館フィルムセンターで今「日本の初期カラー映画」が上映されている。日本映画が色彩を獲得し始めた1950年代の作品を振り返って、色彩表現の創造性を再発見する試みだという▼太平洋戦争の最中、小西六写真工業(現コニカミノルタ)と富士写真フイルムが国産カラー映画の開発を進め、「コニカラー」「フジカラー」という二つのカラー方式が産まれた▼富士フイルムグループの富士ゼロックスが先月から提供開始した「RGBワークフローカラーマネジメントサービス」は、大型ディスプレイやプロジェクター、パソコンモニターなど異なる機器で表示する色を統一することで、デザイン製作時の色調整や修正作業など品質向上を図るというもの▼色を扱う現場では、見え方の違いで生産性が低下するという課題があった▼さきのカラー映画展では、昭和26年に日本初の総天然色映画≠ニして公開された「カルメン故郷に帰る」が上映された。浅間山山麓の雄大な風景や主役の派手な衣装が鮮やかで、戦後復興していく新たな気分も表している▼しかし当時の撮影現場ではフィルムの感度や露光技術など困難が多く、商品化に失敗したときに備えて、同じ芝居を二度行なってモノクロでも撮りなおしたという▼日本が挑んだ色へのこだわり。これらの映像は昔も今も技術陣の執念を伝えている。


(5月5日号)
ビジネスシヨウ大阪が盛況だった頃を思い出した。先月、大阪・南港のインテックス大阪が全館使用して大賑わいしていたのは、「バリアフリー」展。出展規模は年々増大し、いまや西日本最大級の総合福祉展に。東京では毎年秋に国際福祉機器展が開かれている▼介護や福祉、ヘルスケアの市場は今後確実に拡大する市場。様々の企業が新規事業を立ち上げてこの市場に参入している▼会場でとくに目立っていたのは自動車業界。車いすを収納できる電動式の装置やミニバンで乗り降りしやすい位置へ移動する昇降シートなど、身体の不自由な人だけでなく介助する人にとっても快適で安全な新製品・新機能が紹介され、移動する自由≠実演していた▼一方、事務機はといえば、コニカミノルタが点字原稿を立体にコピーできるシステムを出展していたが、それ以外はとくに見あたらなかった▼ただ、来場者としてこの展示会に情報収集しに足を運んでいた事務機の業界人は少なくなかった。印刷機器を製造する会社の経営者は自社でも車いすを造ってみようかと考えた▼ふだん精密機器を設計しているので簡単だと思ったが、車いす専業で手掛けてきた小さな会社の細やかなノウハウに感心したという▼文書や画像の作成で長年社会に貢献してきた事務機業界。その経験をバリアフリーの世界でも早く活かしてほしい。


(4月28日号)
STAP細胞の論文不正疑惑。実験データの改ざんや画像の捏造など研究論文の真偽が問われている。生命科学の分野の話しとはいえ、これは「ドキュメントソリューション」を扱う我々の業界に関わる問題とはいえないか▼先日の記者会見に臨んだ小保方晴子氏は理化学研究所の研究ユニットリーダー。この「ユニット」のメンバー同士でどのような文書管理や情報共有が行なわれていたのか▼昨今の複合機やプリンタが連携する文書管理システムは、業務文書を安全かつ正確に記録し、整理、共有と、仕事を順調にすすめるツールに発展している。さらに最近は経済のグローバル化で企業の海外進出も増え、速やかな業務記録の開示が求められる国際取引に対応できるよう、迅速に情報検索できる機能も開発されている▼STAP細胞が存在せず、この研究が白紙になったら、日本が世界に誇ってきた科学分野への信頼は揺らぎかねない。ただ、この新型万能細胞は「誰でも作製できるコツ」があるという▼小保方リーダーが公の場で語る姿を見た視聴者が「涙ながらの謝罪や力強い主張など、感情表現が豊か。どんな質問にも即答するタフさ、話し方のトーンも安定していて、感心した」と感想を述べていた▼これについては、ドキュメント商品を提案する営業活動の参考になりそう。「誰でも成功できるコツ」をぜひ知りたい。

(4月14日号)
クラウドサービスの市場シェアで今トップを走るのはアマゾン・ドット・コム。同社が提供するウェブサービスを導入する企業が増えている。このシステムはもともと同社が社内で使っていたものらしい▼都内に本社をおくIT企業R社は8年前に社内で用いる目的で勤怠管理アプリケーションを開発した。社外で直行直帰する社員が増え、誰がどこで仕事をしているか把握でき、現場の位置確認や業務報告が社外で行なえるシステム▼これに顧客情報を閲覧できる機能を追加することで、他社のユーザーにもメリットを提供できると考え、一昨年の夏に商品化した▼GPSの位置情報機能も、SFA(営業支援システム)も、どちらも以前から存在する単機能ソフトだが、両者を連携させることで、訪問活動の幅が広がり、その結果、営業やメンテナンスサービスの成果を従来以上に達成することができる、新ソリューションが生まれた▼いまは「現場スタッフの売上をもっと上げたい方々にお薦め」と拡販は上々。大阪や名古屋にも支店を開設したとか▼昔から「商品を売るには、まず自分自身がその商品に惚れ込んで、使い込んでこそ、提案できる」という説教をよく聞かされた覚えがある▼社内での実践事例を活かす取り組みはこの業界でも意識が高まっている。R社の行動管理システムもその好例かもしれない。

(4月7日号)
東京オリンピックが開催された50年前の1964年(昭和39年)、日本が世界に誇る技術が開発された。東海道新幹線と、電卓▼シャープの電卓第1号機を製品化した浅田篤元副社長の記者会見が先月行なわれた(前号に記事)。それまでの計算機は電動機械式で多数の歯車を組み合わせてモーターで回転制御し、記憶、演算をさせる構造だった。「なんとかこの歯車と制御の仕組みを電子回路で置き換えられないかと考えた」(浅田氏)▼世界初のオールトランジスタ・ダイオードによる電子式卓上計算機が誕生。「いつでも・どこでも・だれにでも」使える、この画期的な製品の名前を電卓≠ニ表現したのは取材に来た新聞記者だったという▼機械式とは違って静かに速く計算できる電卓はオフィスの風景を一変させた。JBMIA(旧日本事務機械工業会)の統計によると、昭和52年まであらゆる事務機器のなかで花形商品の座に君臨した▼ビジネスの現場で顧客ユーザーに最も求められた製品だったといえる。現在、ビジネスユーザーのニーズは多様化し、それに如何に対応するかが供給者側の課題▼会見で浅田元副社長は2020年の五輪招致で話題になった「おもてなし」を引き合いに出し、「お気づかい」が大切だと語った▼顧客から信頼され続けること。50周年記念に大先輩からキーワードが贈られた。

(3月24日)
ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)が長年とりまとめている事務機械の出荷統計の品目にはスキャナ製品が含まれていない。昨今オフィスでは文書情報を紙出力すること以上にスキャン作業が日常化しているので、スキャナが事務機の仲間に入っていないというのは素朴に疑問を感じる▼もっとも、複写機が進化した「複合機」にはスキャナ機能が搭載されているから、ことさら疑念を抱くこともないけれど、これらとは異なる「スキャナ専用機」の存在がある▼先日、「専用機」を手掛けるよその業界≠覗いてみたら、業務用からパーソナル用途まで、品揃えが多彩で、紙出力する機器とは全く違った考え方があることを知った▼それら製品を開発する技術の核は、ペーパーハンドリング(紙さばき)。まっさらの紙を通紙することが大前提の複合機やプリンタと違って、スキャナは、使い古され今にも破けそうな紙を丁寧に扱うことに最大の注意を払う▼顧客にとって二つとない貴重な「原本」。紙質もさまざま。そういう媒体を、汚さず、傷つけず、正確に読み込んで電子化し、無事に排紙する、こうした一連の作業を安全かつ速やかに行なえるよう腐心する▼デジタル時代の最先端をいく機器のようでありながら、極めてアナログ的。技術者はこの熟練に拘り続け、次々と新製品を産み出している。



(3月10日)
昨年の後半あたりからあちらこちらのフェア会場で3Dプリンタの実演を見るようになった。話題の機器でもあり立体物が目の前で造形されるとあってどの展示会でも人だかりで賑わう。これまで二次元(平面)の文書情報を扱ってきたこの業界でも、三次元への意識が高まりつつある▼さらに進んで四次元の世界に取り組もうとする会社もある。富士ゼロックスは漫画の「ドラえもん」に登場する「四次元ポケット」になぞらえて中小企業を活性化させるプロジェクトを開始した。それぞれの企業がもつ独自の技術力を組み合わせて、世の中があっと驚く<cmを創造する作業を支援▼ドラえもんのお腹にある四次元ポケットには、困っている人々を助けるための色んな道具が入っている。また、人がそこに入ると過去や未来を自由に行き来できる▼リコージャパンは顧客企業への提案の仕方を「時間軸」でとらえる。国内にある多くの中小企業がIT機器やサービスを導入する投資意欲のもち方は千差万別。早期に決断する企業もあれば、意思決定に時間がかかるところもある。「日本の企業はどこも潜在力を秘めている。IT投資へのポテンシャルは高い」▼かつてこの業界は様々なビジネスの現場にコピー機を納入し普及させた実績がある。顧客に寄り添い奮起を促す提案力と忍耐力を引き継いでいるはず。


(3月3日号)
年度末に向けた展示会が先月から各所で活発に催されている。毎年恒例≠フ行事とはいえ主催者は工夫を凝らしてリニューアルを試みる。昨年との違いを発見するのは取材の楽しみの一つ。そんななか、見た目は大して変わっていないのに、来場者が会場にたどり着くまでの前段階での導き方を大きく変えた展示会があった▼デュプロは昨年までタイトルとしてきた「新春フェア」を「Duplo Show」というネーミングに変えた。変わったのは題名だけではなかった。副題に記載されていた文言は、デュプロが少し変わります。=B▼開催前に送られてきた案内パンフレットを見ると、ユーザー(来場者)の業種や業態がまず目に入り、「医療」「小売」「製造」「物流」「印刷」「「自治体・官公庁」「教育」「新聞販売店」「オフィス」など、それぞれが抱える課題を個別に列挙。その次に解決策を提示し、解決する製品やシステムは最後に記されていた▼書き方の順序を変えただけ、のようにも見えるが、ユーザーの立場に立って考えれば、自分の関心のあるブースから見ることができ、時間を有効に使える。さらに、これまで見過ごしていた製品や提案と出会う機会も広がる▼売りたい商品を「主語」から「目的語」に置き換えて、顧客を主語にした。変えたのは少し≠セけだが、ソリューションの価値は増大する。



(2月24日号)
作家・幸田露伴の曾孫、幸田文の孫であるエッセイストの青木奈緒さんが去年ラジオ番組で「祖母がいた頃までは、知っているということは尊敬に値する価値があった」というような趣旨の発言をしていた▼ビッグデータで情報を簡単に入手できるような世の中になってくると、「知識」はさほど重要ではなくなってしまう。「記憶」も同様で、苦労して頭に詰め込まなくても、インターネットから即座に取り出せるから覚える必要もなくなる▼組織のなかで部下に対する上司の権威や役割が低下しているという。デジタル化やグローバル化が進み、昨日まで「勝ち組」であっても、明日は敗者に転落するかもしれない激動の社会。そういえば「重役」という言葉を聞かなくなったし、最近の役職名には重みを感じにくい▼富士ゼロックス総合研究所が「人材開発白書」を発行し、ミドルマネージャーのあり方について提言をまとめた。日本経営協会も今月号の会報で「中間管理職が抱える悩みと課題」を特集している▼それによると、従来型の管理職は消えゆく運命にあるという。過去に経験したことがこの先利益を生み出す価値に変換できる場合とそうでない場合の違いにもふれている▼社員に影響力を与え、その力を発揮するにはどうすればいいのか。合理的な知識よりも利害対立を超えた知恵を絞り出すことが肝要だそうだ。

(2月10日号)
賀詞交歓会や見本市など新年度や年度末需要に向けての催しが業界で先月から続いているが、開会式等での挨拶を聞いていると、今年は景況が上向きそうと明るさを認めつつも、具体的に稼げる&策となると言葉は湿っぽい▼「日本の景気そのものは決して悪い方向へ進んでいないと思うが…」「依然として先行きが見えない…」「(他業界で起こっている)イノベーションを学ぼう」▼むしろこの業界の現状を嘆いているスピーチの方が強い印象を受ける。「個人消費では高額商品が見直され、羨ましい。我々の単価は一旦下がると景気が良くなったからといって元に戻ることはない」「複合機はギリギリのところで戦っている」▼そんななか、リコージャパンの坂主常務は「お客様が新たな投資をしはじめている領域がある。これはコストダウン(お安く使っていただく)提案ではなく、私たちが普段販売しているものを組み合わせることで提供できる」と、進むべき方向を示した▼一般社団法人日本市場創造研究会では成功を妨げるカベ≠ェいくつもあるという。例えば「高い技術力をもちながら独創的な商品を生み出せないカベ」「商品力が高いのに失敗するカベ」「商品コンセプトの受容性が高いのに開発が先へ進まないカベ」▼他業界のことではなく、まさにこの業界の課題を指摘していると感じた読者は多いのでは。

(2月3日号)
「これまで世の中になかったカラーコピー機を作りたいと思った」。オーエムカラーコピーの小野正治社長は年初の小紙インタビューでこう語った(既報1月6日号)▼大阪府から新事業活動促進法に基づく経営革新計画の承認を受けて二代目社長は夢の新商品開発に取り組む。政府の補正予算「ものづくり中小企業支援補助金」。「ものづくり」といっても、同社は製造業ではなく、ハード機器はスキャナもプリンタもすでに存在している。小野社長がやろうとしているのは、その二つを組み合わせて誰でも簡単な操作で高品質な画像を生産できるソリューション▼補助金支援の対象は今年から商業やサービス業にも枠が拡がり、意欲さえあればどんな業種でも振興発展を図ることができる▼開発に着手するという非接触型カラーコピーシステムによる出力見本を見せてもらった。にぎり寿司や和菓子など、画像が浮き上がって見え、普通の写真では味わえないリアルな仕上がりに食欲がそそられる。絵画や建材の専従者の間では既に存在していたが、素人では色合わせが難しかった▼これを解決する画像編集ソフトを考えついた。実際は二次元の紙だが、今流行りの「3D」に劣らぬ見栄え。今後どんな需要が湧き上がるだろうか▼誰もが意のままに扱える商品。市場が潜在的に求めているのはこうしたニーズかもしれない。

127日号)
昨年の暮れ、某メーカーの広報担当者から「今年は複合機の新製品発表会を一度も行なわず、すみませんでした」とお詫びの電話をいただいた。そう言われてみると、複写機・複合機の新商品をアピールするようなイベントはA3サイズ機においてはどのメーカーも発表会を催さなかったことに気がついた▼もちろん、各社は新機種を設計・開発・製造し、刷新したラインアップを揃えてリリースで発信し、発売している。どれも機能・性能・拡張性・環境付加低減と、従来機に比べて進化しているのに、ニュース性がないのか?▼日本の産業が世界に誇る技術の粋を集めた製品として自動車と複写機はその代表格と言われるが、自動車と比較すると複合機はブランド名があまりにも知られていない感がある。実際、毎日職場で使っているのに商品名を意識していないユーザーがどれほど多いことか。品名を前面に打ち出しているメーカーはごく僅かという印象▼複写機ビジネス卒業≠ニいう言葉が流れて2年くらい経つが、それでも依然業界のメシのタネなのは変わらないし、他社製品からの買い替え♂c業やシェア獲得に余念がない▼複写機に限らず事務機器商品というものが、ハードとソフト、そしてソリューションが合わさって強力なブランド商品として花咲き、世間からも注目され、業界が賑わうことを願う。

120日号)
本紙に寄せられた各社からの年頭所感を拝読すると、品揃えの強化やサービス事業の拡充など今年にかける意気込みがうかがえる。販売拡大のためには、顧客ユーザー、さらにその先の消費者の動向を的確に把握しておく必要があろう▼消費者の意識や実態を調査するトレンド総研(東京都渋谷区)が商品ジャーナリストらを迎えて今後のトレンドを予測する座談会を開催した。昨年の潮流は、@『価格』ではなく『価値』へのシフトAハコモノからコンテンツへB止まらないコンビニの勢い、の三つだった▼昨年はアベノミクス効果で消費意欲が活発になり、その一方でリーズナブルな価格の商品も人気を集めた。デザイン性や高級感など「価値」の高さを見抜いてお金を使う人が増えた。食品の産地偽装やレストランの食材誤表記問題などもこうした風潮があったからこそと分析▼昨年を象徴する現象はスマホ・タブレットの躍進。プラットフォームが拡充しコンテンツ志向が広がった。ハコモノビジネスは終焉に向かいつつあると予測▼もう一つはコンビニのサービス。生鮮野菜の取り扱いや宅配サービス、ネットワークプリント等、「どんどん他業界を取り込み、新たな可能性を切り拓いている」と指摘▼OA業界が何年も前に提唱したユビキタス・コラボレーション≠ェ世間一般にも浸透し始めたということか。

16日号)
2014
年。日本経済の再生に期待しながら各企業が攻めの経営で邁進していこうとする姿勢が、本紙に寄せられた年頭所感草稿やディーラーアンケート回答からうかがえる。いかにサービス力を向上させ、顧客価値を高めるか、全ての組織の命題といえる▼昨秋までリコージャパンの販売力強化センターで指揮をとっていた杉山大二郎氏が作家に転身された。著書『至高の営業』(幻冬舎)はビジネスのノウハウがつまった小説▼入社4年目でやる気を失ったセールスマンが新たに赴任してきた営業所長と出会うことで意識が変わっていく物語▼「営業マンは仕事の質なんか求めちゃいけない」「お客の要望なんかに応えちゃいけない」「明日の予定なんか立てちゃいけない」…。それまでの常識を否定するような上司の言葉に戸惑いながら主人公は勇気を与えられ、営業の奥深さを知り、仕事に誇りをもつようになる▼営業所長はさらに続ける「仕事を人生の目的にしちゃいけない。自分の大切なものが分かっている人は、本当に良い仕事ができる」▼「訪問販売」。一般的には辛くて過酷な職種とみなされがちな仕事が、何よりも創造性に溢れた活動であることを再認識させてくれる▼「自分の想いを言葉にして伝える」。記者も同じだと思う。今年も業界のいろんな現場に足を運んで見聞きしたことを言葉で表現していきたい。

2014年 ↑

2013年 ↓

1223日号)
2013
年も残すところあとわずか。平成も四半世紀が過ぎようとしている。昭和の頃は夢でしかなかったようなことがデジタル技術などの進展によって数多く実現している。本紙3面掲載の「今年の10大ニュース」も、昔の業界ではありえなかった出来事ばかり▼コニカミノルタが制作したネット動画「ドリーム・プリンター」を観た。広場にデジタル複合機が設置され、そこに集まった子どもたちが「歌手になりたい」とか「立派な警察官になりたい」など将来の夢を紙に書き(文字で)、それを機械に差し込むと、歌手や警察官になった自分の姿が鮮やかな絵になって出力される▼夢をカタチに変えることのできるプリンター。この子どもたちが大人になる頃はこんな製品が発売されているかもしれない▼この動画の冒頭は、スタッフの人たちがその前夜に複合機を広場に設置する場面から始まる。業界紙の記者として今年も数多くの展示会やイベントを取材しに行ったが、催し会場を訪れるのはいつも準備が整ったあと。設営に勤しむ方々の苦心も共有してこそ業界新聞の意義ではないかと気づかされた▼ラストシーンは、人間の夢を実現するのはデジタルではなく、やはり生身の人間が支えていることも気づかせてくれる。想い描く夢をカタチに=B来年はどんな製品やソリューションが生み出されるのだろう。

129日号)
スマホを持つようになって外出先でもメールの受信だけでなく資料を受け取ったりできるようになった。随分便利な世の中になったものだと感心しつつ、受け取った連絡に対して返事の文章を送るのは「オフィスに戻ってから落ち着いて書こう」などと思っているうちはまだモバイル機器を活用できてないということか▼ジャストシステムが全国の
15歳から69歳の男女1100人を対象にモバイルの利用について調査した結果、「スマートフォン利用時間の中で最も長く費やすのは『目的のない暇つぶし』」だったという▼主にパーソナル用途を尋ねたアンケートだが、それにしても目的もなく暇つぶしで使うのが一番とは拍子抜けしてしまう▼常に話題をさらう商品なのに、スマホって無駄な機器なのか、それとも持ち主を飽きさせない優れた玩具なのか▼「暇つぶし」に次ぐ用途は「SNSなどで人とコミュニケーション」「ニュースや書籍の閲覧」「商品の購入」「写真撮影」などで、これらは目的がはっきりしている。一方、ビジネスの場面でも明確な手段として用いられる事例が最近徐々にふえてきた▼元来、事務機や情報機器は業務用途でまず開発・発売され、利用が普及した後、個人ユースに降りていくのが通常のパターンだったが、スマホはどうやら逆の流れ。BtoBで大ヒットさせるには遊び心の発想が必要かも。

122日号)
JIIMA主催の今年の「eドキユメントJAPAN」は、展示会場での出展社数は昨年より減少したが、中味は良かったようで、各出展メーカーアンケートで回答した感想は充実していたという▼この秋JIIMAは公益社団法人へと生まれ変わり、名称も「日本画像情報マネジメント協会」から「日本文書情報マネジメント協会」へと変更した▼「画像」が「文書」に進化したということか。略称「JIIMA」の初めの「I」は「画像」を示す「Image」。本来ならこれを「Document」(ドキュメント=文書)にすべきところだが、長年の愛称はそのままとした▼事務局に聞くと、もともと(平成7年)、マイクロ写真協会から画像情報マネジメント協会に改称したときに紙文書を記録する♀動を趣旨とするため「文書」としたいところを、監督官庁から前身のマイクロ写真の存在を残すよう求められたという経緯があったという▼一般の人々から見れば「文書」は文字が記された書類しか思い浮かべないだろうが、ドキュメント業界がいう「文書」の意味合いは時代とともに拡がっている。いまや音声や動画も「文書」の一要素。これらを取り込んで如何にビジネスを進めていくかが成功のカギ▼ちょっと前まで紙≠中心に生業を立てていた業界が、今は紙に関連する°ニ界へと変貌している。


1125日号)
前号の小欄で「この国の情報セキュリティ意識はまだまだ遅れがちとの指摘が…」と記した翌日、一般紙等で、「大学や弁護士事務所で複合機に読み込んだ文書データがインターネットを通じて外部に流出」「情報が丸見え」などの報道が相次ぎ、翌日どのメーカーも取り扱いの注意を促すリリースをホームページに掲載した▼そもそも情報漏えいの危険性があるのは複合機に限ったことではなく、ネットに繋がった情報機器はどれでもそうなのに、「複合機の提供者は利用者に説明すべきだ」という論調の記事が続出した。これがパソコンなら、データが漏れる恐れを誰もが承知しているので、パソコンメーカーがあのような注意書きを流すことはないだろう▼こんな「騒動」が起きたのは、世間一般の「複写機」へのイメージからではないかと思う。つい最近まで一般紙やテレビの報道ではこの製品のことを「コピー機」と記していた。随分前からデジタル化・ネットワーク化しているのに一般の人々は昔単体だった機械のままの名称で今も呼んでいる▼「複合機」や「MFP」の業界用語が世間に浸透していたら、こんな騒ぎにはならかったのではないか▼このたびの報道では「コピー複合機」なる、妙な新語が見出しに登場した。「コピー機はネットワークに繋がる多機能機だったのか」と認識したユーザーは多いのでは。

1111日号)
昨年日本国内で警察に取得物として届けられた現金は189億円にのぼったらしい。これを聞いたある外国籍住民が「なかにはネコババする人もいるだろうが、これほど多額のお金が届けられる国は世界でも類がないだろう」とツイッターで呟いていたという▼日本人の民度の高さを示しているのか、それとも遺失物についての法律があるからなのか、いずれにしても「拾ったものを落とし主に返す」という意識は高い国民だといえる▼スマホやケータイ、タブレット端末など話題のモバイル機器はいつも外へ持ち運ばれるものなので、紛失したりどこかに置き忘れたりと、落し物≠ノなる危険性が高い▼昨年東京都内で紛失物として届けられた数は22万件。これら端末には顧客データをはじめ提案資料や営業ノウハウなど企業の機密情報が満載されているので、紛失すると情報漏えいのリスクがある。その被害額を換算したデータによると、右記の現金をはるかに超えるとか▼前号で紹介した「落し物返却サービス」は、今後ビジネスでの利用がますます増えるこのモバイル社会を反映したものといえる。企業の情報セキュリティ意識は「まだまだ遅れがち」との指摘はこの業界では根強い▼落としたお金はともかく、秘密を保護する法案でもめる昨今、情報の扱い方に関してはまだまだ未熟な国なのかもしれない。

114日号)
「ドラフター」は、製図作業のとき用いる製図台。普通名詞だと思っていたが、これは武藤工業(現MUTOHグループ)の登録商標。60年前に発売し瞬く間に世界中の設計者が愛用したという。最も生産が多かった197080年頃は同社だけで年間13万台を数えた▼その後はCADソフトが普及したことで生産数が減少、近年は年間5千台程度。MUTOHは現在、プロッタやCADのエキスパートとして新たな時代の事業展開を進めている▼9月の小紙ドキュメントソリューション特集号では、グループ会社ムトーエンジニアリングの阿部社長にインタビューし、CADデータを調整し造形するスキルを3Dプリンタ出力サービスに活かしている話しを聞いた▼CADはその略語が示す通り、それまで人の手によって行なわれていた設計作業をコンピュータによって支援し、効率を高めるというものだが、阿部社長はデザインすることの原点回帰を呼びかけている▼今、「ものづくり」の現場では、新たな発想が生まれにくいという問題を抱えている。自分自身で描く技術を身につけていないとCAD図面から全体像がつかめない▼実際に手で線を引くことで製品の構造やコストが感覚的に分かる。そういう趣旨の教室を開いている▼手先が器用というのは指ではなく頭脳の使い方。興味や関心、真剣さが大切。

1028日号)
最近、「ブラック企業」なる怪しい言葉が社会問題として浮上している。長時間労働やパワハラなど従業員を使い捨てるような過酷な労働搾取を行なったり、また、消費者へのサービスの質が劣悪な会社を指すらしい▼厚生労働省が離職率の高い業種を列挙していて、情報通信業もあがっている。事務機を販売するこの業界も例外ではなく、某優良企業が「あの○○社もかつては悪評高いブラック企業だった」などとネット上に書き込まれていた▼そのサイトでは「昔ながらのコピー機の飛び込み営業≠ニいう印象をもたれるからだろう」と説明している▼以前、某メーカーの販売店表彰式で、上位入賞者が「ユーザーに迷惑をかけている××社なんかと同席したくない」と受賞を拒否する一幕があったという話しを聞いたことがある。大方が優良企業でも、ごく一部の会社が顧客満足を損ねる行為をしたら、それら企業が属する業界全体がダーティなイメージに陥る▼「この国ではセールスマンという言葉はいまだに蔑称とされている」という意見も聞く。先月小社を訪れた生命保険の外交員は名刺の肩書きに「ライフ・デザイナー」と記載していた▼いまやどの業界でも顧客の立場に立った営業が主流になってきた。ソリューション提案が行なえる人は「人材」でなはく「人財」。使い捨てに遭うような心配はないはず。

1014日号)
「バイトテロ」「炎上」。これらは最近のインターネット用語。コンビニやファストフード店のアルバイト店員が悪ふざけした写真をブログやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に投稿し、店舗経営者は謝罪したうえ休業や閉店に追い込まれる事態が相次ぎ騒動となった▼SNSは誰でもコメント欄にメッセージを残すことができるので、否定的な意見や誹謗中傷を執筆した言動に対して多くの閲覧者がコメントを寄せ、火災のように手が付けられなくなってしまう▼根拠のないネット上のつぶやきでも、あっという間に拡散して大問題に発展することも。こうしたソーシャルメディアの不適切な投稿や風評被害で企業は存亡の危機に追い詰められる。コンプライアンスや危機管理にどう向き合えばいいのか▼昨年発足した一般社団法人ニューメディアリスク協会(本部=東京都港区)は、新しいメディアに横たわるリスクをどう軽減するか、その啓発と対処法の共有を目的として設立された。失言や情報漏えいなどを防ぎ、Webの利用法やコミュニケーションのあり方を考察するセミナーも開催している▼「バイトテロ」は「テロ」の言葉が示すようにアルバイト店員らによる経営者への反発との見方がある。非正規雇用による運営のひずみが原因なら、顧客満足を目指す前に従業員満足を考える必要がある。

107日号)
「ヤレ紙」や「損紙」は印刷業界の用語。画質や色彩がうまく出るまでの刷り見本として用いる予備紙のことをいう。オフセット印刷の工程では相当な量が発生するそうだが、レーザープリンタが発展したプロフェッショナル向けのデジタル印刷機なら最小限で済ますことができる▼厚紙やメタリックペーパーなど高価な特殊紙などへの対応力もすすむ。試し刷りのための費用や時間が省略できれば、オンデマンドの時代が本格的に到来することが期待できる▼こうなれば「ロングテール」と呼ばれる多品種少量のヒット商品が多数派を占める市場が形成される。ユニークな商品がバラエティに富むと同時に、なによりもユーザーの手元にすぐに届けられるのがいい。それまで外注していた校正作業が内製化することで、納期が短縮され、業務効率化もあがる▼一方、製造業を変革させる夢のプリンタ≠ニして昨今話題の3Dプリンタも同様。この業界がいま取り組んでいるのはラピッドプロトタイピング≠ニいう手法で、製造開発の現場に試作品を敏速に供給している▼5年〜10年先を見据える経営者に聞くと、「将来は模型≠ナはなく、本物≠仕上げるニーズが高まる」と予想している▼思いついた発想や企画が翌日には商品となってユーザーがそれぞれに活用している、そんな夢の夢≠フ実現が近いという。

923日号)
先週あたりから年末商戦≠ェ火蓋を切った。コンシューマ向けのインクジェットプリンタ新製品がキヤノンやブラザーから発売された。その主なターゲットは年賀状需要。年間を通じて12月は出荷が70万台と、他の月の2倍を超える特異な市場でもある▼ブラザー販売が発表会で示したデータによると、国内の会社員に聞いたアンケート調査で、年賀状が「必要」だと答えた人は85%以上。その理由は、「葉書でもらうと嬉しい」「人との繋がりを感じる」と、日本の文化・習慣として根強く定着した価値観だということがうかがえる▼各社の新製品はパソコン操作なしでハガキが簡単に作成できる。テンプレートや写真、背景の柄をプリンタから選ぶだけで仕上がる。しかもソフトは自動で入手できる▼かつて空前の大ヒットを飛ばした理想科学工業の「プリントゴッコ」は、当初はその手軽さが受けたが、なによりも「自分で年賀葉書が創れる」という喜びをユーザーに与えた▼当時、社長だった羽山昇氏がこの商品名を名付けると社内から異論があがったが、「ごっこ遊びこそ知育の源泉」と説得したという▼その後パソコンの時代が到来しても、昨年まで販売が続いたのは、手づくり感の楽しさと味わい≠ニいう変えがたい魅力があったからこそ。本来、文化とは、手間暇かけて醸成するものだと思われる。

99日号)
根強いアナログ製品があると聞いた。カルテや台帳を収納し取り出せる書類検索機。40年ぶりにこの商品の拡販に取り組むという▼書類の電子化が進む昨今だが、実際に管理するとなるとなかなかデジタル化できない紙の書類は未だに数多い。原簿や版下、設計図面など。顧客数が多くなればなるほど、その書類を探すのに時間がかかってしまう▼文書を収納して検索する装置は、今でいうドキュメント・ソリューションの源流。かつて提唱されたOA化≠象徴した▼こうしたファイリング・システムを導入し、長年使い慣れてきたユーザーのなかには、電子化に移行する道を選ばず、同じ製品の買い替えを求める職場が少なくないという。病院、自動車教習所、調剤薬局、部品生産工場、人材派遣会社など▼その理由は電子化に踏み切った場合、使用者の育成に時間や経費がかかるため。専任者でないと利用できないというのでは業務が停滞してしまう。現場でこのような意見を述べているのは、けっして中小規模の事業者だけではなく、大手企業のユーザーの声だとか▼やがては縮小していく市場だと想像はするが、無視できない情況。「機械化」や「OA化」「IT化」はブルーカラー≠フ職場を一変させたが、ホワイトカラー≠フ生産効率を上げるのは極めて難しい、と言われるのは、このことか。

92日号)
公益社団法人IT協会(企業情報化協会)から、企業のIT部門で働く人々を元気≠ノするという研究会(講演会)の案内が届いた(内容は本紙6面に掲載)▼IT(インフォメーション・テクノロジー)という表現が一般化して20年くらいになるのだろうか、今では、様々な情報の収集や加工、その保管など不可欠な存在となっている。もはやITなしには企業活動は成り立たない▼さらに、コミュニケーション手段として進展し、経営戦略とも結びついて業務のスピード化にITを活用する動きは加速度的に増加している。それに伴って内部統制やセキュリティ、個人情報保護などへ対応する必要が迫られるようになった▼システムの保守運用をどうすればいいのか、仕事の量はますます増え、IT部門の業務は激務化してはいないか?▼そこで働く人々がストレスを感じていないか危惧される、そんな時代がきている。メンタルバランスを保ち、活力あふれる職場にするために今回の研究会が開かれることになった。開催テーマは元気の出るIT職場作りのための具体施策=B諸施策を検討することを目的として実施される▼昔、大量生産が本格化した頃、機械化による人間性の喪失≠ェ問題視された。従来手作業でやっていた仕事がコンピュータでできるのがIT化。効率性と快適性は今も重要な課題。

826日号)
小紙「紙齢2000号突破記念特集」(729日号)では、創刊した昭和44年から現在までの業界の変遷を振り返ったが、事務機の歴史を考えると、それ以前の時代に販社や卸業者の方々が取り組んでいた前史≠ェある▼そうした先輩方が記した資料をみると、この業界に事務機というものを導入した人たちの奮闘努力と開拓者精神が伝わってくる。国産事務機の黎明期に、果敢に売り込みに行った数々のエピソードが綴られている▼昭和30年代の前半、事務機の市場は輸入品がほとんどだった。日本のメーカーが手掛け始めた頃、ディーラーはメーカーに対して、「俺たちの方が先輩≠ネのだから、俺たちの言うことに従え」と、そんな時代だったと聞いたことがある。「取り扱ったものの、故障も摩耗も多く、「お客さん(ユーザー)に何度も叱られ、謝りに行くのも仕事だった」▼それでも国内メーカーを信じ、国産機にこだわり続けた。後年、日本の製品が世界に誇る存在へと成長していった背景には、こうした業界の人々からの熱い信頼と期待があったことも見逃せない▼当時、各地のディーラーは展示会やセミナーを自前で催す力があった。商品は定価販売が常識だったという。しかし複写機戦争に突入した頃から価格が乱れはじめた。これは軽印刷業や複写サービス業界にも影響を与えることとなった。

812日号)
今年で
6回目の開催となった「京都流議定書」イベント(記事は前号で掲載)。参院選真っただ中にもかかわらず京都府知事や市長も駆けつけ、単に挨拶だけ述べて帰ってしまうのではなく、シンポジウムやディスカッションに参加して意見交換するなど、この行事への強い期待がうかがえた▼岡村実行委員長(ウエダ本社)は、このイベントの趣旨が、開始した当初から価値観の変革≠ナあることを訴え、さらに、「京都流≠ニいう題をつけているが、京都が特別という意味ではなく、日本の縮図としてこの地を捉え、評価できる物事を考えることで日本独自のグローバルスタンダードが確立できるのではないかという想いで手作りのイベントを開いている」と語った▼他府県から見るとプライドが高くて本音を言わない、そんなイメージで見られることが多い京都。けれども今回のイベントでは、「出生率が全国でワースト2位、女性の正規雇用率も低く、後継者が育たないため500に及ぶ業種が赤字でもないのに事業所を閉じなければならない…」など、京都の悲惨な実態が次々と報告された▼「どの地域も、地元でそれぞれの役割を果たして自立できれば、新たな価値を見い出せる」▼岡村氏は、来場した市民にだけではなく、全国の9割超を占める中小企業、とくに同業の事務機ディーラーに向かって叫んでいるようにみえた。

85日号)
コニカミノルタビジネスソリューションズが出力機器とその運用ノウハウを提供する「匠ソホラ」は、アイエスエフネット社が障がいをもつ人々等の就労を支援するサポート施設。社会的弱者≠ニ呼ばれる人たちが自立して職に就けるよう実践的な訓練を行なっている(既報7月1日号)▼労働市場において不利な立場とは、疾病、養護施設出身者、ニート、フリーター、引きこもり、DV被害者、失語症、難民、ホームレス、認知症、感染症、アルコール中毒経験者、性同一性障害など多岐にわたり、同社ではこうした人たちを未来の夢を実現するメンバー≠ニ呼んで支援している▼先日、識字教育の関係者と話す機会があった。日本の現在の識字率は998%と公表しているデータがあるが、義務教育を僅かでも受けさえしたら実際に読み書き能力を習得していないのに「非識字者」とみなされないため、これは極めていい加減な数値だという。昔は貧困という社会構造があったが、日本が先進国となった現在でも何らかの事情で学習機会を逸した人たちは多様化しているという▼ビッグデータと言われる今、文書の読み書きが充分できないと世の動きについていけなくなる社会が進行・加速する▼何が原因で心身に支障をきたすか分からない時代。マイノリティ(少数派)と共生できるビジネスの実現が待たれる。

722日号)
スマートフォンやタブレット端末が急速に普及し、ビジネスでも活用するニーズが高まってきた。多くは、企業が社員にスマホを貸与し、従業員の個人所有端末を活用するBYODなどが注目を集めている。この業界でも複合機や通信機器とのモバイル連携機能を拡張するアプリケーションの開発が活発だ▼端末が個人所有のレベルにまで降りてきたということは、仕事をする全ての人々が恩恵を受けていいはずだが、まだそこまでは行きつかない。零細業者にどのように訴求すればいいのか▼開発元が配信する、よくあるリリース文書などを見ると、「ビジネス効率をスピードアップさせる新ソリューション」などとカッコいい見出しが掲げられている。しかし、これでは八百屋や米屋の旦那衆にはピンとこない▼先日、ムラテック販売が提供するモバイル連携アプリを記事紹介するにあたって、このような小難しい表現をやめ、挿絵も複合機から端末へデータが転送される仕組みを説明したややこしい構成図のかわりに、実際にスマホの画面に注文の変更を手書きしている写真を載せた▼店主が野菜や米を配達している最中にお客から注文変更のファクスが入ったが店番をしている年老いた両親はこれを外出中の息子に連絡できない…。このような状況を改善できますよ、と伝えれば、ユビキタス環境は一気に広がるのでは。

78日号)
この春開業10周年を迎えた六本木ヒルズは、「職」「住」「遊」が同居した新しい都市開発のモデルとして注目を集めてきた。ここに当時からオフィスを構える経営者がテレビの取材で「会社全体がワンフロアなのが魅力。他へ転居するつもりはない」と話していた▼執務空間のレイアウトを見直し、業務効率を高め、クリエイティブな環境を目指すワークプレイス戦略を重要視する企業が増えている。また、オフィスは社員が1日の大半を過ごす場所だから快適さも大切▼先日、ここも数年前からワンフロアオフィスを構築している某メーカーの本社を訪ねた。来年はグループ会社とも一緒になって入居できる物件を探しているという。やはり希望はワンフロア。「一体感をもって仕事できるのがいい」と▼最近はユビキタスとかノマドとか、会社に行かなくても仕事ができるワークスタイルが一方で進む。矛盾しているようにも見えるが、モバイル機器の発達は人とつながるのが目的だから、今ビジネス人が求める方向は同じといえそう▼一人で事業を興す起業家でさえ、複数の会社で一つのオフィスを共有するシェアードオフィスに入居したがる。異業種でも誰かが傍らにいれば居心地いいとか▼望ましい職場とは人と対話できる環境ということになる。孤独な生活者が増える日本社会。「住」の環境を考えるのが次の課題。

71日号)
2年前に活動を休止していたとは知らなかった。JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)内にあったUC普及委員会のこと▼OA(オフィス・オートメーション)という業界用語はもう時代に合わないとして、UC(ユビキタス・コラボレーション)という新たなキーワードを普及させようと、当時記者発表会が行なわれ、我々業界紙は「OAからUCへ」の見出しを1面トップで掲載した▼けれども言葉を広めるというのは難しいもので、なかなか普及しない。一方、OAの方は古いとされながらも、いまも世間一般で通用し、「OA機器」などは普通名詞化している▼そんななか最近、「UC」の人気が急上昇している。とはいっても、それはUC(ユニファイド・コミュニケーション)。これは機器や製品そのものを指すのではなく、様々な通信サービスを統合した総称で、ビデオ会議システムを提供するベンダー各社が近年この語を提唱するようになった▼音声や映像と同時に文書資料も受け渡しすることでユーザーは業務の効率化や生産性の向上、コスト削減などを図ることができる。昨今大きく変化する市場環境の現状をとらえ、新たなニーズを創出するUCが浮上しつつある▼とはいえ、「ユビキタス」も「コラボレーション」も今後の趨勢を占ううえで決して外れた概念ではないはず。普及委員会の復活が待たれる。

624日号)
小紙が以前に記事掲載した紙面が二つ、来月二つのテレビ番組で放送される。一つは40年前の卓上電子計算機。NHKの衛星放送が2年前に日本の産業史を振り返るドキュメンタリーで電卓を取り上げた番組を海外向けに再編集したもの▼もう一つは昨年暮れに東芝テックが発表したペーパーリユース複合機システム。これはTBSテレビ「がっちりマンデー〜業界新聞特集」で紹介される▼電卓と複合機(複写機)は事務機の花形商品。JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)によると、昭和40年代、様々な事務機械のなかで出荷数量が第1位だったのは電卓で、昭和52年にトップの座を複写機に譲り今日に至る▼先月、近畿複写産業協同組合の創立50周年記念の集いが大阪で開かれ、全国各地域の組合理事長も参集、盛大なイベントとなったが、中締めのスピーチで福味副理事長が「世界一といえる日本の産業は、自動車、鉄道、そして複写機(複合機)」と発言し、拍手喝采が沸きおこった▼高度経済成長の時代、日本のあらゆる産業の中で伸長率が最も高かったのは事務機械だった(JBMIA)▼このように誇り高い業界≠ナあることを収録の際、TBSの制作担当者に強調して伝えたが、「がっちり〜」は短時間の番組なので3年前と同様またもやカットされてしまうかもしれない。

610日号)
関西では数少ない印刷機材展として長年開催されている「JP情報・印刷産業展」が今年もインテックス大阪で開かれた。事務機業界の視点で今回注目したのは、リコーとカシオ計算機がこの展示会に初めて出展したこと▼リコーは発表したばかりのプロダクションプリンタ新製品を披露。これまでデジタル印刷機では難しかった凹凸紙での高品位仕上げや封筒通紙時のシワの発生防止など柔軟な用紙対応力を訴求。カシオはユポ・ラベル紙の印刷に対応したページプリンタを実演した▼既に以前から出展している企業もあるが、OA機器が本格的にPP(プロダクション・プリンティング)の世界に真っ向勝負を挑んでいる印象を受けた▼一方、これまでコンシューマー商品を手掛けてきた企業が印刷機メーカーのブースを借りて小型高速機を参考出品していた。来場者(印刷業者)に感想を聞くと、「いくら出力スピードが速くても、紙送りの装置がちゃち。これでは大量の用紙をスムーズに搬送できない」と辛口のコメント▼最近「ユーザエクスペリエンス」という言葉をよく聞く。操作感や使いやすさといった「ユーザインタフェース」や「ユーザビリティ」よりも幅広い意味の造語だとか。エクスペリエンスは経験や体験のことだから、ユーザーと同じ環境に身をおけば、見えてくるものがこれからも数多くあるのでは。

63日号)
先日読者から3Dプリンターについて取材することがあるのか尋ねられた。製造関連の展示会等で以前から目にはしていたけれど、とくに記事を書くことはなかった。プリンター≠ニいう名前がついているだけに気にはなっていたが、平面(二次元)のドキュメント文書を扱うこの業界で、一般オフィス向けの用途は今のところ想像しにくい▼簡単な操作で立体物を造り出すこの技術は、もの作りの常識を変えるとして最近注目されている。オバマ大統領が製造業の復活を掲げ、研究開発を強化すると表明し話題が広がり、夢のプリンター≠ニか21世紀の産業革命≠ニ期待が高まっている▼現状では生産や医療現場での導入がすすんでいるが、これが一般家庭に普及したら物流のあり方が根底から変わるという。消費者は欲しい製品をネットで設計図を注文し、自宅の3Dプリンターで商品を自分で「出力」して手に入れる。まるでSFか魔法のような購入スタイル▼この話を聞いてふと弊紙の業務を振り返ると、昔、広告は版下と呼ばれる物体を制作会社から送ってもらい、校正作業を経て完成品に仕上げ、紙面に掲載していた。いまはそんな作業は不要となり、メールで瞬時に受け取れる時代になった▼ドキュメント情報も近い将来どのようにやり取りされるようになるか? すぐそこに革命が迫っているのかも。

527日号)
年初に本紙が集計した全国ディーラーアンケートでは、「業界外商品の比重、増す」と結果を報じた。業界の商品とは、従来の複合機およびメンテナンスサービス。昨今はこれ以外の商材も扱わなければ勝ち組には残れないと考えるディーラーが年々増加し、いまや大勢を占める状況▼しかし、それを覆す言動が先日関西経営品質賞を受賞したヤチヨコアシステム・前田社長の会見で聞かれた。複合機の活用方法を顧客に徹底的に提案、それに邁進する取り組みが評価された。「業界外の商材に手を広げるなんて、勿体ない」と▼「MFP(複合機)ほど事務作業に役立つ機械はない」という信念と愛着が販売姿勢に漲る。「複雑で多くの機能をもつ複合機をお客様が使いこなせるよう、お客様にかわって機能を勉強する」。業種や業態によって顧客企業のMFPの使い方は千差万別だという▼同社ではその様々に異なる現場での提案方法を社員間で情報交換し、話し合った事柄を今度は自社全体の業務改善に活かす。それらは全国の各拠点に迅速に伝わる。一見同じ物を売っているように見えても、売り方は日々変化している▼いまや電気量販店に行けば低価で手に入れることができる複合機。かたや「訪問販売こそ複合機の良さを最も伝えられる手段」▼勝ち組に残る企業とは、自分の仕事に迷いのない集団なのだと改めて知らされる。


520日号)
『IGZO』で行くぞ!!。シャープにやっと活気が戻ってきた。6日付の読売新聞朝刊1面に、3段ヌキの見出しで「シャープ、サムスン提携拡大。複写機事業、追加出資も」と出た▼これまでシャープは、どちらかといえば液晶事業一本槍の印象が強かった。それが今回、201315年度の中期経営計画のサムスンとの提携強化が、液晶事業以外に複写機事業を協業候補に挙げ、より経営再建を加速させるとしている。片や世界的な販売網を持つサムスン、そして世界的液晶技術を持つシャープが、今後複写機分野でどんな展開をみせるか、業界は注視して見守っている▼シャープについては今さら説明するまでもないが、電卓生みの親であり、アナログからデジタルへの道筋をつけてくれたメーカーでもある。技術革新という言葉も、軽薄短小なる言葉も、同社が電卓開発に伴って生まれてきた代名詞である▼いやそれだけではない。電卓によって開発された半導体(LSI)や液晶技術は、その後電卓のみならずその他の商品にも採用され、デジタル社会形成に大きな役割を果たしてくれた。今日、あれだけ大きかったコンピュータがパソコンに、アナログ複写機がデジタル複写機に進化したのも、元を糾せば電卓のお陰である▼電卓によって培われたデジタル技術が再び情報化社会で花を咲かせるか。シャープの正念場はこれから始まる。

56日号)
前号では販売戦略の例えとして戦争の話を持ち出したが、今回は世界の各地で本当に起こっている紛争の問題▼京都のウエダ本社がNPO法人のテラ・ルネッサンス等と協働で中古PCをリサイクルする事業を始めた。レアメタルの再利用を促し、パソコン1台につき30円をテラがコンゴで行なっている元子ども兵を社会復帰させるための支援活動にあてる。活動は基礎教育や職業訓練のほか治安が悪化した現地での食糧や医療不足の解決▼アフリカ中部にあるコンゴ民主共和国で起こった内戦は死者540万人という、第二次世界大戦以降では最も多い犠牲者を出したが、国際社会からの関心は低い。現地とその周辺諸国では「アフリカの世界大戦」と呼ばれているが、我が国でこれを知る人は少ない▼ウエダ本社とテラは数年前からインクジェットプリンタの使用済みインクカートリッジ回収によるカンボジアでの地雷撤去活動に取り組んでいる。ただ、このカートリッジは家庭ユースのものが多いため、回収の呼びかけは間接的だったが、このたびのプロジェクトでは企業で使われているPCなので企業のCSRに直結し、テラは事務機販売店の地域力に期待を寄せる▼昨日はこどもの日。「こどもの人格を重んじ幸福をはかる」ため65年前に日本で制定されたものだが、これからは世界の子供たちにも視野を広げたい。

422日号)
『空中戦』と『地上戦』、どちらが効果的か」。先日ある会見の最中、こんな話題になった。戦争や紛争、領土侵犯の話ではない。最近巧妙化するサイバー攻撃の問題でもない▼「ネット販売に対して訪問・対面販売はどこまで対抗できるのか」。これまで販売戦略を考案する際、両者は対立するテーマだったが、最近は共存する考え方が出てきた▼某事務機ディーラーがサプライ用品のオンラインショッピングサイトでの売上を急拡大している。その要因は、顧客ユーザーのところへ頻繁に通って、商品を注文する操作方法を丁寧に伝えているからだという▼消耗品を電話やFAXで注文するよりも、ネットの方が選びやすく、支払いの伝票処理の手間もかからない等、パソコン操作に慣れていないユーザーこそインターネットの便利さに感激するという。地道に訪問して顧客の心を揺さぶる▼『空中』と『地上』のそれぞれの特長を明確に分け、両者の良さを引き出しているこのディーラー、「自社のホームページはもたない」という徹底ぶり。「空中」(仮想)はあくまでも道具で、商売の要は「地を這う」ということか▼最近、「
O2O」(オーツーオー)という手法が注目されている。消費者がネットで評判を知って、実際の店舗に足を運んで商品を購入する。スマホやタブレットの普及によって販促の様相も変わりつつある。

(4月8日号)
本紙は本号をもって紙齢2000号を迎える。1969年に創刊してここまでくるのに、43年と6か月の時間が経過している▼いま改めてここに2000号を迎えるに当り、この業界が辿った歴史の変遷を、一コマ一コマ思い出している。しかし結局のところは、この業界発展の起爆剤は、なんといってもアナログからデジタル世界へ踏み出した、この一点につきると思う▼♪こんにちは、こんにちは、世界の国から‐。あの軽快な大阪万博のテーマソングに乗って、43年前この業界も、日本の経済社会とともに、バブル絶頂期に突入した。本紙が創刊(1号)したのも丁度その時。これを機に業界では、この時を待っていたと言わんばかりに、無慮数十社のメーカーが業種を問わず電卓を売り出した▼昭和一桁生まれの業界人ならご存知の通りだが、昨今のスマホ全盛も顔負けの電卓旋風が業界を支配、事務機業界の基盤らしきものが出来上がっていった。同時に電卓そのものは、当時の算盤や手動式計算器或いは計算尺に変わる計算機として、計算業務はもとより、それに伴う日本経済社会の業務合理化に大きな役割を果たしていった▼電卓だけではない。あのワープロも、和文タイプライター業界を根こそぎ改革。業界そのものを消滅させてしまった。アナログからデジタルへの転換。業界の改革のテンポは、そのまま小紙の号数となって、紙齢を加えていった。

41日号)
小・中学校や高校に通っていたときの答案用紙やレポートを今も保存しているという読者はおられるだろうか。苦心して書き込んで提出し、担任の先生は赤鉛筆で○や×だけでなく適切なコメントを書き添えて返してくれることがあった。それらは生徒にとってモチベーションの向上になる。記者の手元には1枚も残っていないが、いま思えば貴重な自分史だったかもしれない▼大阪教育大学が実施した科学教育シンポジウムを取材した(前号に記事)。科学技術発展のための人材育成について理科や数学の教育をどのようにやっていけばいいのか、同大学の附属高校で取り組んでいる活動が報告された▼展示コーナーでコニカミノルタは同大学と共同開発したスキャナ活用システムを実演した。複合機と文書管理ソフトの機能を応用し、手書きのレポートやテスト回答紙などをデータとして蓄積する。紙を捨て去ってもデジタルアーカイブ資産として残るため次の進学先でも活用できる▼イベント最後のプログラムは各報告者が再び登壇し、パネルディスカッションが行なわれた。今も技術立国として世界に誇る日本だが、理数系の教育こそ「社会との接点や国際感覚を身につけることが大事」「習った先生の言動や人柄は大きな影響を与える」と、各パネラーが強調するのを聴いていて、実に文化系%Iな締め括りだと思った。

325日号)
本紙が発行する「OA年鑑」も、今年で通巻
29号を迎える。特にこの年鑑では毎年業界が問題にする案件を、特別企画として取り上げてきた。その意味で、今年の特別企画は「進化する複合機のIT戦略」とした▼アナログ時代の複写機から、デジタル時代の複写機に進化した複合機。そこには幾多の技術革新が繰り返され、今日の完璧に近い複合機に仕上がった。ファクシミリやプリンタ、スキャナ機能の搭載はいうに及ばず、最近ではスマホやクラウドとも連携し、今や情報機器のセンターマシンにまで成長した▼しかしこうしたデジタル商品が進化するためには、われわれの周囲を取り巻く消費社会との付き合いも大事である。エコロジー、セキュリティの問題がそれだ。メーカーの技術革新以上に、顧客満足度につながる要諦になる。いわばデジタル時代を制覇した複合機にとって、次なるIT戦略は何かを問われる時代になってきた▼はやい話が、去年今年にかけて次のような記事が踊るようになってきた。いわく「循環型社会に貢献」する「環境導線の構築支援」なる言葉。これまでにない複合技術プラス環境という戦略である▼ともに複合機に関する新しいIT戦略を持ち込もうとしている。1社でこの問題をクリアーするか、それとも協業化でこの問題を処理するか。IT新戦略はもう始まっている。

311日号)
東日本大震災の発生から2年。復興・再生が一部進むなか、あらためてこの災害の爪痕の大きさを思う▼先日、福島県相馬郡飯舘村・菅野典雄村長の講演を聞いた。原発事故によって村民6千名全員が避難を余儀なくされた。その後の取り組みを紹介するなかで、「このたびの震災を東北の被災地だけの問題で終わらせてしまったら、十数年前から変革の時代と言われるこの日本全体がカーブを切れずに失速する。成長を目指すのではなく、成熟社会の有り様を模索すべき」と訴えた▼これは複写機・複合機の業界にも通じるキーワードかもしれない。先月、メーカー販社2社から次のような冒頭で始まるニュースレターが届いた。「国内の複合機市場は成熟期を迎え、今後も大きな伸長は望めない状況。このような市場環境下で成長を続けるためには…」。▼商品がユーザーに行き渡って飽和したら、たしかに大きな伸長は望めないかもしれないが、いまはコピー機ではなく「MFP」に進化している。ユーザーのニーズを満たす「飽和点」に達するにはまだまだ提供すべきものがあるはず▼人間の身体に例えたら、「成長」は20歳未満で止まるが、「そのあとは知識や知恵、周囲の人たちへの心づかいなどを身につけることで、成長の質が変わっていく。これを成熟という」と、ある番組で識者が語っていた。人も企業も同じだと思う。

34日号)
毎年足を運ぶデュプロの新春フェア。今年も「ペーパーワーク」の多彩さに驚かされた。ビジネスをする、とは言い換えれば紙を使うことだとあらためて認識する▼ここでは、紙を「切る」「折る」「綴じる」「圧着する」「ページ順に集める(丁合)」、伝票を高速で「切り離す」「製本する」「包装する」など、大規模な印刷業界の総合展に行かなくても、
1社だけで全ての業務の流れを披露してくれる。3年前からは使用済みの廃棄書類を再生紙に甦らせる製紙装置「レコティオ」が加わったことで、紙を「造る」場面まで体験できるようになった▼以前、社員の人たちは「もし世の中から紙が無くなったら、自分たちの会社も無くなってしまう」という危機感をもっていたという。たしかにペーパーレスという言葉が流布されたが、前号でもふれたようにコピーやプリントボリュームは減っていないというデータがあがっている。日本人は紙なしでは仕事ができない民族▼スマホやタブレットが氾濫する昨今だが、デジタル機器だけで仕事している人はごく僅かなのが現状。会場ではモバイル端末と紙を組み合わせることで簡便に情報の整理と付加価値を得ることができる「PUC」(ペーパー・ユビキタス・コミュニケーション)という手法を紹介するブースも。紙に誇りをもつ人たちが織りなす次の時代の紙技≠煌ャ能した。

(2月25日号)
理想科学工業の高速カラープリンタ新製品発表展示会に行った。印象深かったのは様々な後加工を簡便に行なえるオプションを分かりやすく説明していたこと▼たとえば、ステープル止めやくるみ製本、紙の折り加工から封入封かんまでを自動で行うフィニッシャー機能。これらによって、チラシや会議資料、マニュアル等がバリアブル印刷で素早く出来上がる作業の流れを目の当たりにした▼小社の場合、読者に一部ずつ資料を送付するDM作業は年に数回しかないが、一度取りかかるとまる2日間を要する。他の仕事が手につかなくなるので昔から気の重い作業だったが、今回のシステムを導入すれば、ものの数時間で完了してしまう。これまで「内製化」や「省力化」の言葉だけ聞いても、なかなか本腰が入らなかった中小ユーザーでも、触手が動いた来場者は少なくなかったのではないか▼同社は過去、国民的ヒット商品「プリントゴッコ」で一般消費者を印刷の世界に誘った功績をもつ。今回の展示会でも、「素人」でも理解しやすい実演が繰り広げられていたように思う▼昔、会社で働く人たちは社外のコピーショップに行って複写作業を行なっていた。複写機を社内に備えたらどんなに快適か、事務機ディーラーはそういう営業を得意とした。顧客に感動を与えるソリューション提案は最近始まったものではない。

211日号)
大塚商会の「実践ソリューションフェア」が今年も勢いよくスタートした。先週は東京で大盛況、今週は大阪、来週は名古屋と、その後順次全国各地へと展開していく。このフェアの開催テーマは毎年少しずつ変化しているが、タイトルを見ると、今年は「元気をお届け」、昨年は「元気なビジネス」、一昨年は「元気を生み出す」と、いずれも「元気」の文字が記されている▼長年の景気低迷で忘れかけていた「元気」や「活気」の文字が、今年はアベノミクスの効果もあってか、期待をこめて年明けからあちらこちらで聞かれるようになったが、大塚商会の場合はずっと以前から元気と活力を発信し続けている▼大塚社長がいつも国内景気の指標にしているのはコピー用紙の売上量。コピーやプリント枚数でユーザー企業の元気度が測れるという▼前号で「複写機からの卒業」を掲げるコピー機メーカーの話題にふれたが、リコージャパンの佐藤社長は「私は複写機・複合機に徹底的にこだわる」と宣言(前号記事)。昨今は電子文書が増えた分、ドキュメントボリューム(紙出力量)は減っていると思いきや、実は今も増え続けているという▼複合機やプリンタに加えて、これからはデジタル商業印刷やMDS(マネージド・ドキュメント・サービス)など伸びしろもある。今年はドキュメント業界全体が元気になってほしい。

24日号)
各団体が1月に催した新年会をふりかえると、業界が大きな曲がり角に差しかかっていることを強調する挨拶スピーチが目立った。メーカーは何年も前から構造改革に取り組んでいるが、「販売店もいよいよ本腰を入れて変わらなければ」という気迫が感じられた▼数十年安定が続いた基盤事業に陰りが見えはじめても、販売店はメーカー頼りで生き延びてきた感がある。「今年こそは明確な方向性を持たないと今後の成長は無い」と各販売店会のリーダーは呼びかける。大事なのは原点回帰で、従来のビジネスモデルも始まったときは新規事業だったはずだから、初心に戻ろうと訴える▼関西リコー会の中村会長は、「我々は日頃『販売店』と呼ばれているが、この『販売』の意味を突き詰めて考えたい。『売る』とはどういうことなのか」と極めて根源的な問いを仲間の業者達に投げかけた▼それは「お客様に価値を提供し、その価値をお客様に認めていただいたら、我々は今後も事業を継続していくために必要な対価を頂戴できる」と中村会長は説く。この会は昨年からメーカーのメンバーも加わって、それぞれに抱える課題と気づきを語りあうディスカッションを実施し、その討議内容を整理して会員にフィードバックしているという▼親睦と研鑽を深めて活路を。今年は製・販ともに新たな成長の年になることを期待。

128日号)
小紙が毎年1月に発行する「新春オンリーワン商品」特集号は業界各社が発表した優れた製品・システムを紹介している。とくに枠囲みで掲載する商品記事は、各社からの推薦を事前にお聞きしているが、長年刊行してきた本特集号に今回初めて、ハード商品でもソフト製品でもないものが登場した▼それは富士ゼロックスが展開するアウトソーシング「サービス」。これは、複合機やプリンタなど機器の販売を中心としたビジネスからソリューションサービスへと舵を切りつつある方向性を示している。同社の山本社長は年頭所感の冒頭で「複写機からの卒業≠掲げて変革を進めてきた」と記している▼一方、キヤノンマーケティングジャパンの川崎社長も年頭挨拶で「あるべき姿として描くサービス創造企業グループ≠ヨと地歩を固めている」と述べている▼「顧客満足」という標語はずいぶん以前から叫ばれているが、今の顧客は何を求めているのか。「それが分からないとやっていけなくなる」「新しい価値をお届けしないとお客様から認めてもらえなくなる」から各社はサービス会社へと姿を変えようとする▼「変革」「改革」も以前から聞かれる言葉。まさにその真価が問われる時代を迎えているわけだが、もともと顧客と間近で接する商売をやってきたこの業界にとっては、絶好のチャンスが到来したとはいえないか。

121日号)
昨年2012年を表す漢字として京都の清水寺で揮毫された一文字は結局、「金」だった。ロンドン五輪での日本勢の活躍や金環日食などの話題が注目され、第一位に選ばれた。そんななか、「乱」の文字を推す人も少なくなかった▼大阪文紙事務器卸協同組合の創立百周年を記念した特別講演会に招かれた外交ジャーナリスト・作家の手嶋龍一氏は、「動乱のインテリジェンス〜東アジアの時代をどう生き抜くか〜」と題して講演し、各国の政治リーダーが多く交代した2012年を天下動乱の年≠ニ位置づけた▼たしかに、米国、中国、韓国、台湾、ロシア、フランスなど世界中で選挙が行なわれ、この日本も暮に政界再編となった。不透明感高まるなか国際関係がどうなるのか、まさに動乱の一年だったといえる▼手嶋氏の言うインテリジェンスとは、大切な決断をするという意味で、インフォメーションは単なる情報に過ぎない。「インテリジェンスとは、膨大な情報(インフォメーション)の海から原石≠選り抜いて、その真贋を確かめ、周到な分析を加えたうえで決断の拠り所とする重要な部分」と説明し、「ここにおられる皆さまは地域社会のリーダー。大切な進路決断を」と呼びかけた▼課題山積の2013年。事務機販社も新たな世代に交代しつつある。指導力が求められるのは政治家だけではない。

17日号)
巳歳の
2013年。業界は新しい事業を抱えて越年した。東芝テックの複合機システム「ループス」の展開。カシオ計算機の「サイネージ事業」への参入。同じくキヤノンMJの「医療画像事業」への進出など、それぞれが業界に新しい方向性を示すニュービジネスとして動き始めている▼東芝の文字を消す消色技術は、その紙を再利用するループス(複合機システム)として生まれ変わり、昨今の循環型社会に貢献するという画期的な事業である(昨年の本紙1126日付)。またカシオ計算機のサイネージ事業参入は、カシオらしい全く新しい発想によるもので、店頭広告の革新をめざす意欲満々のデジタルサイネージ事業への参入である(本紙昨年1210日付)▼またキヤノンMJグループによる「医療画像ソリューション事業」への参入は、キヤノンの持つ高度な光学・画像技術をフルに活用。業際を乗り越えて医療機関に画像診断システムを提供するものである(本紙昨年1112日付)▼こうしてみてくると、メーカーそれぞれのコンセプトで、業界活性化の道を拓いてくれようとしている。ある業界ディーラーは、本紙のディーラーアンケートで「メーカーは画期的な商品の創出を」と叫んでいた▼少なくとも前出の3事業をみる限り、その声に十分に応える商材ばかり。あとはディーラーがどうやる気を見せるかだ。

2013年 ↑

2012年 ↓

1224日号)
先行き不透明感が拭えないまま平成24年が暮れようとしている。そんななかでも、人類にとって明るいニュースだったといえるのはiPS細胞を作り出すことに成功した山中教授のノーベル医学生理学賞受賞。それまでの生物学の常識を覆した▼受賞に至った理由として、情報の収集力、そしてグループ作業やプレゼン表現など、コミュニケーション力が功を奏したと言われている。いまや理科系もチームワークが大切ということか▼2万個もある多くの遺伝子の中から、様々な細胞になりえる機能をもつ4つの遺伝子を発見したことがiPS細胞の作製につながった▼今年もまずまずの好業績をおさめた某販売会社の社長が、「当社には創業以来のDNAが今の我々にも備わっている。それは執拗なくらいの営業姿勢だ」と自信満々で語っていた会見を思い出した▼DNAは細胞分裂するたびにその両端がすり減って(プリンタのインクが減ったら印刷がかすれるのと同じように?)、寿命が縮んでいくらしい。ただし、上手に使えば人間は120歳まで生きられると、以前シャープの副社長や事務機ディーラー団体の会長を務めた佐々木正博士が新年の講演会等でそのような趣旨のスピーチをされていたことも思い出した▼再生医療の発展を期待しつつ、読者の皆様が健やかな新年を迎えられますことをお祈りします。

1210日号)
東日本大震災の発生から明日で
19か月になる。リコージャパンは先月、被災された東北地区のリコーグループ社員の人たちから寄せられた体験メッセージ集「真の気づき・教訓」を同社のホームページで公開した▼メッセージの数は207件。「家族を守る」という視点で今後の災害に備えるための情報を掲載し、一人ひとりが実体験のなかで気づいたことを35個の教訓としてまとめている▼この冊子は「グループ会社の方々からさまざまな支援があったことに対して、何らかの恩返しがしたい」という声を受けて企画されたという。「ライフラインが絶たれ物資の流通のない中、絶望の思いで、自宅で泥や家財の後片付けをしていたとき、手をさしのべていただき、本当に手を合わせ涙が出た…」▼事業継続はまず「社員とその家族が守られてこそ」。グループの社員とその家族に配布したところ、「リコーグループ以外の方にもお渡ししたい」という声が寄せられた▼本来、企業グループも地域のコミュニティも皆、「大家族」といえるのではないだろうか。身近な人との繋がりの大切さを誰もが改めて感じ、毎年1212日に京都の清水寺で揮毫される「今年の漢字」は、昨年は「絆」が選ばれた。この公募は阪神・淡路大震災が起こった1995年から始まった▼明後日に発表される2012年を表す一文字は何なのだろうか。

123日号)
先日、あるイベント企画会社から「事務機とオフィス家具を融合した展示会を大阪で催したい」と相談をもちかけられた。事務機とオフィス家具を同時に見ることができるフェアが今、無いからだという▼そう言われると、昔はビジネスシヨウなど総合展があったが、最近は目にすることが少なくなった。もともと両者はそれぞれの業界≠形成しているので、別々の印象を一般ユーザーに与えているのかもしれない▼ユーザーに対して、事務機の業界はソリューションという仕事そのものの成果を提案し、家具の業界は快適性という職場環境を訴え、それぞれ方向性が異なっていたように思うが、ユビキタスの時代になると共通点が出てきた。それは「働き方」▼内田洋行がこのほど打ち出した新事業は、企業のワークスタイルを変革するサービスで、営業戦略を策定し効果を生むことが目的。IBMのコンサルティング手法を採り入れた。オフィス家具メーカーが従来の発想から枠を広げて新たな価値創出に取り組んでいる▼冒頭の企画会社は大阪が地盤。東京には無い独自色を出したいという。橋下市長が府知事だった
3年前、リードエグジビションジャパン主催の関西設計製造展の開会式で大阪を盛り上げると意気込んでいたが、その後話しは聞こえてこない。いまは衆院選への戦略作りでそれどころではないのか。

1126日号)
今年度の第2、第3四半期を乗り切った各社の決算説明会が先ごろ開かれた。リコーは音声をインターネットで流す「ライブ・ストリーミング配信」を実施してくれたので、当日会場へ行けなかった記者も説明内容をじっくりと聴くことができた▼テレビを見るよりラジオを聞く方が集中力が高まるというが、この日の発表者、三浦副社長の表情は見えなくても、決算書に表れた数字の意味を理解でき、経営者の真意がよく見えたような気がした▼同社が増益を果たした理由として構造改革があがったが、ここで最も伝えたかったのはその中味。構造改革を表面だけでとらえると、リストラを断行して経費を節減したという記事になるが、語られたのは、「人を切るのは良くないこと」とか「リストラをすると社内のモチベーションが下がる」という一般的な風潮に対する逆説だった▼それは、「セールスマンこそ資産」という確信。安易に値下げする営業活動は生産性を下げるだけで利益を生まない。米国企業を2年前に手中におさめたが、現地へ行くと、良い仕事をしたいと考えている人が少なくないことが分かったという▼グループ全員のモチベーションを上げるためにも、構造改革とは、熱心に働く人たちに報いる手段。「人員最適化」という信念をもって改革をすすめている会社は今どのくらいあるのだろうか。

1112日号)
顧客が抱える課題を解決するソリューション提案は多様だが、最近の傾向として、提供する側が自ら実践した事例を顧客に伝える手法があげられる。自分自身が業務を改善したり経営効率を向上した経験は、自分の言葉で、自信をもって相手にすすめられるし、受け入れられる説得力がある▼先日ある展示会で、自社のコアコンピタンスともいえる技術・ノウハウそのものを商品化してしまった企業のプレゼンを見た。その会社が「売って」いたのは、製品の取り扱い説明書を編集する、マニュアル制作ソフト。もともと、その会社は様々のメーカーからマニュアルの制作・製本の注文を受けるのが本業▼当初は自社の仕事の効率を高め、より良い品質の取説を作るために研究・開発に努めて、それらのスキルをシステム化した。だが、それを社内に留めるだけではなく、商品として販売することにした。これを買った顧客はもう発注することはなくなる。そうなれば本業はしぼんでいく▼顧客の課題を一挙に解決し過ぎなのでは?というか、まるで自分の首を絞めるような行為にも見えるが、これがデジタル時代の企業の生き方か▼ところで、最近流行りのスマートフォンは購入しても取説が付いていない。携帯電話にはたしか分厚いマニュアルブックが同梱されていたと思う。ネットワーク化が進むと製品の在り方も変化している。

115日号)
関係な人々を巻き込んで誤認逮捕まで起こったパソコン遠隔操作事件。仕掛けられた者は何も気づかないまま犯人にさせられた。普段安心して使っている情報機器がウイルスに感染しているのかどうかも分からないというのは怖い▼先日、某電機メーカーのソリューション担当者に現在開発中の次世代技術について色々聞いた。その一つが音声表現。いま流行りのブログやツイッターは「書き込む」ものだが、文字通り「つぶやく」のであれば、それを実際の人間の声でネットに流すという発想。さらに、自分の声とは異なる他人の声色を作り出す応用例を聞いた▼これは勿論、ある業種で役立ちそうな用途例なのだが、もし悪用でもされたら、オレオレ詐欺の「なりすまし」ツールに使われかねない▼OA業界は別名、ドキュメント業界とも言われるが、長年、ドキュメントとは紙文書のことを指すものとされてきた。近年は文書も電子化する機会が増え、広く画像ととらえるようになったが、音声まで含めて考えるユーザーはまだ少ない。けれども、「話し言葉も記録・管理してビジネスに活かす時代が来る」と十数年も前に予言した読者がこの業界にいた▼スマートデバイスやクラウドが普及してIT環境が生活にもビジネスにも欠かせなくなってきた現代社会。技術の発展は喜ばしいが、悪質なネット犯罪は歓迎できない。

1022日号)
領土をめぐって近隣の国々との揉め事が経済問題にまで拡がっている。政治は本来、国際間の取引を安定・発展するよう橋渡ししてくれるのが役目なのに、政治のせいで海外での製造や流通に悪影響が及んでいる。また、善悪は別として政治面に限らず経済面においても近年の隣国には勢いと熱気を感じさせられる▼先日、カンボジアに1か月ほど滞在した知人から、工業地帯を訪れたときの話しを聞いた。ある工場の責任者に会うと、いきなり朝鮮語で挨拶された。その工場長は工業高校を卒業した頃は日本へ働きに行きたくて日本語学校に通って勉強していたが、次第に日系企業の求人が少なくなり、途中で学習を断念した。日本語をやめて朝鮮語や中国語に乗換える人たちが多いことを知り、隣国の積極的な進出を痛感したという。高度成長を謳歌していた頃の日本の「魅力」は衰えたのか▼先月、経営合理化協会の表彰式で電気絶縁材料メーカーの会長が「無形の資産を積み上げてオンリーワンに」と題して講演した。「グローバル時代の今日、いかにニッチな市場でもマーケティングと研究開発に努め、多角化を進める経営姿勢が重要だ」と語った▼技術力と市場を把握する力、そして独自性が備われば、一衣帯水の隣国同士、互いに協調して発展する道はあるはず。産業界の努力で政治問題を一気に解決してほしい。

108日号)
先月はリース事業を開始した新会社の社長インタビューをお伝えしたが、情報機器を販売するこの業界にとって
リース契約は不可欠な存在といえる▼リース事業協会の統計によると、国内の総取扱高は、5兆円だった1987年の翌年から増えはじめ、89年から07年まで78兆円で推移した。その後は下降に転じ、2011年度は45千億円となっている。総取扱高の内訳は情報通信機器が四割近くと圧倒的なウェートを占めている▼顧客ユーザーに対して、売り切りでなく、リース契約を結んで提供すれば、ユーザーはその期間中に機器を使用できるし、提供する側はリース期間が終了する頃に営業を行なって製品を再びリース販売し、継続的に顧客との関係を保てるというメリットがある。この商法があらゆる業種のなかでも特にOA業界に馴染んだ▼取扱高がここ数年減少しているのは景気の低迷が要因だが、それ以外に、モノからコト≠ヨの変化が考えられる。リース取引の対象は機械設備等の物件を賃貸することであるから、役務提供型のサービス商品は扱いにくいのが現状。だが、前述の新会社などはソリューション商材が今後はビジネスチャンスになると考えている景況不透明でベンチャーや中小企業を支援する金融機関が少なくなるなか、顧客ユーザーの成長に貢献し続ける業界であってほしい。

101日号)
いつの頃からかこの業界で開催される展示会は総合展よりもプライベートフェアの方が多くなった傾向がある。競合する各社が来場者の目を引くようなブースを構える総合展示会に出展するのは、不特定多数の来場者に自社の商品特長を訴え、広く認知度を上げることが目的。一方、自前で催すプライベートフェアは来場者である得意先との関係を深めるのが目的となる▼いずれにしても、お客には会場まで足を運んでもらわないとかっこがつかない。来場を促す行動なり営業努力を多くの場合、「動員」と言う。しかし、これはもともと軍隊用語から来た言葉だし、それに来場者を烏合の衆のような扱いをしている嫌いもある▼いまリコージャパンが全国各都市でプライベートフェアを順次開催している。ここでは「動員」とは呼ばず、「招客」という表現を社内で用いているという。これは同社の造語だが、客をもてなし、親身になって接しようとする姿勢が窺える▼フェアの会場では製品や機器は主役ではなく、複合機もプロジェクターも裏方に徹する。機器が照らし出す数々のパネルには顧客ユーザーが業務を改善した成功事例が掲げられていた。具体的な社名が出ているパネルもあれば、匿名もあるが、ここではお客自身が主役を演じていた。そういう舞台を設営することがこれからの展示会のやり方なのかもしれない。

924日号)
文書の電子化が進み、インターネットも普及した今、企業間の取引や部門間でのやり取りもシステム化する方向にあるが、果たして実際に迅速な実務が行なわれているのだろうか▼デジタル化、ネットワーク化で意志決定のスピードは速くなっているはずだが、半面、昔ながらの仕事のすすめ方が根付いているために従来の業務の流れをなかなか変えることができない企業が多く、「既存のワークフローの変更をいかに少なくするかがシステム構築するときの課題」と指摘するのは某印鑑メーカーの担当者▼同社は近年ネット上で捺印できる電子印鑑サービスを提案している。これなら、決済者がその場に居なくても承認を得られるし、また、災害時や緊急事態に承認が遅れることも回避できる▼とはいえ、稟議の回し方や申請の仕方が会社や事業所によって異なるのが企業の文化≠セと指摘する人もいて、契約書類の扱い方はバラバラなのが現状だとか。電子印鑑は様々なユーザーの文化・慣習に柔軟に対応する仕組み作りに取り組む▼ハンコの押し方にはその人の気持ちが反映するという。真っ直ぐ綺麗な捺印は心底同意している証拠、斜めに歪んだり朱肉がかすれているのは渋々。最近の電子印鑑はそのような微妙な差異までもパソコンの画面上で表現できるという。契約を交わすときの気合いは紙でも電子で変わらない。

910日号)
とある病院の外来受付。多くの患者が受診等の手続きをしていた。保険証の確認や初診の受付、医療費の計算、支払い、といくつも窓口が並ぶ長いカウンターで10名近くの職員が忙しく対応する▼保険証を差し出すと職員はすぐ背後にある複合機でコピーをとる。しかし、カウンター内の奥行が狭いため、A3サイズの機械は場所をとり、使いやすいはずの大型液晶操作パネルも本体から突き出しているので通行の邪魔になっているように見えた▼このような「オフィスユーザー」の現場の実態に逸早く気づいたのはブラザー販売の営業員かもしれない。SOHO(スモール・オフィス・ホーム・オフィス)という市場に特化して小型の複合機を開発し続け、先月は新しいブランドを発表、製品ラインナップを増やしている▼JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)の複写機・複合機部会に聞くと、いつも発表している出荷統計ではA3機とA4機を区別していないという。もし分類して集計すれば、ここ数年での両者の推移はかなり異なるのではないか。書類のA4化が叫ばれたのは平成2年。今年で22年にもなる。もう大は小を兼ねる%ア入の仕方は減っているのでは▼A4機の元気さばかりが目立つ昨今。同じ複合機でも、個個のユーザーの目には全く別物として映っているのかもしれない。

93日号)
先日路上で「この辺りに文房具店はありますか?」と尋ねられた。この業界では「文具」と短く言うが、一般の人々はそう呼ばないことに気がついた。「家電」や「スマホ」など言葉を何でも短縮して表現する風潮のなかで、最も身近なオフィス用品の呼称は世間では何故か省略されていない▼先月大阪で開かれた文具・紙製品の見本市で、文具の原点である文房四宝を展示するイベントが実施された。「文房四宝」とは、硯(すずり)・墨(すみ)・筆・紙のことで、中国が発祥。唐や宋の時代の文人が書斎(文房)で重宝したという。これらは伝統工芸品として扱われ、優秀な職工人たちにより優れた製品が多数生産された▼見本市では、紙が普及する以前に用いられた木簡も展示され、その短冊状の細長い木の板に硯と墨、筆を使って文字を書き入れる体験教室が開催された。木簡は削って書き直したり再利用したりすることができるので、当時の文具には筆、墨、硯に加えて小刀が含まれていたという▼こうしてみると、「事務機」の歴史はたかだか50年ほどだが、すぐ隣の業界だと思っていた「文房具」は悠久の時を経て、壮大なロマンを感じさせる▼単なる消耗品という見方をやめて、今日は久しぶりに原稿用紙に向かって、手書きで記事を書いてみようと思った。古代の日常生活や営みの様子に思いを馳せながら。

827日号)
日本語の「構造改革」や「組織再構築」を英語に訳して、「リストラ」と言い換えた途端、本来の意味から離れて単に従業員を解雇する行為と解釈されてしまう▼大手メーカー各社が先ごろ開いた第1四半期決算説明会でも、説明者がこの言葉を口にしないのに、一般紙やテレビの報道ではこの外来語が見出しに踊っていた。たしかに大規模な人員削減が進行しているのは事実。かつてはその強大な技術力で世界中の人々の仕事や生活を豊かにした大企業が今苦境を強いられている▼ロンドン五輪でメダル獲得に及ばなかった選手たちは「技術力だけでなく、気持ちが大切だと痛感した」と語っていた。かたや全力でプレーすることを怠る無気力試合≠ェあった。日本のメーカーは、技術は充分持ち応えても、「気持ち」が今ひとつ足らなかったのか? また「無気力プレー」は今の世界経済を覆う閉塞感と関係があるのだろうか▼本紙では毎号、各社が市場に投入する新製品を掲載しているが、昔も今も多くの紹介記事で紙面が埋まっている。これを見れば、各社が気力を失っていないどころか新規事業を打ち立て改革に挑んでいる姿さえ窺える。気持ちがなえているのは、購入を控えるユーザーの側ではないのか▼働く気力のある社員を簡単に切るわけにはいかない全国各地の販売業者のためにも、さらなる構造改革が望まれる。

813日号)
祇園祭で山鉾が都大路を駆け抜けるころ京都は梅雨が明け夏真っ盛りとなる。「事務機のウエダ」が運営するシンポジウム「京都流°c定書」が今年で5年目を迎えた。このイベントも地元の夏の恒例行事として市民に定着してきた感がある▼先般取り上げた神戸の六甲商会もそうであるように、「世の中の役に立ちたい」と熱い想いを抱いて起業しようとする個人やグループを支援することによって、地域を活性化し、よりよい社会づくりを目指す試みが各地で増えつつある▼シンポジウムには多くの社会起業家が集まり、様々な分野での現状の問題点を指摘、それらの解決策、そして多くの夢が語られた。聴講者として参加していた高齢の方々に感想を聞くと、「日本は戦後、ハード面では多くの秀れた事業家が現れたが、ソフト面ではそういう人は見当たらない。彼らのような人たちがこれからの時代のリーダーなのかもしれない」と感心し、希望を託していた▼ソーシャルビジネスというものが今後この国でどれだけ発展するか、課題は多いと言われるが、協働や協業まで出来なくても、「共感や応援をしてくださるだけでも、社会改革につながっていくのです」と若い起業家たちは目を輝かせていた▼彼らが手がける事業が順調に稼働し、優良な顧客企業≠ノ成長するには、周りの理解や協力が必要となる。

86日号)
先日某メーカーがプリンタの新製品を発表した際、販売ターゲットとして、小・中学校を重視していることを強調し、今後教育現場の実態とニーズ把握に努めるという趣旨の行動指針を示した▼文教市場に対してOA業界が大きな役割を果たしてきたことは、先月東京と大阪で開かれたセミナー&展示会「NEWエデュケーションEXPO」を見ても一目瞭然。このイベントは文部科学省など行政機関をはじめ、各都道府県の教育委員会が後援し、今年で
17回目を経過した。出力機器や映像装置をはじめ電子黒板、設備什器など、あらゆるOA機器が一堂に会する風景は、「ビジネスシヨウ」が無くなって久しい今、教育界でしか見られないといっても過言ではない▼最近は教科書のデジタル化や校務のシステム化などIT活用はさらに加速し、今回は“次世代のインタラクティブ(双方向)な授業を目指す”とした模擬授業も実演された。その他校舎への不法侵入や登下校時の安全を守るスクールセキュリティ商材も充実し、学校の“門番”はOA業界が担っている▼そして、このたびの痛ましい中学2年男子生徒の自殺。いじめとの関連が後から指摘された。生徒の心の痛みに何故誰も向き合えなかったのか。数々のコミュニケーションツールを提供してきたOA業界も校内の人間関係までは支援できず、残念でならない。

723日号)
最近、通勤電車や喫茶店などで、スマートフォンやタブレット端末を用いて「仕事」をしている人を見かけることが多くなった。何をしているのか、内容は勿論分からないが、ゲームを楽しんでいる時と真剣に何かに取り組んでいるときの目つきは異なるので、遊んでいるのか仕事に没頭しているのか、見分けはつく▼「ノマド」という言葉を近年この業界でもよく見聞きするようになった。英語で遊牧民を意味するらしい。いつも決まった自分の机で仕事するのではなく、ノートパソコンやスマホなど持ち運べる機器を使ってネットを介し、場所を選ぶことなく業務をすすめるワークスタイルのことをさす▼すでに「仕事するのにオフィスはいらない」とか「どこでもオフィス〜仕事術」などの書物も出ているが、肝心なのは、どんな場所にいても仕事を行なう意欲と集中力がもてるか、そういう環境を整えておくことが必要となる。クラウドサービスはそのためのもので、モバイル機器を駆使することによって情報を自在に手に入れることができる▼取材に行っても、記事を書くのは事務所に戻ってからというワークスタイルをいまだに続けている記者は完全に昔タイプの人間。ただ、休日も記事の見出しや原稿の書き換えが頭から離れることがないから、「ノマド生活」は以前からやっているような気もする。

79日号)
「紙」と「デジタル」は相反するものなのか、それとも融合できるのか。両者の情報を上手く活用する方法とは。ここ数年これを最大の課題としてこの業界は取り組んでいる▼小紙のような新聞という印刷媒体については、「時代が進めば、紙の新聞は無くなり、デジタル情報にとってかわるだろう」と言われているが、両者が上手く共存できる例として最近、ARが注目を集めている▼これは「拡張現実」と呼ばれる技術で、例えば紙のカタログや広告チラシの一部にスマートフォンをかざすと、その商品の特長が動画や音声で表示される▼一時バーチャルリアリティ(VR)という技術が脚光を浴びていた。これは、そこに表示されるオフィス空間も机もイスもOA機器も全てが仮想の空間として人間の感覚に訴えようとしたものなのでそこには物体といえるものは何一つ無かったが、ARでは実際に紙のカタログや新聞がユーザーの手元にあってこそ成り立つサービス。紙とデジタルが一体化した情報提示といえる。▼これをどうビジネスチャンスに活かすか。紙を長年扱ってきたこの業界ならではのアイディアが今後期待される。「情報体験型カタログ」の制作サービスを提供する業者も増えてきた▼モノとしての紙の価値もコピー単価も下がるなか、これからは単価勝負から企画勝負へと戦略転換が求められる。

72日号)
「モノ売りからコト売りへ」という変革を示すキーワードが叫ばれて久しいが、先日のJP印刷産業展では「モノ」の魅力が顧客を満足させている光景をいくつか見た▼この場合の「モノ」とは印刷機械のことではなく、それら機器が稼働することによって得られる制作物のこと。この業界では成果物としての作品の出来具合が商品価値を決定する▼この展示会で目を引いた作品(モノ)は、例えば中綴じ折り製本機で作成された「ランドスケープ」というA4サイズを横開きにした冊子。これまで見慣れた縦開きの印刷物に比べると高級感が漂い、思わず手にしたくなるようなカタログ。CDジャケットのサイズも作成でき、これらサンプルが来場者に配られていた。一方、カラーデジタル出力機を実演するブースでは、高彩度トナーを用い、これまで見たことがないような鮮やかで強い印象を与えるパンフレットを披露した▼これらはいずれも機械自体は主役ではなく、それによって産み出された「モノ」が顧客を惹きつけるソリューションといえる▼かつて印刷機の展示会といえば巨大な機器が大きな音をたててその性能を競い合う風景だったが、最近は様変わり。昨年までオフセット機を主に展示していたメーカーもデジタル機で何が出来るかを訴求。オンデマンドプリンティングへの移行が静かに進行している。

625日号)
「事務機業界の活性化を通じて、日本を元気にしていきたい」。このほどビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の新会長に選出された内田恒二氏(キヤノン相談役)の就任第一声だ▼業界の活性化によって日本を元気にする。久しぶりに聞く快音だ。それでなくても業界周辺は、未だに閉塞感が立ち込めうっとうしい。それらを払拭するためには、むしろ情報化社会の一翼を担うわれわれの業界から、元気印の声が一つや二つ出てもおかしくない▼しかし日本を元気にする前に、まずは業界自身が何をどう活性化しなければならないのか。内田新会長は「良い製品を出せば買って頂ける時代は去り、営業部門はソリューション型営業に変わった」とし「ネットワークなどのオフィスインフラの知識も求められ、お客さまの相談相手として期待されている」▼この期待に応えて「業務効率化やオフィス環境改善の提案と併せて、彼らの元気や笑顔をお客さまに届けることが、日本を元気にすることに繋がる当業界の使命である」という。「そのためには当業界自身も活性化し元気にならなければならない。お客さまに役立つ提案力を持たねばならない」と念を押されている▼日本を元気にする秘訣は、業界自身のユーザーへの提案力の強化であり、それらの顧客満足度が業界活性化の栄養源になるということである。

611日号)
NOMDA(日本事務機器流通団体連合会)が、今月30日をもって解散する。昭和48年に創設以来、39年の歴史に幕を閉じる▼解散の理由として「昨今、国内市場が慢性的なデフレにあえぐ中、事務機ディーラーを取り巻く環境が激変し、地区協会の解散が増え、全国的な活動が難しくなってきた」ため、419日の正副会長会議で解散を決議したという▼総会も開かず、正副会長会議で解散を決めたところに、この団体の末期的症状が窺える。解散の理由一つにしても、別にNOMDAだけが直面している問題ではない。日本のあらゆる業種の団体が抱えている問題である▼それをNOMDAだけがさも危機的状況にあるような言い方は、いかにも身勝手で無能力な弁解というほかない。結論からいうと、この団体はディーラーのための団体として何もしてこなかった。展示会やイベントを開いたというが、殆んど各地区協会に名前を貸しただけだ▼そんなことより、解散宣言にあるように“事務機ディーラーを取り巻く環境が激変”だから全国的な活動が難しくなったというが、ならばここまでくるのに、NOMDAは何をしたのか。ディーラーの体質改善につながるようなアプローチをしたのか。何もしなかったではないか▼よってNOMDA解散は、遅かれ早かれの問題であり、これで業界ノムダが一つ消えただけだ。

64日号)
この業界にとって、「環境」と「セキュリティ」は、やっぱり永遠のテーマになるのではと、書き始めた時、まるで符丁を合わせたように、日中韓の「複合機に関する相互認証協定締結」の報道資料が送られてきた▼資料によると、日中韓の環境ラベル機関は、2005年の第5回日中韓環境産業円卓会議(東京)で、3か国の環境ラベル基準の調和化推進に合意。以後協議を重ねてきた結果、2007年にパソコンで締結、今回の複合機・複写機・プリンタで2商品目となった▼周知のように複合機は今や日本のお家芸。なおかつ事務機業界の主力商品である。それだけにわれわれがもっとも懸念するのは、相互認証協定という日中韓の締結が、業界にとってそれがどこまで信頼度の高いものかどうか。再度精査する必要があるように思える▼発表資料では日本企業の海外市場への国際流通がさらに促進されるという。この業界は過去・現在にわたり、何度も厳しい輸出規制という名の関所を通ってきた。恐らくそれらの企業が、さらに国際流通が促進されると聞けば、何と言うだろう。商売なんて環境マーク一つで変わるもんじゃない、というかも知れない▼むしろ、海外製品がマークを売り物に粗悪商品を売り込んできたら業界はどう対応するつもりか。環境も大事だが、そっちの方がむしろ気にかかる「相互認証」だ。

528日号)
又聞きの話で恐縮だが、今を時めくソフトバンクの孫社長が「社内でコピーをとる社員は、会社を辞めてもらいます」と、言ったとか言わなかったとか。そんな話が耳に入ってきた▼ネット企業のソフトバンクなら、それぐらいのことは当たり前の事かも知れないが、ネットに懸ける孫社長の意気込みが、この一言で伝わってくる。聞けば同社の幹部社員は、随分前からこの社長通達通りの仕事をしているというから、今に始まったことではない▼ならば株主総会などで出す決算報告やその他の資料はコピーしないのかというと、それらはアイパッドによって対応しているという。一事が万事、すべてのデータはネットによって自社のデータベースやクラウドに保存し十分対応できるという。まったく新しいコミュニケーション、情報処理の時代に入ったことを窺わせる話だ▼その昔といってもつい最近まで、ペーパレスの話題が俎上にのぼっていた。しかし結局はペーパレスどころか、かえって紙の使用量が増える逆現象が起っていた。誰かが紙の使用量はその国の文化のバロメーターだからいいんじゃないか、と言ったそうだが、孫さんがもしこの見解を聞いたらどう思うだろうか。「アナログ文化よ、さようなら」と言うだろうか▼今や我々のメディア企業も、電子新聞時代に入った。他人ごとではない時代だ。

521日号)
陽春5月、この季節になると思い出す歌がある。「丹によし奈良の都は咲く花の薫るが如くいま盛りなり」。ご存知の歌だ。とくに後節の「薫るが如くいま盛りなり」に強い躍動感を感じる▼野暮ったいようだが、いまこの業界に欲しいのは、この躍動感ではないか。25年前のあのバブル絶頂期を思い出してもらいたい。電卓は羽が生えたように売れ、ワープロもまた飛ぶように売れた。バブルが電卓を乗せたのか、電卓がバブルに乗ったのか▼業界は「薫るが如くいま盛りなり」を地で行くような、活気に満ち溢れた時代だった。それをいまコピーしろと言われても無理な話だが、少なくともあの時代が再びやってくるんだろうか。そんな淡い期待感を持つ業者がいても不思議ではない。マスコミの我々も、切実にそれを望んでいる▼あるディーラーに聞いてみた。開口一番「そんな夢のような時代は二度とやってこんよ。第一、地球規模の経済環境を考えている時代に、日本だけがバブル経済に戻るなど愚の骨頂や」。続けて「そんなことより今は自分の足元の経営戦略を考える時と違うか」と、次のような案を示してくれた▼「まず大事なことは、顧客との関係をより緊密にすること」。何より販社としての原点に立ち返ることが重要、とおっしゃる。商売に奇手奇策はない、ということかも。

57日号)
毎年のことながら、今年も新入社員の季節がやってきた。昨年の今頃は、震災後のことでもあり、入社式に臨む新入社員は緊張感が張り詰めていた▼そして今年、NHKはそんな新入社員にマイクを向けて取材していた。それによると、最近の新入社員は「競争意識を嫌う人が多い」とのこと。競争意識を嫌がる新入社員。こんな人間が業界に入ってくる。「一瞬」頭の中が「ゼロ」になった▼鉄は熱いうちに打てとか。熱くならない人間をどう打てばいいのか。一人前の戦力として育てるには、どう教育し、
どう鍛えればよいのか。業界各社のトップのメッセージを入社式から拾ってみた▼リコーの近藤社長は「正しいと思ったことは最後まで諦めずに挑戦し続け、自らのブランドを確立。リコーを担うプロフェッショナルとなって活躍してくれることを期待する」とリコーを担うプロになれと言っておられる。重い言葉だ▼またキヤノンMJの川崎社長は「経済や地球環境が厳しい中、若い皆さんのフレッシュな発想力や行動力が必要。ピンチとは変わっていくためのチャンスと考え、明るく元気に頑張りましょう」と、ピンチをチャンスに変える行動力が必要だと言っておられる▼こうした新入社員に対する期待感から、競争意識を省いたらどうなる。実社会はそんな甘いもんじゃないという答えが返ってくる。

423日号)
春が来たというのに、相変わらず冬眠状態を続けるNOMDA(日本事務機器流通団体連合会)▼そのNOMDAの機関紙(NOMDAニュース)が、331日発行の142号をもって休刊するという。いきなりの発表で少々驚いたが、肝心要の御大があの状態では、それも止むなしか、と思える発表である。休刊の理由としてこんなことを言っている▼昨今は事務機ディーラーを取り巻く環境が激変、と前置きし「国内市場が慢性的なデフレにあえぐ中、システム系や通信系などの異業種が参入、またネット通販による安値販売や、安値入札の横行など、ハード、保守ともに事務機ディーラーが利益を得ることが難しい業界になってきました」▼その様変わりする国内にあって、情報媒体としての「NOMDAニュース」も見直しの時期であり、情報手段がますます多様化する今日、その役割は終えたものと判断し、今月号をもって休刊するという。果してこの休刊メッセージは機関紙としての弁明か、NOMDA本体につながるメッセージなのか。どうもNOMDA解散の露払い役を買って出ているように思えてならない▼昭和48年にNOMDA創設。紆余曲折を経て、間もなく創設40周年迎えようとしている。NOMDAの阿久津会長は本紙の年頭所感で「団体存続へ支援を」と訴えている。業界はそれにどう応えるか。

49日号)
民間の調査機関が、いつの頃からか、われわれの業界製品の市場動向を取り上げるようになって大分時間が経つ。昨今では国内にとどまらず海外情勢のデータも入手できるようになった▼たまたまこうした状況のもとで、326日号の本紙には3件の調査データを掲載。昨年の国内IJプリンタ・MFPの市場動向(IDCジャパン)と、同じく国内企業の事務機導入状況(GFKマーケティングサービスジャパン)、それに国内中小企業のIT市場予測(IDCジャパン)である▼偶然にもこの3件が重なって発表されたわけだが、よくぞここまで調べたな、と思う反面、過去にはどこかのメーカーと間合いをはかっているんじゃないかと勘ぐりたくなるような調査もあった。というわけで必ずしも手放しで認めているわけではない▼たとえ調査機関といえども、われわれインサイダーの目からすれば、彼らはアウトサイダーの立場だ。従って同じ状況下でも見る目によっては、善し悪しの判断が違う。その意味から、たまにちょっとおかしいんじゃないというケースにぶつかることもある▼今回ひっかかったのは、企業の事務機導入状況の調査だ。「デジタル複合機のメーカー別保有」の項目で、富士ゼロ、キヤノン、シャープ、ブラザーの名前はあるが、リコーやコニカミノルタ、京セラ、東芝の名がない。何故なのか。

42日号)
商品にもいろんな呼び方がある。「中古機」といえば、廃棄一歩手前の商品のように思われがちだが、これを「リフレッシュ機」と呼べば、まだまだ使えそうな商品に思えるから妙だ▼先月、年度末セールで、あるディーラーがそんな広告を出した。リフレッシュ複合機(法人向)カウンタ保守、
3年保証、最長5年保証、高品質、安値でご提供できる複合機です。とうまいネーミングを考えたものだ▼普通こういう場合、リユースとも再生機とも呼ばれるが、これをリフレッシュとしたところに、このディーラーの思惑がありそうだ。狙いはいうまでもない。中古機のイメージではユーザーの信頼が得られない。そのために考えついた営業戦略だろう▼そのため複合機の位置付けをピラミッド形に捉え、こんな評価をしている。ピラミッドの一番底辺にあるのがオークション販売の複合機(商品が不安、サービスが受けられない場合あり、安価)。その上に中古機(品質基準が異なる。安価)があり、そしてもう一段上ったところにリフレッシュ複合機(品質基準が一定安定、安心、安価)、頂点が新品とある▼世の中は、エコ、リサイクル時代、こうした中古業者の取り組みも判らぬわけではない。しかしメーカーの希望小売価格(新品時)の約10分の1で販売となれば、所詮は中古機の安売りとみられても仕方がない。

326日号)
先日、東京のTBSから、本紙を紹介するから何月何日の新聞を送ってほしいと依頼があった。『みのもんたの朝ズバ・業界ひろい読み』に取り上げたい、という申し入れである▼このTBSには一昨年も、日曜日の朝番組『がっちりマンデー』に取り上げられ、今回が
2度目。1回目の時は取材に来たテレビクルーに本紙の編集部が、エコ時代だからとD社の廃棄書類を再生する、画期的な「小型製紙装置」を説明した。ところがこれが放映されるや、全国各地から引き合いが殺到。全国ネットで放映されたテレビの影響力を、まざまざとみせつけられた▼しかし、一度あることは二度あるとはよく言ったもので、昨年はNHKBSプレミアムの制作会社から電話が入った。同番組の『らいじんぐ産、追跡にっぽん産業史』に電卓を取り上げるから、本紙の創刊以来の電卓記事を参考にしたいという▼担当者が言うには、電卓の全体像を探るため赤坂の国会図書館に行ったところ、そこで偶然本紙の存在を知ったという。早速本紙にやってきたテレビクルーは1969年の創刊以来の「綴じ込み」を半日がかりで撮影、これが同番組の肉付けに一役買い、電卓王国ニッポンの発展史が、要領よく放映された▼業界紙が業界のPR役を果たす。そんな方便が、テレビで見つかったということである。

312日号)
スキルの戦士達140名が大阪に集結した。キヤノンMJが開いた「キヤノングランドサミット2012」がそれだ▼同サミットは、セールス、サービス、サポートの3部門で、昨年優秀な成績を収めた、同社のビジネスパートナー各社の個人を認定・表彰するもの。こうした各部門の表彰は他社も行っているところがあるが、何れにしろ業界にとっては、貴重な得難い金の卵的存在である▼特に今日のような、事務機の総デジタル化、システム化、ネット化に対応するためには、彼らのような現場を熟知したスキルマンが必要である。技術面だけのスキルマンではなくセールス面にも、サービス面にも、サポート面にも、こうした人材が欠かせない▼このため同サミットではPSP(パートナーサービスプログラム)、SMC(ソリューションマスターズクラブ)、ESA(エクセレントセールスアワード)の3部門に分れ、それぞれの部門優秀者が、キヤノンMJの川崎社長から表彰を受けた▼また芦澤副社長からは「野球チームに例えるなら、ここにお集まりの皆さまはメジャーリーガー。ESAは3割打者、PSPはゴールデンクラブ賞、SMCは作戦コーチといえる」と極めて味のあるスピーチも行われた▼表彰会場の帝国ホテル前は大阪でも有名な桜の名所。表彰者に花を添えた打ってつけの場所でもある。

35日号)
間もなく311日がやってくる。早いものであれから1年。大震災の記憶はまだ生々しく新しい。被災者なら尚更だろう▼それかあらぬか、被災地域に対する各種のボランティア活動も、今もなお盛んに行われている。最近この業界でも、個人レベルではなく、プリンタメーカー6社が参画する、産・官・学によるプロジェクトが始まろうとしている。「SATOYAMAイニシアティブ」がそれだ▼プリンタメーカー6社(ブラザー、キヤノン、デル、エプソン、日本HP、レックスマーク)は、すでに家庭用プリンタの使用済みインクカートリッジの共同回収活動「インクカートリッジ里帰りプロジェクト」で先行しており、このほど環境省と国連大学高等研究所が主唱する「SATOYAMAイニシアティブ」を支援する形で合意したもの▼それによると、回収したインクカートリッジ1個あたり1円を半年ごとに集計して拠出、SATOYAMAイニシアティブ国際パートナーシップ(IPSI)へ寄付し、これを通じて東日本大震災復興支援活動と自然共生社会の構築に向けた活動を支援するというもの▼つまりは「カートリッジの回収活動」が東日本大震災の支援につながるとともに、循環型社会形成の貢献にも役立つ一石二鳥のプロジェクトだが、これにはメーカー6社の支援が大きく物を言うことはいうもでもない。

227日号)
2月は逃げて走るという喩えもあるが、業界にとっては逃げてもらっては困るイベントシーズンの始まりだ▼今や業界に春を呼ぶイベントとなった大塚商会の「実践ソリューションフェア」。また地球と人にやさしい活動をキャンペーンに盛り込んだデュプロの新春フェア。これら特長あるイベントが、今年も業界とオフィス社会を結びつける重要な役割を買ってくれている▼その大塚さんのフェアも、1978年の「第1回ビジネスシステムフェア」以来、「実践OAフェア」「実践ネオダマフェア」と、常に時代を先取りするテーマを掲げ、今日の「実践ソリューションフェア」へと完成度を高めて行った。結果的にこうした大塚さんのフェアの取り組み方が、業界の方向性を示す指針としてメーカーもディーラーも、これまで触発される部分が多かったのではないだろうか▼一方のデュプロは「進化するデュプロの紙技」をテーマに紙加工技術を披露したが、それと添うように、恵まれない世界の子どもたちにワクチンを贈るキャンペーンを、去年に引き続き今年も行った▼要領は「お客様1人来場=1ワクチン」と銘打ち、来場者数分のワクチンをNPO法人を通して世界の子どもたちに贈る、というユニークな企画。大阪の橋下市長が聞いたら喜びそうな話。フェアにも維新の風を吹き込みますか。

213日号)
これからの企業価値は単に売上高や技術力の高さだけで決められる時代ではない。あらゆる環境ニーズに対応できる企業こそ、高水準の企業として評価される時代だと、そんな企業ランキング度調査が行われた。日本経済新聞が行った
15回目の「環境経営度調査」がそれ▼確かに今の時代、環境をヌキにした経営が語れないことも事実。社内体制も製品そのものも、すべての面でこの問題をクリアしなければ、企業としてのステータスを問われる。今回の企業調査も、製造業の@環境経営推進体制A汚染対策・生物多様性対応B資源循環C製品対策D温暖化対策等の厳しい評価基準を対象としたもの▼幸い778社(前回は842社)有効回答の中、業界関連企業15社が、製造業ベスト20位の中にランキングされる栄誉に浴した。因みにその15社とは、順位別にパナソニック、シャープ、NEC、東芝、三菱電機、富士フイルム、富士通、コニカミノルタ、キヤノン、ソニー、セイコーエプソン、キヤノン電子、東芝テック、京セラ、リコー。そのほか金融部門でリコーリースが3位に食い込んだ▼これをみても、いかに我々の業界企業が、日頃から環境経営に徹しているか分かる。それらの環境基準を満たした商品がユーザーの現場で使われ、 環境経営に二重三重のメリットを斉す。仇やおろそかにできない環境経営である

26日号)
クラウドサービス事業が急速にこの業界でも広まろうとしている。ある意味、クラウドサービスがドキュメント企業の救い主になるのではないか。そんな見方をする人もいる▼本紙はすでに、一昨年発行の10年版『OA年鑑』でこの問題を取り上げ、「クラウド環境で第3の利益を」とタイトルを打ち特別企画を組んだ。果せるかな、その後の業界主要企業は、堰を切ったようにクラウドビジネスに参入。昨年来業界の花形ビジネスに座ろうとしている▼OAとクラウド。考えようによっては、相性のよい組み合わせになるかも知れない。というわけで今年の12年版OA年鑑に再度登場してもらうことにした。民間の調査機関「IDCジャパン」も、国内クラウドサービスが本格成長期を迎えると市場予測している。業界としてもこれを逃す手はないと考えるのは当然のことかも知れない▼因みに業界主要企業のクラウドビジネスの展開を本紙から拾い上げると、@シャープがクラウドと連携したデジタル複合機を投入A京セラミタJは、クラウド・SNSで付加価値を提供BリコージャパンとキヤノンMJが、共にクラウドサービスで異業種企業と連携C富士ゼロックスはSMB向けクラウドサービスを提供Dコニカミノルタも近く参入▼以上が直近の業界の動きだが、クラウドがどこまで業績に寄与するかは、未知数の問題だ。

130日号)
シャープは今年、創業100周年を迎える。その幸先を飾らんばかりに、正月草々、80型の電子黒板「BIG PAD」の発表を行った▼その発表会見で中山常務執行役員は、同社がシャープペンシルを開発して以来、日本初、世界初の商品を創り続けてきたと、自社の開発魂を披露。改めてこの100周年にあたり、オフィス空間でのユーザーフレンドリー(操作性)を徹底的に追求したい、と意欲的な説明を行った▼シャープといえば、本稿で何度も取り上げたように、電卓で事務機業界の「窓」を開いてくれたメーカー。今回発表された業務用液晶タッチディスプレイも、オフィスや教育現場などで電子黒板やテレビ会議用ディスプレイとして活用できる、この業界にとっては打ってつけの商材▼特長を列挙すると@付属の専用ペンを使って電子黒板として使えるA文書データや表計算シートを画面の上から手書きし、その内容を保存できるB画面上をスマホのようにタッチ操作することで表示内容の拡大や縮小、ページ送りができプレゼンにも最適。極め付けはC同社製複合機と連携すれば、表示内容のプリントアウトや、スキャンした紙文書を画面上に表示できる▼こうなれば、あらゆる事務機を融合した夢のマルチファンクションである。新製品導入を渇望する業界には、豪華な100周年のプレゼントだ。

123日号)
予想した通り昨年のディーラーの業績は、一昨年に比べて増収企業が減り(27%)、減収企業が増えた(45%)▼昨年暮、本紙が行った恒例の全国ディーラーアンケートの結果がそれである。一昨年のそれでは、「売上げ増減ほぼ拮抗」と大見出しを打ち、業績回復へあと一歩とも書いた。ところが昨年は、まさかのあの大震災である。業界各企業にもいささかの被害があったことはいうまでもない▼リーマンショックから大震災へ、これらをなんとかクリアーしようかと体制建直しを図っている時に、超円高が、そしてEUの問題が、タイの大洪水がと折り重なって襲ってきた。こんな環境で利益を出せという方が無理なのかも知れない▼しかし実際はこのアンケートでは、利益を出した企業が3割近くもあった。ということは、悪環境に左右されず、それなりに経営改革を行ってきた、という答えにもとれる。何がその理由かについては、やはりハードオンリーのビジネスからソフトを絡めた体質改善をはかってきたことが、増収の主因のようである▼それに対して減収企業の多くは過当競争、不況を主因に挙げているが、内部的には従来のペースを改めなかった事が減収の一因ではなかったか▼とにもかくにも今やデジタル時代。戦略的にも、業界は大転換期を迎えている。それがアンケートの回答にも滲み出ている。

12日号)
「モノ売り」から「コト売りへ」の変革。昨年暮、コニカミノルタが記者会見で示した同社の企業体制だ(1224日付)▼いわゆるモノ(ハード)からコト(ソリューション)への変革は早くからこの業界でも提起されてきた問題だ。しかし一口に「コト」といっても、いろんな対応の仕方がある。それはメンテナンスフォローの徹底であり、或いは「セキュリティ、リサイクル、社内統制ルール等の問題に重点的に対応する」といった見方もある▼今回コニカミノルタが顧客に対して示した対応は「ワンストップサービス」「売上増加支援」「プロフェッショナル・テクニカルサービス」の3点。また昨今、主力企業の殆どが、クラウドサービス事業に乗り出している。必然的にこれらの売り上げが、企業全体の業績アップに繋がることはいうまでもない▼ただこうした「コト売り」ビジネスにメーカーがどこまでディーラー(パートナー)とタッグマッチが組めるのか。またこれらのサービス事業について、ディーラー自身がどこまで知り尽くしているのか。それをまず検証しておく必要がある▼少なくともこうした新しいサービス事業を展開する以上、メーカーとディーラーが一体となった、業界挙げての「コト売り」でなければ、将来的な市場開拓には繋がらない。「コト売り」が変革を呼ぶ1年になりそうだ。

2012年 ↑

2011年 ↓

1226日号)
一難去ってまた一難。そんな1年が終わろうとしている。やっとリーマンショックから開放されかけた,
その矢先に、あの東日本大震災が襲いかかった。すべての災難はここから始まる▼あとはご存知の通り、超円高、EU金融不安、タイ大洪水、矢継ぎ早に日本経済にダメージを与えてくれた。悪い時には悪いことが重なるとはこういうことかと、改めて思い知らされたような1年だった▼ただ人間は、喉元過ぎれば熱さを忘れるともいう。あの大震災の時に、あれだけ部品調達に困難をきたしたはずのメーカーが、再びタイの大洪水で同じ苦しみを二度も味わっている。これなどは危機管理対策の重要さを甘く考えていたツケとしかいいようがない。禍を転じて福となすチャンスを逸した▼円高の問題にしても、今や国内より海外出荷比率の高いこの業界では、他産業並みに重要な経営指標の一つ。しかもEUの金融不安が、輸出の不安材料にもなりかねない状勢だ。これまで業界とは無縁だと思われてきた問題が、他産業と同一歩調で物ごとを考えなければいけない時代に入ってきている▼そこへ、TPP問題だ。これだって業界とはどう関わっていくのか。為替問題とは切っても切れない問題だけに、海外事業の展開を、一から洗いなおす必要が出てくるのではないか。そんな難題を抱えての年越しである。どうかよいお年を。


1212日号)
本紙は今年も、全国の事務機ディーラー100社をアトランダムで抽出し、年1回のアンケート調査を行っている。今年で26回を数える▼目的は言うまでもなく、ディーラーの本当の姿、ディーラーの本音をここに集約、ディーラーの実態を明らかにし、業界の流通改善に役立ててもらいたい。そう願って始めたことである。そのために解答は全設問匿名とした。この方がより忌憚のないご意見が聞けると思うからだ▼ありがたいことに、これまでディーラー各位の協力により、多い時には70%近い回答率があり、以後も高い回答率で推移している。それもこれも、日頃から何かを訴えたかったディーラーからすれば、本特集に「目安箱」的な役割を果してもらいたいという期待があるせいかも知れない▼因みに昨年の業界、メーカー、団体への注文には、こんな的を射た声があった。「常識を超えた価格戦略でユーザーの不信感を招いている。また売れても利益がなくなっている」そして「流通秩序をお互いが守っていくべきだ」と、メーカーの直販体制を見直せとも言っている▼こうした日頃業界に、メーカーに直言できなかった意見が、毎年のようにディーラーの口から出ている。あるメーカーはこの声がディーラーとの意思疎通に参考になる、という意見もあるようだ。さて今年はどんな声が出てくることか。

125日号)
師走月に入った。毎年のことながら、ブン屋は新年号やら何やらで忙しくなる。その何やらとは積もり積もった1年分の資料整理のこと▼必要な物は残し、不要な物は廃棄する。先日そんな気持で書棚整理をしていたら、奥の方から1冊の本が出てきた。本のタイトルは『夢を育てる(私の履歴書)松下幸之助』とある。まさか松下さんの本がこんなところに眠っていようとは。それにしても何故この本がここにあるのか調べたところ、松下さんの葬儀の時に渡されたものと分った▼改めて資料整理の手を休め読ませてもらった。そんな中で、是非業界諸賢にも読んで頂きたい一節があったので、それをここに再録してみた。「商売というものは損したりもうけたりしながら成功するものという考え方があるが、それは誤りだ」▼「商売は真剣勝負と同じで、切られているうちに成功することはあり得ない。やればやっただけ成功するものでなければならぬ。うまくいかないのは運でもなんでもない。経営の進め方が当を得ていないからだ。だから確たる信念を持っている人は不景気の時ほどもうけるではないか」▼美辞麗句で飾らない卒直なご意見だ。松下さんは自身を評して「私は万事積極主義」とおっしゃる。経営の神様といわれる所似は、この弛まない積極性にあるということかも。拳拳服膺してこの1年を終りたい。

1128日号)
政治も経済も混沌とした情勢の中で、業界の主力メーカーは今のところ、静かに事態の推移を見守っている風情がある▼そんな中で、ちょい元気な動きをみせたのが、ブラザーと沖データの2社。もともと両社とも、プリンタを扱う同一企業だが、今回の新戦略発表でも、随分似通った戦略の打ち出し方をしていた。まずメインコンセプトでは、ブラザーは「プリンタに第3の選択肢」を掲げ、自ら総合プリンタメーカーになると宣言▼一方の沖データは「5年間メンテナンス品無償提供」という思いきったメインコンセプトを発表。すでにご存知の方も多いと思うが同社は目下「5年間無償補償」サービスを展開中で、これと合わせるとダブル無償戦略となる。両社とも、これと同時に強力な新製品も発表、顔なじみのタレントを並べて新CM作戦も行った▼この2社が強いマーケットは、どちらかというとSOHO市場だが、ブラザーはこの分野で販路開拓を行ってきた。その点沖データも、今回の発表でみる限り、世界最小設置面積の新製品を発表したことは、それ自体がSOHO市場へのアピールであり、個人ユースへのアプローチともなる▼こうして見比べてみると、不思議と両社共通の戦略の展開がみえてくる。「第3の選択肢」か、それとも「ダブル無償戦略」か、業界活性化には十分すぎる戦略だ。

1114日号)
日本カートリッジリサイクル工業会が、トナーカートリッジの「リサイクル品」に対し、環境管理基準、品質管理基準を定めた「E&Q(エコアンドクオリティ)」制度を導入。11月1日より運用を始めた(本紙11月7日付)▼現在、同工業会が発表したデータによると、年間約2千200万本のトナーカートリッジが使用され、うち510万本がリサイクルだという。金額にして全体の市場規模は約3千600億円。このうちリサイクル品は約400億円が推定されるというから、これはもう立派な独立した産業である▼ところが近年、こうしたリサイクル品に便乗して、純正品メーカーの模倣品や偽造品が横行、事務機業界でも大きな問題となっていた。しかも最近のそれらの商品は、技術的にも精巧さが増し見分けがつかないほど▼今回、同業会が「E&Q」マークを制定したのは、こうした問題を背景に、模倣品との区別を明確にするため、制度化に踏み切ったもの。ただ、このマーク制定によって、リサイクル業者は恩恵を受けるが、純正品メーカーはマークが貼っていないために、逆にユーザーに不信の念を買う場合も想定できる。そこに大きな問題が残りそうな気もする▼業界を正常化する気持ちは判るが、法的に制約のない工業会独自のマーク制定は、事務機業界にとって、混乱を招くだけだとの声もある。

117日号)
理想科学工業の「プリントゴッコ」が来年暮で幕を閉じるという。同社はすでに3年前、本体のメーカー販売を終了しているが、ランプ・インク・マスターなどの消耗品の販売を続けてきた。これら一切の事業を終了するというわけだ▼このプリントゴッコは1977年に発売。以来34年間にわたって、家庭用のコミュニケーション用ツールとして、広くユーザーに愛用されてきた。ある意味では、プリントするという作業を家庭にまで持ち込んだ功労者といえるかも知れない▼このプリントゴッコで思うことは、いかにブランド名が大事かということだ。プリントするプリントそのものの意味と、ゴッコという遊びごころをうまく結び付けたことが、34年もの長い間、消費者の気持を引きつける大きな要因だったように思う▼いかに技術的に素晴しい商品でも、商品のネーミング一つで売れゆきが左右される場合もある。もちろん反対にネーミングがいかにハイカラでも、技術レベルの低い、しかも高価な商品は消費者の目が届かない▼34年前といえば、まだプリンタはオフィスにも家庭にも、十分に浸透していなかった時代。その時すでにプリンタの常識を消費者に知らしめたことは、情報化社会の発展に一役買ったともいえる▼業界活性化のためにも、「第2第3のプリントゴッコ」出現に望みをかけたい。

1024日号)
JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)が発表した、本年上半期(1月〜6月)の事務機械総出荷額は、7千123億円(前年対比930%)▼恐らく大震災によるダメージで、上半期は最悪の結果が出るであろうと予測はしていた。それが蓋を開けてみると前年比930%。この程度で済んだのか、といえば被災業者から苦情がくるかも知れんが、この数字も昨年(平成22年)の実績が良過ぎたために、前年対比で幾分損をしているとの見方もある▼その昨年の出荷総額は1兆5千369億円(国内4千841億円)。前年比114・4%増である。これから考えると、年間実績は、昨年並みに届くのはまず無理とみるのが至当だろう。昨年は出荷商品が軒並みプラス。唯一悪かった電子辞書ですら991%▼それに対比して今年のプラス品目は、シュレッダ、電子黒板、タイムレコーダのみで他はすべてダウン。しかもプラスだった3品目は国内の実績であり海外はマイナス。むしろ海外で強かったのがカラー複合機であり、電卓、ECR/POS電子黒板の面々。今では国内より海外で強味を発揮する頼もしい商品ばかりだ▼何れにしろ下半期は、まだまだ大震災が尾を引く。メーカーにしてみれば頭の痛い為替問題に加えて、ギリシャ問題が重くのしかかってきている。予断を許さない下半期になりそうだ。

1010日号)
ブラザーが「プリンターに、第3の選択肢」を掲げ、対外に総合プリンタメーカーとしての名分を明らかにした▼ブラザー販売・片山社長によると、同社グループの昨年度の売上高は5千28億円、そのうちプリンティング&ソリューション事業は実に7割を占めるという。2003年に誕生した「マイミーオ」から雌伏8年、この実績をもとに「総合プリンタメーカー」を宣言したのも当然といえば当然のことかも知れない▼しかしこれまでのブラザーといえば、ミシンのブラザーであり、英文タイプのブラザーであった。事務機業界と関連を持ったのは英文タイプライターの方。以後電卓、ワープロ、カラー複写機と次々と矢を放ったものの、ほどなくどの商品も鉾を収めた▼そんな流れの中で、最後に残ったのがファクシミリ。当初は村田機械(ムラテック)との間で技術提携を行ったと聞いているが、これが今日のマイミーオとなって大輪の花を咲かせ、同社の「ジャスティオ」と共に2大ブランドを築きあげた▼こうした同社の企業努力も預って大だが、やはり同社の強味は何といっても戦中戦後に跨がる、あのブラザーブランドという国際的な知名度である。確かにミシンや英文タイプの需要は落ちたが、ブランドの信頼度はそう簡単に落ちるものではない▼新生ブラザー、果して第3の選択肢に入れるかどうか。

103日号)
パソコンの一般競争入札に参加しませんか。再度、大阪湾広域臨海環境整備センター(大阪湾フェニックスセンター)が、本紙に記事資料を送ってきた▼それによると今回のパソコン入札は同センター内の情報管理システムに使用する端末を一括して更新するため、一般競争入札に踏み切ったもの。先に再度の入札と書いたのは、9月にも廃棄物の受け入れを管理するためのサーバーやパソコン等の調整を一般競争入札で行っており、入札によるパソコンの調達はこれで2回目となるからだ▼入札対象のパソコンはノート型107台、デスクトップ型9台の計116台を一括購入する。別にメーカー指定はなく、仕様書に記載された性能を上回る同一機種のものを納める保証期間は4年間としている。ただ入札参加者の要件として、過去3年間にパソコンを1回の契約で
50台以上納入した実績が求められている▼今回のPC入札は前回のサーバー、クライアントパソコン、各種プリンタ、ネットワーク機器等273台に比べれば規模は小さい。2回にわたる一般競争入札で、今後われわれの業界と接点が広がるものと思われる▼ただ事務機業界では、先に1台120万円の複合機が28台まとめて96銭の暴落札があったばかり。これに懲りてかどうか。どうせでっかいメーカーには勝てないと、はじめから気乗りしない企業も多い。

926日号)
〈中小企業の皆さま、取引先とのトラブルに悩んでいませんか?〉こんな書き出しの広告が本紙に出た (9月5日付)。中小企業庁からのものである▼こうした中小企業と取引先のトラブルは、日常的に我々の耳にもよく入ってくる。例えば「代金を払ってくれない」「突然の返品で困っている」「値引きを要求された」「受注の見返り取引先の商品を購入するよう求められる」▼こうした無理難題を取引相手が押しつけてくる。商売上よくあることとはいえ、これらの問題にどう対処すればよいのか。こんな悩みに対し、全国中小企業取引振興協会が創ったのが、広告にある「下請かけこみ寺」である▼ここで取引上の悩みをまずは相談し、その上で問題解決を図ってもらいたい、というのがこの広告の骨子。幸か不幸か現在、この業界で「かけこみ寺」に飛び込んだという話は聞かない。よしんばそういう話があったとしても、自社或は当事者間で処理して、我々の耳に入ってこないのかも知れない▼しかし、昨今のように業界内では扱い商品が多様化し、商品の種類も増え、またハードからシステムへ、かつソリューションビジネスの比重が増してくると、これまで経験したことのない悩みや相談ごとが、相手との間で起ってくる事も考えられる▼そんな時には、どうぞ右記へTELを(0355416655

912日号)
早いものであの大震災から半年が経った。折しも「防災の日」にあたる1日。政府や自治体が全国各地で防災訓練を行った▼特に東京都に限っては首都直下地震を想定して、これまでにない熱の入れようだった。すでに政府ではこうした事態に備え、行政機能を西日本で補完できる体制を整える準備を進めている(日経)。ここでも首都圏で大災害が起きて、中央省庁などの機能がマヒした場合、西日本地域における補完オフィスが行政を代替できるようにするという計画である▼しかし民間企業ではそんな政府の鈍足より先にすでに本社機能を大阪に集約する動きが出始めている。その証拠に最近の大阪圏への人口流入は、5か月連続超過だという。これなどは企業の機能分散で、関西への転勤が増えているためにほかならない▼あれほど、東京へ東京へと草木も靡いた一極集中が、嘘のような逆転現象が起きている。最近では大阪のレンタルオフィスは満杯状態。夕方にでもなると、屋台の呑み屋は標準語がとび交う。それが今の大阪だ▼この夏、横浜の知人からこんな暑中見舞状を頂いた。『モーレツな暑さが続く毎日、おまけにセツデンの大合唱!原発や津波のセイか人は東から西へ流れているようで、この際政治の中心も、大阪に移した方が安全、安心ではないか、と思います』。スパッと切れ味のいい提言である。

95日号)
本紙が独自で集計した今年上半期の新製品(全8品目)は117点だった。昨年同期比で23点も上回る結果となった▼てっきり東日本大震災やそれに伴う部品調達の遅れ、或いは長年の景気低迷の影響から、今年の上半期はひょっとして、過去最悪の減少に落ち込むのではないか、そんな予測を立てていた。それが見事に外れた▼勿論いい結果が出たことに異論はない。だが逆に、何が増加の背景にあったのか。単なるモデルチェンジだったのか。それとも先を見越した戦略的布石なのか。色んな思惑が働いてもおかしくない▼本紙が18年前独自で新製品調査を始めたのも、発表点数の増減より、むしろ何故その品目(機種)が増加し、何故それが減少したのか。その理由を数字の上から汲み取り、商売のツールにしてもらいたい。そんな希いがあったからである▼いうまでもないが、この業界は技術革新による新製品の開発で成り立ってきた。他業界を圧倒する技術力も保持している。遡れば電卓の猛烈なモデル競争から、複写機、ワープロ、パソコンへと足を伸ばし、現在では複合機、プリンタ、プロジェクタ、モバイル、サーバー、デジカメ、ファクシミリが新製品の開発競争を続けている▼しかし、ネット時代の今日。果してこのままの状態で新製品開発を進めていくべきかどうか。それがいま問われている。

822日号)
秋の需要期を前に、嫌な話が耳に入ってきた。1台120万円の複合機が、なんと
28台まとめて96銭で落札されたという(ザ・トピックス紙)▼この話は、7月20日に行われた文具業界の卸連首都圏ブロック会議で、千葉県連の代議員が紹介したもの。まともに買えば、総額で3千360万円の商いになる。それが96銭とは。おどろ木、桃の木、複合機である▼業界では過去に複写機1台1円で大騒ぎしたことがある。その時はNOMDA(日本事務機器流通団体連合会)が動いたが、結局は大山鳴動して鼠一匹も出ずに終った。今回も何らかの動きをみせるのか、公取あたりへの打診も考えているのか、NOMDA側に聞いてみたが、今回は敢えて問題への介入はしない、ということだった▼しかし、われわれが知りたいのは、むしろ96銭というタダ同然の価格で落札したディーラーの思惑である。これまでの例なら、納入後のトナーやコピー用紙等の追加注文のメリット、惑いは保守管理のメリットが挙げられる。しかしこれでは、超安値で折角落札しても、元値さえとれない▼となると考えられるのは一つ。「オフィス丸ごと面倒みる」アレである。バックのメーカーと二人三脚で、千葉県庁全体のビジネスフォームを運用管理する。それなら話は判るのだが▼いやいやそれにしても96銭、入札銭国時代とは恐れ入る。

88日号)
大塚商会が創業50周年を迎えた。星霜50年の「亀の歩み」だ。その記念セレモニーが開かれる直前、いつものように同社から、社内誌「あゆみ」が送られてきた▼創業50周年記念特集号と銘打った7月号は記念特集号らしく、同社の50年の足跡を要領よくまとめていた。「大塚商会は1961717日東京・秋葉原で創業しました」で始まる同社の半世紀は、どんな「亀の歩み」をみせたのか。改めて再確認させてもらった▼創業以来、もっとも早く手をつけたのが各地の支店開設。1976年までの15年間で、東京を主力になんと全国に35の支店を開設。火の出るような勢いで全国制覇の楔を打ち込んでいった▼そして2年後、頃やよしと始まったのが今や名物行事となった第1回ビジネスシステムフェア(現・実践ソリューションフェア)の開催。そしてこの年、社内的には「COF戦略」と銘打ち、当時の中軸機種コピー、オフコン、ファクシミリの3本柱を前面に押し出し、オフィスに大攻勢をかけた▼この辺は、いかにも機を見るに敏な、創業者の大塚さんらしい手の打ち方だった。10年前の2001年、子息の裕司氏が社長に就任。その前年には、東京証券取引所1部に株式上場。 今や押しも押されもせぬ一流企業に仲間入りした▼大塚さんの次なる50年、果してどんな展開をみせるか。業界が注目している。

81日号)
がつけたのか「てんき予報」ならぬ「でんき予報」。初めは面白い語呂合わせを考えたものだと思ったが、狙いは節電のモニター役だと知っていっぺんに興醒めしてしまった。悪い冗談だ▼電気の消費量がここまで上ってきたら、節電タイムですよ。こんな余計な知恵を働かせるから橋下さん(大阪府知事)が不快の念を表わす。別に言われなくても、全体の電気消費量が上れば自主的に節電し、少なければ別に節電の必要はないじゃないか、というのが彼の持論だと聞いている▼われわれの業界商品も、ずっと前から省エネ、省電力で造られてきた。ところがあるテレビで、節電に必要な商品群の中にプリンタが入っていた。省電力イコール節電モードで造られたこの商品を何故、節電商品群に取り上げたのか。知らない人がこれをみれば、事務機の使用を減らそうと考えて当り前。業界にとっては迷惑千万な話だ▼業界の省電力商品も、元はといえばCO2削減の声が高まり出した頃から各メーカーが協力的に開発を進めてきた。これらはオフィスの環境問題と重なり、エコロジー商品としての役割も果してきた。今回、降って沸いたような節電要請は、東日本大震災による原発事故から端を発したもので、総ての責任は政府と電力会社にある▼それならいっそ、「オセン予報」か「セシウム予報」に切り変えてみたらどうか。

725日号)
さしあたり船ならば、
面舵一杯かそれとも全速前進か。このところ業界主要各社の企業再編が急ピッチでスピードを上げている▼こうした状況が生まれだしたのは、何も昨日、今日のことではない。昨年東芝テックは、うまいキャッチフレーズを考えた。「オフィスまるごと東芝」。オフィスで使われている事務機一切の運用保守管理を任せてもらおうという取り組みである▼それ以来他社メーカーも事業内容に変化をつけた、名づけて「サービス事業」を続々と発表。今やリコーもキヤノンも富士ゼロックスもコニカミノルタもサービス事業のウェイトが事業再編の要になる勢いをみせている▼何故こうした状況が生まれたのか。一言でいえばネット時代に生き残るためには、旧来の箱物商売では役に立たない、ということもあるだろう。それでなくても、複写機の需要は飽和点に達したといわれながら、相変わらず過当競争で売り上げダウン、利益ダウンで経営を圧迫している▼こんな時 「脱複写機、サービス事業に転身」とくれば、干天に慈雨をみる思いで、このサービス事業に大きな期待をかける。しかも最近ではクラウドを経由したサービスも採用。ますます充実した事業内容を展開している▼商品もデジタルなら商売もデジタル。もはや業界全体がデジタル武装しなくては、成り立たなくなった。

711日号)
震災から早くも4か月。どうやら被災した企業も、間接被害の企業も復興のメドがついてきたようだ▼ただ震災前の経営路線に戻るかとなると必ずしもそうとは言い切れないものがあるようだ。
例えば大阪のある中小企業は、今回の大震災では無傷であったものの、若し自分達にあの災害が降りかかれば、即座に倒産間違いなしと、先を見越してインドネシヤへ生産工場を移す準備をしているという▼これと似た話といいたくないが、政府も先日大規模災害に備えた『首都圏白書』なる白書を公表した。「行政や企業は拠点の分散化やバックアップ拠点の配置といった代替性の確保が必要」だと▼すべからくここに書かれている内容や、その他の危機管理対策は、大であろうが中であろうが、どの企業も平素から手を打っておくべき、経営の必須綱目である。ところがどういうわけか、今回の大震災を踏まえた、具体的な危機管理対策を口にする企業がないに等しい▼もちろん大震災後の経営戦略を再構築することも大事だろう。しかしその前に、今回の大震災の経験を生かした危機管理対策を一日でも早く確立しておくべきではないか。最近大阪の橋下知事が東京の石原知事と会談。災害時の機能補完として、大阪を東京に次ぐ「副首都」にする事で意見が一致した▼企業だってそれぐらいの事は考えられる問題だ。

74日号)
「文具店でキャンデーを買ってきた」。もうこんな話は珍しくも新しくもない。どの業界でも、同じような問題を抱えているからだ▼事務機業界はどうなんだろう。本紙が毎年行っているディーラーアンケートで、業界外商品の取扱いについて調べ直したところ、半数以上のディーラーがすでに取扱っている実態が判ったやっぱりこの業界のディーラーの打つ手は早かった▼因みにどんな商品が導入されているのか、機種名を並べるとこうなる。まず断トツでLED電球ついで大型商談にもってこいのTV会議システム、そして今人気のモバイル(小型PCなど)、電子カメラ、携帯電話といった具合だ。その上に「環境商品」「デジタルサイネージ」「売れるものは何でも」と意欲的な回答をするディーラーもいた▼こうした動向を察知してか否か、メーカーの業界外商品の開発も耳に入ってきている。コニカミノルタは昨年末LED事業を立ち上げたが、リコーもこの4月にLED照明市場への参入を表明。その他では富士フイルムなどは、なんとサプリメント事業へ進出するという思い切った経営刷新を図っている▼こうみてくると、もはやこの業界では「一業に徹する」という言葉は通用しなくなったのでは、そんな気さえする。事務機店でLED電球を買い、ついでにサプリメント食品も買う。一つも珍しくない。

627日号)
本紙が毎年発行する「OA年鑑」の昨年の特別企画はクラウド環境で第3の利益だった▼企画の狙いは、1995年頃から始まったインターネット時代(情報分散処理)に別れを告げ、情報集中処理をするクラウドコンピュータ時代が始まる、と予測したからだ。しかし本誌が発刊された春先には、まだ業界内では、クラウド問題はまったくの音無しの構えだった▼それが昨年の秋頃から、やっと堰を切ったようにクラウド問題が浮上してきた。その口火を切ったのがリコー。MFPとクラウド型データ管理サービスを連携するソリューションを開発した▼その後、キヤノンが複合機からクラウドサービスを利用できるMEAPアプリケーションを無償で提供。ついでシャープもクラウドと連携するデジタル複合機を投入。しかも同商品はタッチパネル対応の10・1インチ大型カラー液晶を搭載した世界初のもの▼こうして主力メーカーが連続してクラウドサービスに舵を切ったが、その流れは今年に入っても衰えず、リコーが朝日新聞社と提携して複合機をクラウド端末と位置づけ、ビジネスに関する情報を配信。近くは京セラミタジャパンが、受信したFAXをクラウドで閲覧するソリューションを提供▼かくして業界は一気にクラウドビジネスに突入した。さて業界ディーラーの受け入れ方は、それが気になる。

613日号)
〈電卓がIT産業の草分けだ〉といえば、恐らく電卓の生い立ちを知らない若いビジネスマン達は、怪訝な顔をするかも知れない▼しかし電卓用に開発された半導体や液晶技術は、今日あらゆる情報機器に搭載使用されている、といえば少しは納得してもらえるだろうか。とくに液晶技術は、今や一大産業として世界各国で生産され、テレビを初め各商品にいきわたっている▼シャープが当初電卓用として開発した液晶を、ここまでの主力事業に仕立て上げた努力と忍耐には頭が下がる思いがする。その後の技術革新によって各部品が小型化し、これが軽薄短小の言葉を生んだ▼言うならばこの言葉が走りとなって、今日のモバイル商品の開発につながっていった。事務機類ではパソコン、プロジェクタ、プリンタ、ファクシミリ、そして遂に複合機にまで及び、IT産業全盛時代を迎えることになった▼これらはすべて電卓から端を発したもので、それだけでも電卓の開発、登場がいかに日本の情報化社会に貢献してきたか、火を見るより明らかである。こうしたバックボーンがあってかどうか、過日シャープの電卓が情報処理技術協会から技術遺産の認定を受けた▼この電卓に関して、NHKBSプレミアムの番組 らいじんぐ産〜追跡!にっぽん産業史)が取り上げ、今月16日午後10時から45分間放映される。ご一覧あれ。

66日号)
新聞の見出しも、記事の取り上げ方によっては、こうも違うものかと思う時がある▼「リコー、1万人削減。コスト改革この3年で」(日経)。恐らくこの見出しを見た人は、瞬間的にリコー大丈夫かいなと、不安げな気持で記事を読んだことだろう。それに対し読売は「リコー、東北に110億円投資、今年度新型トナー増産という見出しを打った▼リコーを知る者にとって、どちらが歓迎すべき見出しかと問われれば読売をとるだろう。事実東北リコーでは、被災工場が完全復旧し操業を再開。被災地域での復興事業として地域住民参加によるリサイクル事業を展開する方針も固めている▼一方の日経が報じる1万人削減の見出しも、リコーの中期経営計画の中に含まれた問題で、決して間違った見出しとは言えない。しかしわれわれ専門紙の立場でこの記事を扱うなら、あくまで中期経営計画を前面に押し出し、これに見合った見出しを打つ。これが専門紙の役割と理解している▼それを抜きにして、さも中期経営計画の先頭に1万人削減ありきのような見出しを打つと、それだけで計画そのものが曲解されてしまう。少なくとも今回のリコーの中期経営計画の基本戦略は、われわれの手許にある資料では「成長」と「体質改造」の同時実現であると大きく謳っている▼新聞の見出しも、時には両刃の剣になり得る。

530日号)
業界最古参のディーラー、金沢の岩井正一氏(イワイ会長)が亡くなった。享年93歳。大往生である▼業界と岩井さんを結びつけるエピソードは枚挙に遑がないほどだが、中でも昭和45年、ディーラーの結束を促したGSA(ゼネラルセールス・アソシエーション)の設立は、当時の事務機流通業界に一石を投じるものであった▼この設立は、大阪の美濃事務機、神戸のイワタ事務機、そしてイワイ事務機が世話役となり、総勢10社で発足した。設立の動機は、当時の乱売、値引き競争を糾し、顧客が安心して購入できる良品を選択。この商品にGSAのロゴシートを貼って推奨するというものだった。会長には山崎静逸氏を選出▼結果として、このGSAの結成が後のNOMDA(日本事務機器流通団体連合会)結成の起爆剤となり、片やメーカー団体の日本事務機械工業会(現ビジネス機械・情報システム産業協会)と共に、製販相まった事務機業界形成の役割を果たすことになった▼言葉を詰めていえば簡単のように聞こえるが、この業界の大きな流れの中で、岩井さんは絶えず中枢的な役割を果たしてこられたことを、マスコミのわれわれはよく知っている。その意味では業界にとって、貴重なご意見番を失った、ということになる▼今年頂いた年賀状に「静かに後方に引退します」とあった。心からご冥福を祈りたい。

516日号)
今年のゴールデンウィーク、久し振りに神戸の街を歩いた。震災後間もない頃何度か足を運んだが、まだ震災の傷跡が遺り痛々しかった▼しかしあれから
16年、街はまったく震災前と変わらない、いやそれ以上の賑やかさで、特に三宮界隈は見違えるような近代都市ぶり。もともと神戸は海に面した明るい街で、その分ほかの街とは違う開放感があった▼奇しくも大震災の被害地となった東北3県も、神戸と同じ海に面した街や村だ。その街や村が、16年前の神戸と同じ苦しみを味わっている。神戸の街を歩きながら、今回ばかりは気が重たかった▼実は神戸に来た理由はもう一つある。ほかでもない当日宿泊するポートピアホテルが、大阪のヤチヨコアシステムと同じ「2010年関西経営品質賞奨励賞」を関西生産性本部から受賞している。勝手な想像だが、当然あの壮絶な大震災を経験した上での受賞ということになる。そこには余人の知らぬご苦労があったと思う。果してホテル側にきくと、壊滅的な被害を受け、40日間も営業停止したという▼それが経営品質賞を受賞するまでに至ったのは「神戸全体に集客できる要素はコンベンションしかない」と、創業当時の考えに原点回帰し、通常のホテル業界とは一線を画した革新活動が効を奏したようだ▼復興も経営も、すべて一からの出発、その答が聞けたようだ。

52日号)
はやばやと秋に開く展示会の案内状が届いた送り主は滋賀環境ビジネスメッセ実行委員会からである▼このメッセは、1998年より毎年開催されているもので、回を重ねて13回の確かな実績と成果を積んできている。国内最大級の環境産業総合見本市として評価が高い。その証拠として、初開催の第1回目では160社の出展者が、昨年の13回目では313社でほぼ倍増に近い右肩上りをみせた▼その最大の要因はいうまでもなく、熟成してきた環境ビジネスと、なんといっても滋賀県がバックアップしている点。また来場者数も、昨年は3万6千580人で、この種の来場者数としては予想を超す数字である▼それも滋賀県立長浜ドームという、全国的に余り知られていない立地条件下でこれである。しかし今年は、NHKの連続ドラマ「お江」の放映で、改めてこの地名が知名度を上げている、という好条件もある▼同フェアの主催者の弁を要約すると、同メッセは「持続可能な経済社会の確立を目指し、環境ビジネスに取り組まれる企業・団体の皆様に、最先端の環境製品・技術・サービスの発信の場と、実りある商談・交流の機会を提供します」とある▼因みに今回は1019日〜21日の3日間開催するが、出展申込み〆切りは6月15日。申し込み先は滋賀県商工観光労働部産業振興課(077・528・7393)へ。

425日号)
2010年の事務機械総出荷額は1兆5千369億円。国内、海外合わせて、トータルで前年比114%のプラス伸長となった(本紙4月11日付)▼リーマンショック後やっとの思いで辿り着いた数字である。全機種軒並み100%を超える見事な快復ぶりだ。2年前JBMIA(ビジネス機械・情報システム産業協会)が出した需要予測では、電子辞書と電子黒板を除いた全機種は、すべて出荷実績マイナスと予測した。それがマイナスどころか、全機種プラス伸長だったとは▼正直ここまで景況回復したのかという思いでこの出荷実績を改めて見直した。とくにこの中でも目立ったのは、複写機、複合機、ページプリンタ、データプロジェクタ、電卓、電子黒板で、それぞれが120%を超す伸長ぶり▼それに加えて復調ぶりをみせたのはシュレッダの存在だ。この機種はずっと実績が上がらず低調を続けてきたが、ここへきて再び上り調子になってきた。この原因は何なのか。調べてみたい要因だ▼後記になったが、こうした景気回復ぶりをみせた出荷統計とは裏腹に、今年はあの悲惨な東日本大震災が、業界にも多大なダメージを与えた。何れその結果は、JBMIAの上半期出荷実績で明らかになると思う▼しかし,
ここまで、景況回復をみせた昨年の出荷実績を、再び逆戻りさせたくない、という気持も働く。


411日号)
あの東日本大震災が起る直前、シャープが世界に先駆けて商品化した電子式卓上計算機(電卓)が、40数年経った今、ようやく情報処理技術学会から技術遺産に認定され表彰を受けた▼これまで何故この電卓が、情報社会からも一般社会からも高い評価を受けなかったのか。不思議でしようがなかった。それがやっと認定されたのは、この電卓がモバイルの先駆者とみられたからでは▼恐らくこの認定を聞かれた、当のシャープの技術者諸氏も心の中で拍手喝采されたことだろう。かく言う本紙の創刊も、この電卓によって触発されたようなもので、以来業界は電卓の開発に伴い、幾多の変遷を繰り返し発展してきた▼その意味では電卓が、事務機業界の形成に、大いなる役割を果した功労者ともいえる。電卓が技術革新のシンボルとなって、次から次へと新しい事務機を生み出してきた。それが今日もなお脈々と続いている▼あのワープロも、偶然の産物のように思っているだろうが、電卓と同じく開発部門の技術者達が、それこそノーベル賞的な技術革新で完成させた商品である。タイプ業界が悩み、解決策を探ってきた軽量、携帯の永年の懸案を、一夜にして解決してしまった。これも素晴しい、画期的な技術遺産である▼それからすると、今日使われている事務機は、すべて技術遺産に認定されてもおかしくない。

44日号)
いつか岩手県の釜石市を旅行で通った時、海岸沿いに巨大な防潮堤があるのに驚いた。同行したガイドさんに、どうしてこんなでっかいものを造ったのか聞くと「その昔大津波に襲われた」からだという▼恐らく当時の被災者達は、二度とこういう災害に遭いたくない思いで、この見上げるような防潮堤を築き上げたのだろう。その鉄壁の防潮堤を、
10bを超す大津波が乗り越えて、安心しきっていた町や村を廃墟と化してしまった▼もはや備えあれば憂いなしという言葉は役に立たない。本紙は先号で、業界関連の被災状況を速報したが、施設・建造物に損傷はあるものの、人的被害が殆んどなかったことが不幸中の幸いだった▼しかしこれまでも、こうした地震災害が起るたびに、果して業界の危機管理は大丈夫なのか。そんな心配を絶えず持っていた。例えばメーカーの本社が、或いは主力の生産工場が、破滅的打撃を受けた場合、どういう緊急避難的対策をとられるのか。余り耳にしたことがない▼話は変わるが、今回の震災で東北、関東地域の部品工場が被災したために、JR西日本が運転本数を減らした。運行に必要な部品供給ができないからだ。これなど結果的に、日頃から部品調達に関する危機管理がうまく機能していなかったということになる▼業界各企業の危機管理は大丈夫なのか。気になる話だ。

328日号)
天災は忘れた頃にやってくる。備えあれば憂いなし。そんな格言をも吹っ飛ばす巨大地震が東北地方を襲った▼気にかかるのは当然のことながら業界関連業者の被災状況だ。第一報では宮城県にある東北リコー、並びに福島キヤノンが被害甚大だが、人的被害は少ないという。ほっと胸を撫でおろしてはみたものの、残念ながら業界ディーラーの情報がもひとつ入ってこない▼それというのも、阪神淡路でさえ経験しなかった津波が町を村を壊滅状態にし連絡手段がとれないからだ。われわれ業界専門紙としては、なんとか東北業界の実状を報告したいと思うが非力でそれも叶えられない。申し訳ない気持ちで一杯だ▼ただ一般のマスコミが、いささか針小棒大で、先走りする報道がみられるが、こうした報道姿勢は厳に戒しめなければならないと思っている。むしろこういう時は明るい方向に気が向くような情報伝達が必要だろうと思う▼折柄、新しい年度が始まる4月が目の前にある。我々はこの困難を乗り越えて何をなすべきか。仕切り直して一から組み替えるのか。それとも懸案事項を継続するのか。各企業の足元は地震並みに大変だと思うが、希くば萎縮せず、前向きに事業計画を平常通り推進してもらいたい▼「困難を味方にする」。この大塚実氏の経営語録が、今こそ必要な時だ。

314日号)
ケイタイの文字も呼称も影が薄くなり、代りにスマフォンの呼び声が高くなってきた。スマートフォンのことである▼それにタブレットも一枚加わって、もはやモバイル一色の時代になったこの業界でモバイルの愛称が使われだしたのは、別に昨日、今日のことではない。12年前本紙は、いち早く小さな巨人・モバイルと銘打ち、OA年鑑の特別企画を組んだ▼そしていま、改めてモバイル製品が堰を切ったように登場してきた。半導体を主軸にした技術革新の成せる技だ。しかしこうした土壌は、すでに電卓時分から出来上っていた。ある著名人が日本の軽薄短小技術だと嘲笑ったが、それがどうだ、今や世界の最先端をゆく商品になっている▼本来なら、日本のお家芸が世界を席捲するはずだったが、油断している間に、アップルやキンドルにお株をとられてしまった。これが今日の多機能端末の結末である。しかもこの商品が、電卓で道を開いた事務機業界を素通りして、他業界の飯の種になってしまっている▼残念至極の一語だが、業界にせめて倦土重来を期してもらうために今年の本紙が発行する「OA年鑑」は、モバイル端末で、新たな需要創出をのタイトルで特別企画を打った。昨年本紙が行ったディーラーアンケートにも新規商品として扱いたい答の中にモバイルがあった▼ディーラーの戦力商品として期待したい。

(3月7日号)
「今年は変化の年になる。変化する時は淘汰がつきものだ」と、日本マクドナルドの社長が、TVインタビューで述べていた▼マクドナルドのような外食産業は、消費者に即直結するビジネス。それだけに商材より、むしろオプションを常に変えていかなければ消費者に飽きられ、ライバル企業にも追い込されて淘汰されてしまう。変化することは、まさに企業の使命だと言わんばかりだ▼果してわれわれの業界はどうなんだろう。昨年パソコンから撤退を表明したシャープの片山社長は「売り切り型のビジネスモデルを捨てる覚悟で臨むように」とタブレット型端末「ガラパゴス」の事業戦略会議の場で話されたという(日経)。重い言葉だ▼同社がパソコンからの撤退を決めた後は「ガラパゴス」のような電子書籍に配信するコンテンツに力を入れる方針だと言う。言葉を変えれば、これからはハード主体の事業からコンテンツが必要とするサービス主体の事業への転換ともとれる▼こうした動きは、この業界の一部メーカーにもあり、やがてこれらが業界ビジネスの主流になるのではないか。本紙のディーラーアンケートでも、ハード主体の販売からシステム、サービス主体の経営に転換したため増収を果した企業もある▼マクドナルドの社長やシャープの片山社長の話は、やがて業界全体を覆う話になりそうだ。


228日号)
お客様1人来場=1ワクチン。こんなユニークな企画を盛り込んだフェアをデュプロが行った▼同社は今回のフェアの総タイトルを〈次代への挑戦〉と銘打ち、環境技術、サービス、社会貢献の3テーマを設定したが、前述の企画は社会貢献で取り上げたもの。そのキャッチフレーズ通り、来場した客数をカウントし、その人数分のワクチンを「認定NPO法人・世界の子どもにワクチンを日本委員会」を通して、世界の子どもに贈るものである▼ワクチンさえあれば救うことができたであろう、世界の子どもの命を守るために、と企画説明をしているが、誠に心のこもった企画で、来場者の好評を博したことは言うまでもない。同社は昨年もこのフェアで、ペットボトルのキャップの収集を行い、これをリサイクルした環境キャンペーンを展開し好評を博したばかり▼業界メーカーの中には、ユーザーの顧客満足度を高める事業促進を唱える企業もあるが、デュプロが行ったような社会貢献を果す事業にまで取り組む企業はまだ少ない。恐らく今回の同社フェアに来場した招待客は、社会貢献にまで関心を寄せる同社に、企業ぐるみで好意的な印象を持ったのではないだろうか▼また今回のフェアをみて思ったことは、売らんかな一点張りの企画では、来場者へのアピール度は弱いということだ。来場者との一体感が物を言う。

214日号)
昨年末アメリカのラスベガスで開かれた国際家電見本市(CES)は、例年以上の賑わいをみせたという▼目玉は3Dテレビとタブレット端末だと、マスコミが大きく取り上げたが、むしろIPTV(インターネットテレビ)の方が気になった。テレビにインターネットをドッキングしたこのテレビ。早くもアメリカでは、インターネットテレビの名称で発売されている▼テレビは家電製品の象徴的なものだが、インターネットは情報社会の象徴的なツール。この2つがドッキングしたとなると、業際的にはどちらの商品として扱えばいいのか。そんな新しい疑問が湧いてきてもおかしくない▼恐らく家電業界ではこれを情報家電の範疇に入れるだろうし、一方情報機器業界では、これをネット端末の範疇に位置づけても、間違いだと言い切れない。ここまで技術革新が続くと、どちらの業界商品と決め付ける方が、かえって無理すぎるのかも知れない▼それほど家電と情報が輻輳化してきたということだ。その点、電子書籍のタブレット端末も、当初は書籍業界の商品としてデビューしたが、今ではパソコンに代わる多機能端末として、今後大きな伸びが見込めると期待されている▼となると、われわれ事務機業界は、今後どうやって同種製品を開発する家電メーカーとつき合っていくのか、それが問題になってくる。

27日号)
「まさか」と思われた方もいるだろう。まさか複合機がクラウド端末の役割を果たすとは。まさかリコーが朝日新聞社と提携して、自社複合機でビジネス情報を流すとは▼正月草々、リコーが行った記者会見は、その「まさか」の記者会見だった(本紙1月24日付)。複合機にネット機能が加わったことは知っていた。しかしまさかクラウドの働きまでするとは。思いもかけないことだった。いよいよ業界も、くるべき時がきたという感じだ▼コピーをするために生まれてきた複合機が、情報をやり取りする複合機にまで進化した。うたた隔世の感がするというより、技術革新のテンポの速さにただただ驚くばかりである。同じくシャープも昨年、タッチパネル対応の大型液晶を操作パネルに採用したクラウド複合機を開発した(本紙1213日付)▼リコーはビジネス関連情報をマスコミから提供を受け、その情報をオフィス内の自社複合機で配信する。片やシャープは、これまで培ってきた液晶技術をフル活用し、情報を取り込む。両者ともにサービスと技術をオフィスユーザーに提供。顧客満足度を高める共通点を持っている▼メーカーそれぞれが得意分野で技術革新を競い合うことは、当のメーカー自身よりも業界全体にとって好ましいことである。事務機を情報機器と呼称を変えても、顧客満足の結果に変りはない。

124日号)
昨年の新製品発表点数は8品目で199点、一昨年の249点に比べると50点の大幅減少になった▼この統計は、10年前から、本紙に送付されてきた各社の発表資料、プラス独自で調査したものを合計して、1年に2回、独自の新製品情報として報道している。この統計を始めたそもそもの理由は、いったいどれだけの新製品が各メーカーによって開発、販売されているのか、業界の全体像を描く上でまずその情報を把握する必要があったからだ▼それによって、メーカーの技術革新の推移や、或いは情報化時代を先取りする製品の動向が、より具体的に読者に判断してもらえると思ったからだ。事実業界がアナログからデジタルへの歴史的な転換、またはモノクロからカラー化への躍進が数字以上に判断できたと思う▼時に、こうした内的な技術革新よりも、昨今では環境社会に貢献するエコ商品、企業内の機密情報の漏えい防止のためのセキュリティ対応等、外的要因による新製品開発も目立ち始めている。そこへ今度はネットワークに対応する商品開発が、昨今の新製品の大勢を占めるようになった▼時代の流れが新製品の流れと言わんばかりの状況が、今やわれわれ業界の、新製品開発の常識になっている。それらの情報をしっかりと把握することで、今後の事業戦略が立てやすくなる。新製品は打出の小槌だ。

(1月17日号)
昨年、本紙が行ったディーラーアンケートをみて(1月3日付)、正直なところ内心ほっとした。一昨年の8割減収が頭に残っていたからだ▼恐らく昨年もこの逆境から抜け出すのは容易ではないと予測していたら、なんとほぼ半数の業者が増収と回答、減収業者の回答と拮抗する回復ぶりをみせた。リーマンショックの余燼が残る悪環境の中でしかも追い討ちをかけるような円高、政情不安の中で、よくぞここまで持ち応えられた、というのが正直な感想である▼加えて昨今の業界は、ネット化によるソフト、システムへの対応、或いは環境ビジネスの取り組み等々ディーラーに課せられた業務の幅が、以前に増して複雑、多様化している。今回の増収業者の回答をみても、「システム化の進展」を増収要因の一つに挙げている▼そのために人材補強し、LED電球やTV会議システム、モバイル商品を導入し、これらを経営戦略の強化につなげるところもある。半面、ある業者はこうも言っている「われわれは何を売りたいかではなく、顧客は何を買いたいかを、自ら考えて行動する」。これが顧客満足の第一歩だという▼アンケートの回答の中にも、こうした顧客との関係を強化すると回答した業者も多かった。かくして業界はメーカーの先見性に導かれ、経営戦略を強化するディーラーと車の両輪でこの1年が始まる。

13日号)
昨年の暮、国内外でエコに関する大きなイベントがあった。一つはメキシコで開かれた「COP16」。二つは東京で開かれた「エコプロダクツ2010」だ▼「COP16」は残念ながら、先進国と途上国の不調和で結論は次回に持ち越した。しかし「エコプロダクツ2010」では、事務機関連の主要メーカーがこぞって出展。事務機産業のエコに対する関心の高さを対外に示した▼昨年末の本欄でも警鐘を鳴らした通り、事務機産業は国内でのエコ対策にとどまらず、EUなど、海外での厳しいエコ規制に順応しなければならない。これからの事務機産業は、エコ問題を抜きに語れない時代に入ってきた。これが昨今の業界事情である▼事務機メーカー各社は、そのための生産販売体制を確立しているが、特に生産段階でのプロセスで、エコ新技術を使った取り組みも始まっている。リコーが重合トナーで使った水を浄水化し、この水を再使用するエコ技術を開発したのもそれ。これには水資源を有効活用する省資源という大きなメリットがつく▼このほか、セキュリティーの分野でこれまで大活躍したシュレッダーに代わり、断裁した紙をリサイクルする紙再生機が登場。ますますモバイル化する情報機器の開発と並行しながら、こうした省資源、リサイクルの世界でも、業界の先進性が物をいう時代に入ってきた。
の時、ディーラーのポジションはこのままでよいのか。

2011年 ↑

※これは毎号の1面下段に掲載しているコラムです。各号の主なニュースは左の欄をクリックしてください。